展覧会は,会期前半の週末(天気も悪くない)の午後2時過ぎということで,たいへんな人出だった。

音声ガイドが一般向けと子供向けに別れていたり,中学生以下の子供には無料でモネとルノワールの色の違いを説明したリーフレットをもらえたりと,何やら教育的趣向。展示の配列も,ルノワール,モネそれぞれを題材(人物なり風景なり)ごとに並べ,そのあと,モネから続く風景画の系譜(ピサロ,スーラ,シスレーあたり)をたどり,その後ルノワールから続く人物画の系譜(忘れた)をたどるという順路になっていて,多分に教育的というか。お陰で西洋絵画に詳しくないわたしにはいくらか勉強になったし,素人でも素人なりに順路に沿って作品をみていく「見方」を提示してもらえていて楽しかったけども。


ただ,セザンヌおじさんとかユトリロおじさんの好きなわたしにとっては,ルノワールにしろモネにしろ眩しすぎて(笑),どうも,これ,という素敵な作品には出会えず。そもそもルノワールの肌の暗い部分の色があまり好きではない。あのやたらとピンクいほっぺたも。モネは「睡蓮」が3点出ていたけれど,これは逆に予想通り。あとで考えてみると,ルノワールにしろモネにしろたいそう有名な画家であるにも関わらず,目玉になるような「誰でも知っている作品」は一枚もなかったので,それがちょっぴり名前負けというか期待はずれだったのかも。その絵たちをああいう風に並べたのは上手いとは思うし,楽しんではきましたが。


わかるわからないは考えず取り敢えず生の絵を見ること(経験すること)は良いことだという考えを持っていて,これは絵画に限らない。実際には美術展もよほど興味を引かれたのにしか行かないし,コンサートには行ったこともないし,つまりは出不精の方が勝っているのだけれど。外出すると疲れるしね。


モネは,今月28日まで上野の東京都美術館マルモッタン美術館展でも出ているので,そっちがちょっと気になるかな。こんどの週末しか空いてないけど。


会場には和服姿の女性がちらほらいて,「和服がブーム」と言われる内のストリート系お嬢さんではない一派はこういうところに出没しているのか,と納得した次第。町中ではそんなには見かけないからね(年輩の方になるとちらほら見かけるけど)。言われてみれば,着物を着る理由としてこじつけやすいシーンではある。時候も極寒期を過ぎ,ちょうど着物を着やすい頃。この土日は大学の卒業式もあったようで袴姿のお嬢さんグループを何度か見かけたこともあり,わたしも久しぶりに着たいなぁと思ったものでした。


卒業式もあるけど,結婚披露宴も多いね。1・2月はほとんど無いのに,3月に入ると途端に電車の中やホームでのドレスアップした女性の出現率が急増する。今年は花粉も雨も少なく,披露宴をしやすい感じだ。勿論,日時や会場を設定するときにはそんなことはわからないのだけれど。この土日に結婚式や披露宴を行ったカップルは天候には恵まれていたということで。


若くて綺麗なお姉さんたちが特別にドレスアップしてドレスアップされた会場に集まって,みんな笑顔でおいしいごはんを食べるのは,赤の他人が傍で想像していても,なんとなく幸せな気分になる。普段はどうであろうがたまにはそんなのもいいかもしれん。色んなところで新しい戸籍が作られていて(必ずしも戸籍が作成されているとは限らないけれど),見知らぬ誰かの新しい生活が始まっていて,なんだか不思議だけれどちょっぴり嬉しい。日本の結婚披露宴のハイシーズンは連休の多い秋だろうけど,年度の変わり目の3月も,みんなの気分が自然と改まった感を持ちやすいので相応しいように思う。きっと秋の次に高いんだろうけどな。