一昨日アテネオリンピック出場を決めた女子バレーボール日本代表ですが,

その夜の各スポーツニュースに出演した柳本監督の発言で印象的だったのが,彼が,今大会を振り返ったりアテネオリンピックへの展望を語ったりするにあたって,何度も「戦術」という言葉を使っていたことだ。これは,バレーボールに関する報道ではあまり聞かれない単語のように思え,新鮮だった。


今からオリンピック本番まであまり時間は残されていない。が,戦術を工夫することでメダルを狙うこともできるだろう,といった内容。今回はアナリストにも大変世話になったとか。


もちろん,戦略と戦術だけで勝負は決まらない。それを行うのが人間だからこその未知数の部分は最後まで残り,それが故にスポーツを外野で眺めたりスポーツで賭け事をしたりする楽しみがあるのだ。


しかし,今のバレーボールの中継や報道では戦術方面が些か手薄ではあるまいか。


これは,その場で見るかテレビ観戦するかによっても違っていて,その場で見ると見える方向や距離に制約があるため戦術云々というのは見えにくい。その時のプレープレーを一喜一憂するのが楽しい。でも,テレビで解説付きで見るなら,進行そのものはテレビ画面で見てりゃわかるわけだから,絶対そういううんちくめいたことが分かった方が見ていて楽しいと思うんだけどなあ。その辺が解説されないのは残念だ。解説できひんの?


勝つための要素として,選手個々の能力,というか,はっきり言ってしまえば,「努力・根性」ばかりを取り上げすぎている。そして,その絶叫中継が見ている人を不快にさせる。それじゃぁ,国粋主義者ならともかく,普通の視聴者は楽しくないだろう。精神がなくては試合には勝てないが,精神だけでは勝てない。当たり前だ。


監督の扱いは「どういうチームを作ってどう戦うかを考える人」というよりはどちらかというと「指導者・引っ張る人」的だ。指導者役割を持っていないとかそれは求められていないという意味ではなく,それだけでなく代表監督の仕事って,勝ち方って,戦略・戦術も大きいのですよね。


恥ずかしながら,わたし自身,監督の仕事としてその観点を持っていなかった。選手達ががんばるだけで勝てるなら,監督は試合中はベンチで景気づけのためにビール飲みながら,タイムアウトごとにカツ入れまくってりゃいいだろうよ。


例えば同じ日本代表チームの試合中継やその後のスポーツニュースでも,サッカーの話だと必ず戦術の話が出る。まずどういうチームを作るか,どういう選手を選ぶか,試合にあたってはスタメンとフォーメーション,試合が始まればあまりすることはないけれどセットプレーだとか選手交代のタイミングだとか。そして監督は,そこの采配を云々される。代表監督は指導者的扱われ方はほとんどしない。特にフル代表では。


バレーボールだって球技だし団体競技だ。年齢の若い選手も多いけど,柳本氏だって,子守のために選ばれたわけではないのよ。