関東大学バレーボール秋季リーグ1-2部入れ替え戦


日本大学八幡山キャンパス総合体育館


男子2-3部2試合(2コート同時進行)→男子1-2部2試合(特設コート)の順。例によって,1-2部の試合開始に合わせて向かったつもりが時間の読みを誤ってしまい,到着したころには,国士舘-駒澤の第1セット終わりかけだった。


お値段1000円。


日大八幡山の総合体育館を訪れたのは,2011の日立明定期戦以来か。環八沿いが正面入口らしいが,全く記憶になかった。前回は迷子になったあげくに横から入ったからかもしれない。1階がスタンドで,コートを取り囲んで4辺(椅子なし立ち見),B1がアリーナ。アリーナにもパイプ椅子で観客席が設けられていた。床に日大のロゴマークが入っていてかっこいい。

国士舘大学(1部11位)3-0駒澤大学(2部2位)(25-19 25-20 25-21)


各々残留。


コクシ:13伊藤 12池田 16奈良岡 50石井(3s途中-:5河西) 48工藤 28小島 L1権藤/14村山


駒澤:10富永 25佐々木 9愛甲 19高子(3s:4柴田) 23戸嵜 7大野 L29藤岡


奇しくも春の入れ替え戦と同じカードとなった。春は2部の国士舘が1部の駒澤を3-1で破って入れ替わった。駒澤は秋2部上位混戦の中で最終日に2位を確定させて国士舘へのリベンジマッチとなったのだが,結果はストレートで国士舘に軍配。


駒澤は,春は出ていなかった1年の戸嵜のパイプが爽快だった(後衛では20沖山とかわる場面も多々見られたが)。アーモンド型の目とちょっと長めの襟足がかわいい。このところ,あらためて自身のストライクゾーンの広さが痛感されている。


しかし試合は,駒澤がセット終盤にばたばたとミスを量産して,ずるずるっと引き離されるパターンだった。愛甲も大野も,もう少し打数が多くて決定力もある印象だったんだけど,試合を通して存在感が(期待していたのに比べると)少し希薄だったのも残念だった。


対するコクシは,きっと池田が(わたしが気づかないところで)地味にいい仕事をしているんだろうなあ。工藤のヴェルディ入りが発表され,石井もしれっとアザレアのメンバーに名を連ねており,タイプが違うけれどそれぞれ活きの良い2人の1年生のプレーをこの冬も引き続き見られそうなのは楽しみだ。


コクシも駒も応援が楽しい。第3セットが始まる直前,駒澤応援団がコクシの応援の歌を歌い始め,コクシ応援団がそれにかぶせて歌い始めて謎の合唱が展開されていた。


駒の応援は(中国リーグではポピュラーだが)関東1部にはないので,懐かしくも寂しい。コクシ応援団を来年春も1部で見られるのは,それはもちろん嬉しいのだけれど。

慶應義塾大学(1部12位)3-2大東文化大学(2部1位)(22-25 25-15 26-24 21-25 15-9)


各々残留。


慶應:3野口 6稲田 8丸谷 28黒田 22上野(2S-:12上田) 1柳田 L15林/16野瀬


大東:2堀川 9林 3小作 4茂木 10平林 1石田 L21高橋頌


試合後の慶應関係者の魂が半分抜けていたフルセットゲーム。彼らは生きた心地がしなかっただろうけれど,上から見ている分には実に面白い試合だった。


慶應には秋全休だった柳田の姿があった。折しも味の素トレーニングセンターで学生選抜メンバーの強化合宿が行われており,もしかして入れ替え戦も不在ではと危惧していたので,アップが始まって姿を見かけたときに,ほっと一息ついた。


試合展開はとてもほっとできるものではなかったけれどね。彼がいなかったらどうなっていただろうと思う一方で,リーグに彼がいたところでどうだっただろうとも思った。まあ,いろいろ。東日本インカレの成績と秋の成績を比べて「やなぎが1人で支えているチーム」と思ったのはある意味正しく,ある意味正しくないのだろう。


第1セットを落とした慶應は,第2セットのスタートから上田が入ったことが良い転機になったように見えた。ラッキーボーイ的にキルブロックが何本も出た。フローターサーブも効果的で,上田サーブ時のブレイク回数が多かったことで慶應のコートは好転した。


やなぎはそりゃあフル稼働ではあったけれど,完璧とは言えなかった。いや,悪くはないのよ。稼働率が高すぎただけで。サーブでは狙われていたし,崩されてもいた。スパイクも,なかなか通らなかった。拾われていたのはやなぎが悪いんじゃない(やなぎの打数があまりに多いから大東守備がやなぎシフトになっているとか,トス自体ほにゃららとか,あの強打を真上に上げちゃう平林と高橋頌がうますぎるだろとか)説はおおいにあるが,思うように攻撃は決まらないし第1セットも取られる。背負っているのがありありとわかる様子で,終始表情が硬く,ぴりぴりしていた。


そんな殺気立った険しい柳田さんは,怖いオーラが出まくっていて,コート内のムードも明るく楽しげとはほど遠いものだったけれど,わたしは好きかもしれない。コートの中で声を出してあれこれ指示する姿は主将らしく,たくましかった。


体つきも表情も,前に見たときと変わっていた。最初,本人だとわからないぐらいに。細身ながらもひとまわりがっしりしていたし,顔つきもすっかり大人のそれだった。代表に帯同してあちこち遠征に出かけた中で,そうとう鍛えられてきたんだろうなあと。線が細くて柔和だった柳田さんはヨーロッパか南アメリカあたりに置いてきたんですかね。


セット終盤の勝負所での冷たくて熱い集中力がさらに濃密になっていた。圧巻は第2セット。22-15から柳田のサーブ。点差にも余裕があり思い切り攻めていける場面,慶應は前衛の野口にワンポイントブロッカーの上野を投入。


したら,柳田は,3連続サービスエースでセットを終わらせた。それもレシーバーの手をはじき飛ばす,えげつないやつ。ワンポイントブロッカー起用の意味がなさすぎて怖かった。


第3セットの最後は,大東石田とのにらみ合い。大東アドバンテージの24-24から上田サーブのところで上田→尾木&野口→上野の変則2枚替え,やなぎがトランジションアタックを決めて25-24と慶應アドバンテージ,それから,第1セットのラストにブロックされていた石田をやなぎが止めて26-24で取り返した。


振り返ってみると,やなぎ前衛時のやなぎの打数の多さは尋常でなく,これだけ打たされればそりゃ厳しいだろう。そこを何とかしてほしかったのかなあ,わたし。久しぶりにプレーを見られたのは嬉しくもあったが,これが見納めだとするとすっきりしない。或いは第5セットが1得点だからすっきりしないのかもしれないが,全早慶明もあるから,まあええか。


残された時間はインカレまであと1か月。慶應がんばれ。チームとしての慶應を観たいです。やなぎの,とか,やなぎを,じゃなくて。うまく言えんけど。それがずっとひっかかっているところだから。


インカレ,最終日まで残ったら行くよって言ったら残りますよって言ってくれた人がいるんでね。期待してる。


さて,大東文化大。2部全勝優勝。強かった。林のサーブはほんとうに脅威だった。キャプテンでセンターの石田は力強いスパイクは決定率高かったし,がっつぽで率先してチームを盛り上げる様子も素敵だし,要所のキルブロックも効いていた。リベロの高橋が実にうまかった(セッティングがオーバーハンドなら言うことないのに)。全体的に,ほんのちょっとだけ足りない感じ,「ちょっと惜しい」感じが歯がゆくさえあった。S6レセプションローテーションを回せるだけのあと1枚の攻撃力とか,コンビネーションやスパイクのあとほんの少しの精密さとか,そういうの。それがあったら勝てるのにって。


入れ替え戦の相手がwithやなぎな慶應だったのは,大東にとっては不運だったろうし,お気楽な外野としても,少し残念だった。withやなぎの慶應は,純粋に「秋の1部12位」と言っていいのか,と(言えるかもしれないし言えないかもしれない。ifはないのよね)。入れ替え戦の大東の様子を見る限りでは,1部の下位チームとは互角に戦いそうに見えたけれど,やってみないとわからない。入れ替え戦がコクシ相手なら勝てたと言いたいわけでもない。乗ったときには勝てそうだけれど地力だと見当がつかない。(そう書くと一時期の法政ぽいな……)。要するに,1部のほかのチームとの対戦をたくさん見てみたいと思った。


だから,フルセットまで持ち込んだのにミス多めになって勝てなかったのは惜しかったし,2部残留は残念ではあるのだが,どうせ来春は新チームだから,今の大東たんとは別チームだ。厳しい戦いになるのを承知のうえで快くやなぎを送り出した慶應が2部落ちになるのも(いくら入れ替え戦にはやなぎが出ていたにしても)後味が悪い。白熱の試合になったうえでの双方残留は,当事者にとってはともかく,一外野としては妥当な着地点ではあった。


石田と茂木は来年の大東にはいないけれど,林のサーブが火を噴くところを見たい。ただ,それこそ,彼らは皆アザレアで見られるだろうから,冬はそちらで楽しもう。


(とか言いながら,わたしは「年明けたらすぐにやなぎは試合に出る」に一票入れる派だし,出るなら観に行きそうな気がする。笑)。