そのまま泊めていただいて29日。

起きたら昼(←………。)。午後から浅草に出て履物屋へ。土日祝休みの例のお店に行ったところ,年内最後の営業日ということでお客さんが多かった。行く前はこんな日でもなければ行かれないのでたくさん買おうかと考えていたのだけれど(百貨店級の小売価格と比べると半額か半額以下のようなので,ほかで買う気にならんわけ),時間の余裕もそれほどなかったし,必要に迫られずに何足も履物ばかり買うのもね。特に,どうやら草履は滅多に履かないようなので(今のところ専ら下駄ばかり。草履買ったけど履いてない),あこがれの畳表の草履は今回も見送りにし,比較的必要性の高い,雨用の下駄を一足購入する。「時雨」と言うらしい。歯の先にゴムの付いた二本歯の台。これにビニール製の鼻緒をすげて,ビニール製の爪かけを掛ける。爪かけは着脱可能。ひとそろい買って税込み5030円(下二桁あやふや)。内訳は推定で台が2800円鼻緒が700円爪掛けが1300円。


着物を着ていて困るのが,雨が降ったときだそうだ。足下について言えば,草履(または下駄)+足袋のスタイルは,甲が覆われていないので雨に濡れやすい。濡れると寒い(そういう理由かどうかは定かではない)。そこで雨の時にはつま先が覆われている履物を履く。下駄の場合は爪かけさえ掛ければ下駄そのものは雨専用でなくても良さそうなのだけれど,わたしが今持っている下駄は爪かけが掛けられない形だったので,まとめて買ったわけ。買ってみたら,これは夏場の浴衣にもちょうど良いのでは,と気づき,ちょっぴり得した気分になっている今日この頃。といっても,浴衣を着る機会が来年の夏に訪れるのかどうか,かなり未知数。


下駄とひとくくりに言っても様々な形があって,それぞれに名前が付いている。女物限定の話で,いわゆる下駄の形(二本歯)をしているのが芳町,草履と同じ形なのが舟底(違うかも),薄っぺらいつっかけ型のが右近,ほかに千両とか小町とか。知らなくても困らないけど,芳町芳町のお姐さんたちが好んで履いていたから芳町なんだそうで,そういうのはなかなかに風情があって素敵。


かなまるを連れて行ったところ,かなまるは店内の様子や鼻緒すげ職人さんにたいそう感激の様子。台と鼻緒が別々にうわわーっと(ごちゃーっと)積まれているその様は「究極のカスタムメイドだ」そうで。鼻緒をすげる作業も,なんだか細かい仕事の上にサイズを決定するのが鼻緒のすげ具合一つなので,その辺の手仕事感覚が,なかなかね。わたしはあのお店のおばちゃんが好き。割烹着姿で首からめがねをぶら下げて,ちゃきちゃきした様子が下町っぽい。足下は素敵に右近下駄。やっぱり普段履きには下駄でしょう。


鼻緒と爪かけを選ぶのにえらく迷った所為で恐ろしく時間がかかってしまい,下駄一足買っただけで浅草から東京駅直行,16時台の新幹線で岡山へ。仲見世も行きたかったんですがね。家に着いたのは21時前でした。


夜は年賀状を書いて過ごす。今年は(も)今ひとつ。3〜4人ランダムに「あたり」を混ぜる。どの辺がどういう風に「あたり」なのかは単にわたしの(今の)気分でしかなく,あたってももう一枚もらえたりはしないのでもらった人にとっては全然「あたり」ではない(他の人と違うという事実は,もらった当人には何の意味もなさない)。今年は原版がないので公開はしません。年始の挨拶をしたくても住所を知らない人がいっぱいいるんだけど,気にしないことにする。