成人の日だったので

振袖をチェックしに新宿まで出かけてきました(嘘です)。もともと成人式って自治体によって必ずしも「成人の日」に行うとは限らないところも多くって,確かにハッピーマンデーになる以前は,3学期も始まっているというのに(それも試験期間?)たった1日の為に移動するのか,できるのか,ということを考えると,厳しいものがありましたから,盆暮れの方が都合は良かったわけですな。特に盆にしておけば振袖を着なくても済むわけで(まさか真夏用の振袖を用意するほどの人はそうそうおるまい)。


杓子定規に考えれば,今現在済んでいる場所に住民票があるのが当然で,成人式は住民票のある(住んでいる)自治体のものに出ればよろしいのだから,移動がどうとか考える必要はないはずなんですけども,現実はそうではなく。実態は中学校卒業以来(或いは高校卒業以来)の同窓会なので,やはり郷里に帰って出たいと思う人が(わたしに限らず)多いんかなぁ。わたしは当時住民票を京都市に移していなかったので郷里に帰ったわけですが(カレンダーは休みに続いていない曜日のはずなんだが),けっこうとんぼ返りだったような微かな記憶。市の広報によると,住民票がなくても出身者であれば出席できたみたいで。


そんなこんなで,3連休になったのは,この3連休に成人式を行いやすくなったということで,だからって今更盆暮れ成人式だった自治体がここに動かしているのかどうかは知りませんが。愛知県の方面の某自治体では日曜日が成人式だったらしい。毎年必ず3連休(その代わり日は固定されない)になった以上,前後の移動を考えると,「成人の日」は月曜日でも「成人式」は日曜日がベストだよね。いっそ「成人の日」を1月第2日曜日にして,毎年毎年月曜日は振替休日っていう方法にすればよかったんじゃないかと,律儀に今日成人式をしていたらしい東京都(新宿界隈)のようすを見て思わないこともない。


夜(9時頃)ぱらっと雨が降ったほかは天気も悪くはなく,気温もそれほど低くなく(たぶん),風がなかったので体感温度としては悪くなかった。成人式の式場の近くには行かなかったのでわんさとはいなかったけど,夕方の新宿にはそれなりにぽろぽろと振り袖姿のお姉さんたちが集結していた。歌舞伎町にも。


振り袖姿のお嬢さん達を見ると気持ちが晴れやかになる。わたしが見かけた限りでは,「なんじゃそりゃ!」っていうほど派手派手しいのやけばけばしいのはいなくて,なんつぅか,おねえさんって感じでいいねぇ(しみじみ)。自分の方がいくつも年長のはずなんだけど,振袖だと多少おしとやかに見えるからか「わかわかしい」とか「子どもっぽい」とかいった感じがしないので,自分よりかよほど「おねえさん」に思えるのだった。


着ている本人としては着物の色柄も帯の柄も,帯揚げや帯締め・伊達襟の色合わせや,髪型に髪飾り,果ては草履やバッグやといった小物に至るまであーだこーだと悩んだ挙げ句,美容院でも素敵髪型・素敵帯結びにしてもらうべく苦心惨憺,しているわけだけど,なんちゅぅか傍目には烏合の衆(この使い方正しくないかも)。「あー,ふりそでだ,いいなぁ」ってだけで。「振袖」のヒトコトで括られてしまってハイお終い,みたいなとこはある,申し訳ないけど。振袖チェックに行ったわたしですら全体の色味と面積の広い前身頃と袖の柄ぐらいしか目に入らなかったので(伊達襟はみなさん白ショールで隠れてらっしゃるし),ちぐはぐなところがあっても気付いていないでしょう。小物関係で思ったのは「あー,みんな白足袋だー」ってだけだった。当たり前だっつぅの。


そんなことを考えると,いったい成人式に振袖を着るのは何の為なのかと考え込んでしまう。いや,「振袖を着る」こと自体は良いのです。成人式は式典だし,振袖は未婚女性の第一礼装なので。ただ,それ以上でもそれ以下でもないような気がしてきて,だから,振袖でさえあれば何でもいいはずなのにいろいろ凝ってみるのは一体誰の(何の)為なのかと。うぅむ。今時お見合い写真ってのも一般的なケースではないと思うし。オトコがいるなら,オトコに見せるために頑張るだろうか(せっかくだから脱がすときに興醒めされないように補正無しで着て長襦袢は緋色ってぐらいまで徹底的に頑張ってもらいたいものだが,どうだろう)。個人的な経験から推し量るに,周りのお友達に張り合うためというのが一番大きな理由ですけどね。通りすがりには烏合の衆でも,友達の仲間内では誰それの着物はどうだった,なんて感想も(心の内で)抱くのではないかと危惧してしまうから。しかしそれも実際にはどうってことなくて,あたしゃ,みかちゃんが日本髪に結っていたこととゆきちゃんの髪型が個性的だったことしか覚えていない。(つまり,超レアなものだけ覚えているということですな)。ゆきちゃんの着物はからし色だったようにも思うが,それは記憶の彼方。自分の借りた着物の色柄はうっすら覚えているけど帯は覚えていない(見えていないし)。結局,がんばっても意味無いじゃん,と,思うんだった。微妙。結局「制服って便利」って感じ?


振袖の柄というと,昔(といっても自分の成人式よりは後)から平凡ながらも総絞りの赤×黒が好きで,これは目を引いてしまう(今日も1人居た。素敵)。ほかに今日見た中では,緑系の銀色がかった渋い地色に鶴が白(銀)の無地で描かれていたのは珍しくて大人っぽくて素敵だった。黒地の小紋っぽい花柄の総柄のも,シックにポップ(意味不明)でかなりかわいかった。それぐらいかな。あとはじゃがいも畑のようなもので。帯は,金か藤色っぽい銀色が多い中,金地にきっぱりした大振りの亀甲文様の子が二人ほどいて,これを小振りに結んでいるのは締まっていて良かった。


上に述べたように自分の方が年長にも関わらず「おねえさん」と思える感じが嬉しいので,どちらかというと大人っぽい出で立ちの人の方が感じが良かった。差が出るのは,着物より髪型かも(意外と)。二十歳が社会的に大人なのか,現代に於いては色々考えさせられることも多いけれど,やっぱり大人だし「成人」式なのですね。中身はともかく見た目はちゃんと大人だ(わたしよりも余程)。わたしはまだ娘を持つ母ではないので母親の気持ちはわからないし,また,二十歳の当時物事に対してどんな考え方をしていたかも既に覚えていない(たわごとのログも採っていない)けれど,今日の感想によれば,「娘さんなんだから可愛らしい格好を」「二十歳の初々しさを」演出するのは逆効果のようには感じられ。


成人式というとお茶を習っていたころ毎年成人の日に初釜をしていた。普段のお稽古は洋服(土曜だから制服か)だったけど初釜は着物だった。そんなわけで,お稽古初めの和服姿のご婦人も多いのではなかろうかと期待していたのだけれどそちらは(時間帯が悪かったのか)微妙に空振り臭く,少しはいてはったけど普段と変わらない数だった。わたくしもお稽古初めと言うことで,お年賀も持たないくせに着物だけ着ていった。概ね4日の初詣セット(足下は下駄じゃなくお草履にした。お草履履きおろし)。4日に着たときには帯結びが大失敗だったのだけれど,今日は同じ帯を使って2度目だったのでまずます。かなり満足。でも下着の選択を間違えて外ですらむちゃむちゃ暑かった……侮り難しババシャツ。