深夜のぽえむ・その2,ぐらい


たまたま話題を見かけて自分も見返したくなり,帰宅してから2011年の全日本インカレ男子準決勝第2試合東海大-中央大のJSports放送の録画を少しだけ観た。再生ボタンを押したら第3セットの途中から始まったのでそこから試合終了まで。


4年経った。このときの1年生が(4年で修了すれば)この春で大学を卒業する。つまりこの春で選手が完全に入れ替わる。両チームとも,このときの1年生(92生)にがっつり試合に出続けた選手がいないからよけいにチームが様変わりしている感覚が強い。中大は監督もかわった。


自分もいたであろう客席の自分のまわりも,かわった。当時よく一緒に観ていた人たちのうち少なからぬ人数が今関東にいない。


今も大学リーグを楽しみに観ている。今のチームも選手も好きだ。これより後で接点が増えて今親しくさせてもらっている人もたくさんいる。今も楽しい。


昔と今とを比べるものではない。更新されるごとにより良くなっていく種類のものではないから(より良くなるにこしたことはないけれど),それはきっぱりと言える。


この代の2チームが好きだった。このときの試合や思い出はこのときにしかなくて,他にはかえられない。


だけど,個々の選手に関しては,そうじゃない。現役であるうちはその人はよりよくなり続けるもので,あの頃よりも今,今日よりも明日,常に最新が最良であってほしい。少なくとも,そう思っていたい。願っていたい。


もちろんスポーツ選手の現実はそういうわけにはいかない。最終年でない年にキャリアハイが存在するのが現実だ。だからあくまで気の持ちようの理想論だけど。


自分に対して素直になれない。つまり,油断するとすぐに「あの頃が良かった」と感じそうな自分を許せない。だって,今物足りなく思えるのは,越えるべき山がそのときより高くなったからで,自分を伸ばしながら上っていっている最中だから。けしてピークを過ぎたわけではない(とわたしは思っている)から。


後悔している。上ってきたこの3年を自分の目で観てこなかったことを。もっときちんと向き合っていれば,今の良いところや伸びているところを発見できていたかもしれない。


でも,それは自分の選択だ。仮に今時間を巻き戻しても,似たような選択をするだろう。今は一時的に気持ちが入っているが,もともとその程度の関心だった。それはたぶん変わらない。


初年度は黒鷲旗とパンパシでそこそこ観た。リーグはあまり観ていない(さほど出ていなかったような)。2年目はカザンユニバで(観ていないけど)大騒ぎした。リーグはあまり観ていなくて記憶にないが,記録を紐解けばけっこう公式戦で観ている。3年目の今季はレギュラーに定着したと言っていい状態で,多くの試合に出場してきた。


こうして振り返ってみるとずいぶん恵まれていた。今季のようなほぼスタメンレギュラー状態なんて,夢のまた夢の世界だった。


インカレを観ると,こんなに凄かったのにって思う。点取り屋OPとしてオープントスをばかすか打っているところを見たい。ダイナミックなバックアタックを観たい。今は打つのは専ら前衛レフトで,オープンも少ない。バックセンターでは助走はするがボールは上がってこない。それを物足りなく思う。


でも,まず,相手が違う。相手が違うのに同じように対応しても同じようには決まらないだろう。それに個人競技ではないのだから,チームの約束事もあるしチームの約束事の中での役割が最優先されるだろう。


物足りなく思うかわりに伸びた部分もあるだろう。たとえばサーブレシーブとか。公式ウォームアップぐらいしか観ていないがよく練習していた。もっとちゃんとその様子を見ておきたかった。


これから一層努力してレシーブが安定すれば,いつかパイプも……。


と期待していた,と過去形でしか語れなくなってしまった。今ここで選手としてのキャリアが終わることに,心残りが全くないとは言えない。それは,セカンドキャリアへの期待と矛盾なく同居する。でも心を残しても意味がないから,考えないでいる。


悔やむことがあるとすれば,今年ぼーっとしていたことだ。


そのぼーっとしていた空白を埋めるかのように詰め込んだ。過去は取り戻せないし今以上の未来は絶たれてしまったけれど,今を余さず観られたことはやはりものすごく幸運で,だから寂しくないし,すっきりした気持ちでいる。