きょうはしごとおやすみ

外はうららかな晴天。風だけはまだ少し肌寒い3月中旬。これぐらいの気温がいちばん過ごしやすいはずだが,衣類の調節がうまくいかず(まだ冬仕様の格好)毎日えらく汗をかいてぐったりしている。ここしばらく気温の変動幅が広すぎることもあって,どうも体調が思わしくない。


暫く前から咲いていた沈丁花が,漸くぷんぷんするようになってきた。沈丁花水仙,チューリップ。窓を開けているとどこからともなく春の香りがする。強いので嫌う人も多いだろうけど。今年は梅をちゃんと見られなかった。鼻が利かないから? 駅の上りホームに立つと向かいに見える巨大な紅梅は見事な咲きっぷり。通勤経路は白梅の小ぶりな木が多いので,先週それを見つけたときには驚いたもので。


予想通りにいけば今週末はもう桜ですね。早いなぁ。先週和服姿の人をたくさん見かけたので「着てみたいなぁ」と思ったけれど,成人の日に大汗をかいたのがまだひっかかっていて,あの時よりも気温の高い今ではものすごく暑くてしんどいんじゃないだろうかと。寒暖の調節をしづらいのは(そして失敗し続けているのは)洋服でも同じなのだが。セータ一枚で汗をかいているのに,3枚も重ね着をする和服なんて着られないんじゃぁって思ってしまう。しかしあれはタートルネックが暑いんだよなぁ。あとウールのニット素材も。見かけの薄さに騙されてはいかんよ。


以前にも書いたかもしれないけれど,和服は暖房の発達した現代にそぐわない。今の世の中の冬服は,突き詰めれば西洋のご婦人の衣装のような,ぴらぴらの極薄ドレス+外では毛皮のコートが適当なんだと思う。電車の中も室内も暖房がききすぎていて,真冬衣装はしんどい。かといって外気はいかな温暖化といっても冬はそれなりに寒いので,外気をシャットアウトするだけの外套を身に着ける必要がある。冷暖房の発達は,サラリーマン男性の多くが夏冬であまり差のない格好をしているからそれに合わせているものとも考えられなくもないが(しかし冬場のデパートの店内の暑さはなんとかならんもんかね。あまりに暑すぎてしんどくて,春物購買意欲すら減退する)。


しかし,夏の湿気をさけんが為に風通しに非常に優れた木造家屋の中で発達した和服は,そうではない。場所に応じて脱いだり着たりして調節するということがほとんど考えられていない。おかげで防寒対策はひたすら中へ中へと着込むしくみになっている。つまり下着をあたたかくする方向に走るわけだが,そうすると,自宅の暖房費は節約できても電車に乗った瞬間あまりの暑さにふらふらしてしまう。それが今年の成人の日のわたくしの失敗談なのですが,ま,あれは着込みすぎで外を歩いているときですら汗かいていたんですが。半袖のババシャツ+袷の長襦袢(←これは現代ではたいへん珍しいシロモノ)が真剣に暑かった。帯解いたら汗びっしょりだったさ。うだー。


和服用のコートも,一応はあるのだけれど,よく見かけるタイプのは,生地が薄手(表が別珍の袷が多いかな)だし,袖や脇は空いたままなので寒風が吹き込んで寒いったらありゃしない。せいぜい塵よけにしかなっちゃない。洋服のコート並のはあまりない。去年撫松庵からウールの厚手のが出てたけど,6万円台だった。うーん。洋服のコートよりは安いけど使用頻度が……。和服をお召しの奥様は外を15分歩いたあとで電車に乗るなんてことはないってことなんでしょうか。


真夏は暑すぎて着られず真冬は寒すぎて着られずだと,いかな着物好きでもそこまで伊達で粋がるのも限度があるさ。なのでー。呉服メーカさんには是非真冬用防寒がっちがちコート及び袖と脇と首の防寒小物の製造販売を促進していただき,そちらをスタンダードとしていただきたい。そして中は薄着で通す,と。


あとは3月下旬にもなるともう着物姿では汗ばんでしまう温暖化の進む現代に,どこまで薄着(涼しい格好)を追求できるかが課題でしょうか。5月の終わりまでは袷などという気候と著しく矛盾した慣習(しきたり)は,早急に撤廃されてしかるべきだと思う。少なくとも普段のお出かけにおいては誰に迷惑をかけるでもなし。