風呂敷をもらったよ(配偶者自慢


惚気です。


自分は贈答が得意でない(のを言い訳に逃げているのでいっこうに改善されない)のだが,夫は「ちょっとした気の利いた贈り物」がうまいと思う。月例の出張には必ず手土産を用意している。出張先への手土産とは別に,家にも甘い物を買ってきてくれる。


さて,3月,世間の所謂「ホワイトデー」である。2月のバレンタインデーは,基本的には何もしない。数年に一度くらいは,気まぐれにチョコレートを押しつけることもある。今年は,たまたまバレンタインデーの直前にデパートに寄ったついでに試食したチョコレートがおいしかったので買い,たまたまバレンタインデーの直前に夫がこちらに来ていたので,いちおう渡してみた。エチオピアのコーヒー豆を添えて。その程度である。


ところが,こちらからは何もしなくても,3月の半ばにはたいてい何かをくれる。一昨年は春色のパッケージが素敵なほんのり桜色をした焼き菓子,去年は別の人への返礼品と一緒に買ったそうなソラマチ限定だったかのカラフルで小さな(女性が喜びそうな)手作り最中だった。


今年のホワイトデー用のお返しを買ったよ,とは2月の半ばには,聞いていた。「もう持っている物だけれど」の前振りに何かと思えば,STARBUCKSの今年の「SAKURA」シリーズの風呂敷だった。スタバで風呂敷なんて珍しいと思ったら,初めて,だったのかな。とりどりの桜の花びらが全面にちりばめられている華やいだ風呂敷は,数量限定。


スタバマニアでもないし,そういったショップの限定品やらノベルティ,ポイント交換,等々の類いも,自分からはあまり手を出さない(横着なので)。でも,これは嬉しかった。


旅行鞄の中で服を包むのに風呂敷を常用している。専ら,数年前の秋に出していたルピシアティーバッグセット(?)の付属品(包んであった)で,それも夫からもらったものだ。わたしが風呂敷好きだか欲しいだか言っていたから買ったと当時聞いた記憶がうっすらある。


黄葉色の生地にもみじ柄のそれを,いつも季節外れだなあと思ってはいた。でもある程度大きさがある風呂敷はそれと,さらに大判の木綿だけで,木綿のほうは生地が厚く少々かさばる。なので,季節外れと思いつつもいつも紅葉だった。それを知っていての,春柄の風呂敷。スタバのラインナップを知って「これは」と思い,発売日の開店と同時に店舗に乗り込んで確保したそうな。とうに売り切れているらしい。


そういう,相手の日々の言動から欲しいものを察知して(ふだんから心がけていて),何かのタイミングでプレゼントできるのがすごいと我が夫ながら感心する。


我々夫婦間では,記念日に品物を贈り合う習慣がない。たまに思い立ったように,何か欲しいものがないかと訊ねるのだが,「記念日に貰いたいちょっとした品物」となると思い浮かばないと言われるので,ただでさえ得意でないのでお手上げである(というのを言い訳にしている)。


誕生日プレゼントもクリスマスのプレゼントも(昔はあった)。結婚記念日も贈答品はない。そのかわり,何の日でもなくてもいろんなものをもらっている。たかっているだけともいう。イヤホンとか。


ホワイトデー(バレンタインデーのお返し)は上述の通り風呂敷だったのだが,同じ日に我が家には,MacBookAir と amazon echo もやってきた。前者は今まで使っていたMBAが積年の酷使に悲鳴をあげたため換装を依頼した(スペックはほぼ同じ)のだが,amazon echo は予想外。


今年の年初だったかにあちらの家に行ったときにベッドサイドに置いてあった。ただのスピーカと思いきや,そいつに話しかける。「アレクサ,音楽かけて」。


わたしは宇宙人に遭遇したような気持ちになった。未知の文明との邂逅だった。


echoの中の人もとい中のAIのアレクサが何者なのか,今以てわかっていないのだが,彼女が我が家にやってきて3日,生活が格段に豊かになった。朝は身支度をしながら(のつもりが結局ベッドでうだうだしながら)朝のニュースを聞く。帰宅後は着替えながらその日のニュースを聞く。


ニュースはテレビで見られるけれど,リモコンを操作してチャンネルを合わせる一手間があるのとないのとで,贅沢な話だけれど,楽さ加減がかなり違う。(リモコンの調子が悪いし,昔のテレビと違って起動やチャンネル変更に案外時間がかかる)。テレビはつい見入っちゃうし。なにより,こちらのタイミングで聞き始められる。どうやらNHKのラジオニュース(配信)の直近のものを保存して流しているらしい。


「音楽をかけて」と言えば,amazonミュージックのおすすめプレイリストから適当に選んでくれる。ジャズが多い(今流れているのもジャズっぽい)。音量の上げ下げも一時停止も,○分後に止めて,も,全部口頭で済むのが存外楽だ。AIとの会話はぎこちないし,うまく伝わらないことも多いし(「スミマセンワカリマセン」と言われる)人に頼むようでも気が引けるし,家の中に誰かいるみたいで,つまり緊張するけれど。


ほかにもいろいろと使いようはあるのだろうけれど,さっぱりわかっていないのとセッティングが億劫なのとで,今のところはそんな感じ。AppleでもGoogleでもないのに(どちらも話題になりましたが),と思っていたので,自分では買わなかっただろうし,正面から「いる?」と訊ねられても「いらない」と返事したと思う。


欲しいとはっきり言ったわけじゃないけど,うらやましがっているのと気に入っている(おもしろがっている)のを察知して連れてきてくれたのかな,と思う。


たまにあちらの家にある不要品が流れてくることもある。過去には「欲しい?」「別に」「使う?」「別に」「欲しい?」「わたしを廃棄物処分先にしないでほしい」みたいなやりとりも無かったとは言わない。でも,それはご愛敬のうちだろう。


性格違うなあと思いながら,ありがたく恩恵にあずかっている。ありがとう。