天皇杯関東ブロックラウンド(B,Dグループ)


大網白里アリーナ


国体バレーボール競技会場だった大網白里アリーナには,玄関ロビーの受付のところに千葉国体マスコットキャラクタ(国体後も現役続行)のチーバ君ぬいぐるみが大小取りそろえて三体置かれていた。かわいい。


前の千葉国体の時は「大網白里町」だった気がしていたのだが,単独市制施行された由。


早朝新宿から特急「新宿わかしお」にて大網駅へ。各種快速等の乗り継ぎでも所要時間に大差はないのだが,お金で快適さを買った。


ら,寝過ごした。ふと目を開けると大網駅停車中。寝ぼけた頭のまま文字通り奇声を上げながら出口に走るも無情にも扉は閉ざされ,為す術なく次の茂原駅まで行きましたとさ。駅間が比較的短い特急で良かった……。


閑話休題


今年も関東代表は4枠。AからDまで4グループに分かれてトーナメントを戦い各グループの勝ち抜けチームがそのまま代表になる形は例年通り。


今年は,14/15シーズンのVチャレンジリーグへの参戦(昇格?)が決定していた埼玉アザレアが「実行委員会推薦」の形でブロックラウンドからの参加となった。その分毎年大学の4チームに与えられている「ブロック推薦」枠が減るのではと勝手に危惧していたのだが幸い杞憂に終わり,合計チーム数が1チーム増えた。


したがって,A・Bグループは5チームで1代表,C・Dグループは6チームで1代表を争うこととなった。


また,会場は,東金アリーナ大網白里アリーナの2会場に分かれて,2コートずつの進行となった。A・Cが東金(A・Bコート),B・Dが大網白里(D・Eコート)という,グループ割とコート割が紛らわいこと甚だしく当日の朝まで各地で混乱がみられた。


ちなみに,謎のCコートは東金サブアリーナで,関東3代表の皇后杯東金アリーナのみの3コート進行だった由。


これまでもグループ名とコート名は異なっていたけれど,今年は会場も違っていたので切実だった。どちらもアルファベットなのがよくない。そろそろどうにかしてほしい。


2会場に分かれたのは「できるだけ全部観たい」派としては残念なことこの上なかった。東金のカードも(東金にいたチームも)観たかった。


ただ,実際に3コート4コート(たいていサブアリ使用)同時進行をじっくり観られるわけもない。2コートでさえも落ち着いては観られないぐらいだから,まあ,仕方ないのかな,とも。でも観たかったよう。ぐすん。


わたしが注釈なしで「天皇杯」というときは「天皇杯関東ブロックラウンド」のことであるくらい,ここが天皇杯のハイライトだと思っているのでね。2日がかりで,予選グループ(トーナメントに入る位置決め大会)→決勝トーナメントにして,全チームから4代表決めてもいいぐらいだと常々思っているのに。


(裏を返すと「ブロック代表」といいながら最初からグループが決まっている,そのグループ分けのなされ方もいまひとつ不透明な現行の方式が気に入らないのです。毎年言ってる)

Bグループ(代表:東海大学


秋の関東大学1部リーグを制した東海大学だが,レギュラーのうち3人がアジアジュニア選手権で不在。千葉ゼルバ戦,宇大戦ともフルセットの厳しい戦いとなったが,試合の中で修正し,代表の座を獲得した。


千葉ゼルバ2-0東京トヨペット(25-18,25-16)


→Z:10S吉岡 17浅野 13中野 11杉崎 12大町 19小野 L7杉山


P:9S徳岡 1伊藤 16松本 8西片 6大貫 3柴 L2早川


千葉ゼルバのリベロユニフォームがチーバ君だった。目立つしかっこいいしかわいい。イタリアのモデナみたいな。セカンドユニではなくリベロ専用デザインでチーバ君の赤色を基調に,バレーボールをしているチーバ君の線画があちこちにプリントされている。脇にチーム名が入っているのもかっこいい。


トヨペはベンチ入り9人。内1人は松枝監督なので実質8人。12橋本は1秒も出場しなかったのでコートの7人で全部まわした。


セッター徳岡。リベロ早川。うん。チャレンジ界隈で近頃流行のゼロセッターにトヨペも参加したみたい。浅見がいなかったのが今日だけの不運であることを心から切実に願う。


第1セットがあれよあれよと終わり,これはトヨペが負けそうだと思って第2セットはちらちら気にかけていた。


あまりきちんとは観ていないのだけれど,率直にお話しにならなかった。実業団予選を勝ちぬいたゼルバが(昨季GCMに比べて)強くなっている可能性は高いにしてもだ。ゼルバもNUDE兼の選手がNUDEから出ていたりパンフに載っているけれど姿は見られない名前もあったりと,けしてフル装備ではないんじゃないかと推測されるにつけ,トヨペそうとう酷い。


徳岡が悪いとかそういうレベルじゃないっていうか。もちろん徳岡も良いとは言えなかったけど,ふつう急造セッターってこんなものかなあ,なんて。昨季警視庁の中道がどれだけ(経験があったにしても)希有な人材で希有なコンバート成功例だったかを改めて確認することになった。カットが悪いセットが悪い。アタッカーもまあぼちぼち。


開幕2週前に地域(で優勝争いには絡んでこなかった)ゼルバとやってこの点差として,リーグどうするの。ちょっと洒落にならん気がする。浅見がいることを祈り,来年の入団内定選手にセッターがいることを祈る。強力に祈る。

宇都宮大2-0産能大(25-10,25-13)


→U:1栗木 15秋山 8アハンガル 3森崎 14多賀谷(7宮田) 16尾高 L6関根


S:3和田(2s:7石井) 11萩原 15北村 1笠原 17永島(2s:16河野) 14渡辺 L2佐々木


産能大は初見のチームだったが,そもそもこの試合を観ていない。観る暇もない超高速さくさく進行だった。


宇大は2部,春優勝で秋も(惜しくも逃したものの)最後まで1部との入替戦枠を争っていた。一方の産能大は3部,A,かな。2部との入れ替え戦で名前を見るチームでもない。


その差は大きかった。とくに宇大の武器の一つであるサーブだけで,ほとんど片がついていた。サービスエース,レセプションが乱れてスパイクミス・キルブロック。これが2部上位と3部との差なのだろうか,などと。

東海大2-1千葉ゼルバ(23-25,26-24,25-22)


To:23松林 21本林 19佐々木 11小林 10栗山 22椿 L28井上


Z:10S吉岡 17浅野 13中野 11杉崎 12大町 19小野 L7杉山


東海大はやたら「○林」が多い。名前に「木」が入っていないのが井上だけで,いったい何本「木」があるのという勢い。さすが平塚の山の中にある湘南校舎(え)。


冗談はさておき。千葉ゼルバ。杉崎(元FC東京ですな)にかなりやられた。サーブもえぐかった。東海大は佐々木も松林もスロースターターでなかなか上がってこず,安心して任せられるアタッカーが栗山しかいない状態で虫の息。


東海大は第2セット20-24のビハインドから追いついた。まさに薄氷。第3セット,ラリーの末に小林が後衛からパイプを決めたときには胸が躍った。


チーバ君ユニをファイナルラウンドでお披露目したい気持ちはあったけれども。

東海大2-1宇都宮大(17-25,25-20,25-21)


U:1栗木 15秋山 8アハンガル 3森崎 14多賀谷 16尾高 L6関根


To:23松林 21本林 19佐々木 11小林(1s途中-34宮原) 10栗山 22椿 L28井上


栗木のサーブで試合開始。ブロック,トランジションアタック(森崎だった)と,宇大が先行する。東海大はサーブミスやアタックライン踏み越しも多く,なかなかのれないというか安定しないというか。そして佐々木が異常に決まらない。


あまりに決まらない(ミスとかシャットアウトではないんだけど,とにかく決まらない)のでOPを鈴木にかえてみてもええのではと思っていたところ,交代したのは小林(→宮原)だった。そのときにはまったく状況を把握していなかったのだけれど,レセプション強化目的の交代だったのかなあ(ゼルバ戦で,後衛の間だけ宮原という起用が見られたので)。東海大のレセプションはたぶんサイド3人(+リベロ)がローテーションや相手次第で2枚だったり3枚だったりしていると思われるので,OPを鈴木にしづらいのかなとは勝手に考えていた。秋のリーグ中に鈴木にかえて勝った試合もあるんで,わかんないけど。


第2セットは中盤まで競り合っていたが,栗山のサーブで東海大が16-12と抜け出す。そのあとの椿サーブのローテーションでも東海大がブレイク。宇大は最後に追い上げるも及ばず,だった。


結果論にはなるし他の要素をすべて無視してはいるのだけれど,サーブ最強論に基づけば,宇大が第2セットレセプションスタートにもかかわらず栗木P1で始めたのは,解せなかった。


宇大はフロントオーダーなので配置の妙は(バックオーダー以上に)わからないのだけれど,サーブだけで点が取れる栗木のサーブが最後になるのはもったいないように思うんだ。宇大サーブスタートの第1セットと第3セットは宇大のブレイクポイントで始まっているから余計に。


そんな第3セット。しかし第3セットは東海大がゲームを制した。東海大リードで展開するも,19-19で宇大が追いつく。追いつくところに栗木あり。ところが,そこからがわわっと進んだ。長ーい返球を,栗山が腕を伸ばして押し込んで(よくオーバーネットを取られなかったものだと思う)東海大が20点目を取ると,栗山のブロック,ジュネのスパイクミス(ネットだったか),ワンブロで入った東海大加口のブロック,続いて再び栗山ブロック,一気に24-19となり,ほぼ大勢が決した。そこから佐々木のサーブミスとスパイクミスで24-21までは詰まったが,最後は栗山がスパイクを決めて,東海大がおそらく天皇杯始まって以来8年連続となるファイナル進出を決めた。


秋季リーグが終わってから3週間経っていたので,正直なところ,秋の優勝チームがどこだったかさえも忘れていた。東海大は(メンバーが半分違うこともあって)「強い」感じは全くなく(リーグのときからなかったけど),このグループでなければ抜けられなかっただろうという印象は受けた。その点に於いて,運の良さは否めない。


ただ,そのお陰というかなんというか,栗山がえらく頼もしさを増さざるをえないのは味わい深い。今のセンターエースっぽい手の打ち方は嫌いじゃない。そして,第3試合は松林がようやく起きてきた。覚醒したときの松林は好きだ。限定の係助詞なのは気のせいだ。


ファイナルで観たかったのはどちらかというと宇大のほうだったのだが,という話は別エントリに。


さて,『栗』って何回書いたかな。

Dグループ(代表:つくばユナイテッドSun GAIA)


サンガイアが,チームとしては初のファイナルラウンド進出。また,関東でVチャレンジチームが代表になったのも久しぶり。初戦駿台学園戦の第1セットを落とし,第2セットもビハインドからの逆転での勝利。富士通との試合は,昨季Vチャレンジの差がそのままというか,現時点での仕上がりの差を感じさせる内容だった。つーか,再来週の開幕週に当たるらしいんだが,ここ。


富士通2-0群馬VC(25-18,25-18)


F:14岩井 10岡村 8廣本(2s-1中川) 3田中 19松野 16S新 L12芳賀


→G:3S後藤 4福田 14田村 13山田 7武田 1鎌田 L10高橋


群馬VCの鎌田は明治大91の鎌田。ちょうどネットを挟んで富士通の新と前衛センター同士となるローテーションがあり,その度にネット越しに何か話をしていた。


喜ぶべきは明治91生の,プレーヤ継続率の高さ。Vリーグのチームに進んだ選手こそ新一人なれど,昨年度の4年生スタメン組は引退後の今年に入ってからひととおり試合でプレーを見たことになった。群馬ユニフォームに身を包んだ鎌田の姿を噛みしめていた。


さて富士通は岡村が本格的に戦線復帰の様子。1セット目の廣本もよかったけれど,2セット目の中川はさらによかった。

つくば2-1駿台学園高(23-25,25-22,25-17)


→Ts:10五十嵐 4丸山 23南(2s-19浜田) 6瀧澤 3奥村 2浜崎 L22吉野


Su:1S田島 10坂下 2貝原 6安田 11吉田 3西河 L12土岐


駿台,楽しかった。エースはキャプテンでもある西河なのかな。わからん。全体的に,ジェネラリストが多いチームというか。選手の起用も攻撃の形も選択肢が多い印象を受けた。


坂下(後ろの人達が「じゅんや」と呼んでいた)のバックロウからのアタックがいい。それから,OPの6安田。不思議なムードのある選手だった。第1セットは田島→4近江に交代し,その間(安田後衛で)セッターをつとめもしていた。


高校カテゴリによく見られる傾向ではあるが,駿台学園も多分に漏れず,ディグが巧い。リベロの土岐と吉野の両リベロがコート狭しと駆け回ってディグをあげまくっていたラリーは舌を巻いた。両チームが拾い合って粘り合う展開。ただ,そうなってくると,最後の決定率でサンガイアが上手かな,と。


ときに,先頃サンガイアへの入団が発表された浜田(深谷高→国士舘大東京ヴェルディ)。ヴェルディ時代が専らセッターだったのでうっかり忘れかけていたが,はましょーはもともとポジションはましょーの人であり,コクシ時代は半々かどちらかといえば打つ方が多い人だった。


今日の試合においては,セカンドセッター的役割も担いつつ基本路線はアタッカー(OP)と見た。ツーセッターじゃないのが残念だ。

明治大0-2富士通(20-25,23-25)


→M:10野村 16小林凌(2s:9小野寺) 19政井 18濱中(2s途中-23川村) 11原 12與崎 L14瀧野


F:14岩井 10岡村 1中川 3田中 19松野 16S新 L12芳賀


明治は,3年生以下の編成。パンフレットで選手登録されていた中村・有田もベンチアウト。中村は監督バッヂをつけてベンチに入っていた(監督も来ていたけれどベンチ入りせず。去年もそんなだったような)。


キャプテンマークは與崎。来年は瀧野主将の與崎ゲームキャプテンかしら。それとも與崎1番腹棒かしら。負けはしたものの,コートに来年の明治の姿が透けて見えて,それがとてもわくわくするものだったので,沼って怖いと思った。


富士通は中川さんがプレーでもプレー外でもぶいぶい言わせていた。岡ちゃんが復帰したので,中川と岡村が揃いも揃って,点を取るたびにアップゾーンにハイタッチに行ったりアップゾーンに向かって謎のパフォーマンスをしたりと,ボールデッドのときのほうがやることが多くて忙しないじゃないかという勢い。

つくば2-1順天堂大(25-21,22-25,25-16)


Ts:10五十嵐 4丸山 19浜田 6瀧澤 3奥村 2浜崎 L22吉野


→J:12浅野 5廣瀬 1柳田 10堤 25濱道 11S渡邉 L20松崎/2館石


隣コートと被っていてこちらはちら見したかしないか,ぐらいなのだが,どうやら廣瀬と奥村がガチマッチアップだったようで。なんだろう,想像するだけでも殺気を感じる。奥村のブロードを廣瀬が一枚で止めた(止めようとした?)場面は見たな。


もおりかわいい,なのだが,順大今ひとつ打ち切れてないかな。いや,吉野が凄いのか。わかんないけど。

つくば2-0富士通(25-20,27-25)


→Ts:10五十嵐 4丸山 19浜田 6瀧澤 3奥村 2浜崎 L22吉野


F:14岩井 10岡村 1中川 3田中 19松野 16S新 L12芳賀


第2セットは富士通が後半に入ってもまだ4点リードしていて,てっきりフルセットになるものと思ったのだが,追いついてからのサンガイアが強かった。


両チームのいちばんの差はセンターか。つくばの丸山-奥村対角は二人とも決定率が高くそれぞれに脅威。それに丸山はサーブも1度では終わらない。サービスエースも多かった。ブロックもがしがし決まっていた。対する富士通は,終盤サンガイアに追い上げられ一本のサイドアウトを取るのに苦しんでいた場面。センター使って切れれば楽だろうに,全部サイド,全部中川さん。そりゃブロックにもつかれる。ずっと合っていなかったのが怖くて使えなかったんだと推察されるが,厳しかった。


最後は中川を五十嵐が止めてゲームセットとなった。


16時半ごろ終わり。

*1:余談だが,今年は千葉県から実に4チームがブロックラウンドに出場した。県代表の武大に加え,実業団代表で千葉ゼルバ,クラブ代表でNUDE,そして,ブロック推薦で順大。千葉開催の年に実業団枠とクラブ枠を千葉のチームが自力で選考大会を制してもぎ取ったのは千葉にとって良い話だったんじゃないだろうか。せっかくだからもうちょっと盛り上がれるともっといいのに(場所がなー)。そして,それぞれ別グループに分かれたことにやや恣意的なものも感じたり。