文春新書「トマトとイタリア人」を読み終えたので,

いよいよジュネ。澁澤龍彦訳の「ブレストの乱暴者」に果敢にも挑む。最初の1ページで挫折しそうになった。なんで昔の文庫ってあんなに版面率高いんだろう。読みづらい。親指でページの端を押さえておくぐらいの余白しかない。版を作るのが高いからなのかしら。級数も今の文庫と比べると小さいし歯送りも狭い気がする。


と,ここまで書いて奥付を見たら,この本初版発行が2002年だった。だまされた。何を考えておるのか河出文庫。その上で,本文の最初の段落がいきなり延々と4ページ半続く。文章も段落の長さに負けず劣らずだらだらと落としどころのない続き方をする。


あああ〜〜。やっぱりだめかも翻訳文。


指で追って数えたところ,42字×18行。ちなみに,岩波新書著作権の考え方」が42字×15行。文庫と新書は横幅が同じで長さが新書の方が長い。それなのに1行文字数は同じだし,行数に至ってはこの文庫の方が多い。級数は一級落ちぐらいだと思うがいかがなものか,この読みづらさ。そして,澁澤先生も,適当なところで改段落してくだされば良いものを。


ページを開いているところを少し離れたところから見たら,どれだけ高尚且つ難解な書物を読んでおることかと感心されるやもしれぬ。確かに難解ではある。難解ではあるが,出てくる語句は「淫売屋の亭主」とか「殺人者」とか「麻薬」とか「阿片」とか「性器」とかそんなんばっかりである。これらの語句が高尚でない,という意味ではないが。ないのだが。何を置いてもまず難解。その一言に尽き。うう。