今朝方,住宅街を歩いていたら

どこかの家からChopinの所謂「別れの曲」が聞こえてきた。ちょうど弾き始めたところらしく冒頭から。きっと練習をしているのでしょう,というレベルの演奏だったのが懐かしさを喚起。


それこそ15年ほど前に某民放ドラマであの曲が使われて,わたしもご多分に漏れず「楽譜を見てみたい」と思い,ピアノピースを買い求めたものだった。あれ,E難度だったかF難度だったかなんだよね。ドラマで使われている部分を聞く限りではそんな風に思えなかったけど,当時のわたしのレベルではそんな難しい曲は到底弾けるはずもないことはわかっていたので,どうせ買っても弾けないだろうとは思っていた。


楽譜を買って中を見てみたら,ドラマでは出てこなかった気がする転調したあとの部分がシャープが鬼のようについていて(最初のところはフラットが鬼のようについているから良い勝負だけど)和音ばっかり8分音符で,もうごめんなさいって感じ。それを見た瞬間に「ここがあるからEなんだよ」と文句たれた。そして,そこはすっとばして最初と最後だけ練習した。とてもじゃないがレッスンの俎上に乗せるのははばかられたので,自宅で自力でこっそりひっそりと。


かの有名なフレーズだけはどうにかこうにか「あれを弾いているつもりなのね」という程度には弾けるようになりましたが,しかしそれだけではどうにもね。今日そのどこかの誰かの(深窓の令嬢かもしれない)演奏がまさにそんな感じだった。弾いている当人は脳内補完してしまうんだよなぁ。自分の演奏を録音して聴き直すとえらいあらだらけで情けないものです。だからって弾いている時に冷め冷めなのもまた問題でしょうが。


あれは,最初のところもしっかり難しい。


手がねー。小さいとねー。バッハのインベンションをこってりやった人なら大丈夫かもしれないがインベンションをやらなかった(中学の終わりだか高校に入った頃だかに先生にお願いしたけれど,いつまで経っても1番最初の曲がクリアできなかった。何が悪いのか当時も今も全然わからない)わたしには,3声っぽいのはなかなかしんどい。それに,指がねー。つりそうにねー。なるんですよねー。


同じくChopinの「幻想即興曲」を弾いたときも,8度の分散和音で右手の小指が主旋律という恐ろしさに,小指の力が追いつかなかったものです。わたしの耳が甘かった。あれが分散和音だと思っておらず,普通に和音だろうと思っていたんだよ,最初に聞いた,確か小学校2年生の時には(弾いたのはそれから何年も何年も後です,当然)。