日本のプロ野球界

色々言いたいことがありすぎて,でも,何を言っても無駄なんだろうなと思って,あまり言わないでおこうとしているんだが,今日の夕食,のんびり本を読む為に外食をして,そこで読んだニッカンスポーツに,なんだかもうやるせない。


少し前に今回の件に関連して選手会長の古田がなんかのテレビ番組に出たときに言っていた言葉が頭に残って離れない。怖いのは,口に出すことでみんながそれがあるべき方向だと思いそれに向かって動いてしまうこと。言霊の力は侮れない。


つまり古田は,或る権力を持つ人が「8チームがベスト」だと発言することによって,その持論に根拠があるにしろないにしろ,その根拠は周知されぬまま8チームベストという言葉だけが一人歩きしてしまうことが一番怖いのだ,と。


近鉄オリックスの合併の話が出てから何日も経たない内に,1リーグ制10チーム(=次に合併するのはどこだ)という話が出て,いつの間にかそれが決定済みの将来のように扱われているのが,腑に落ちない。古田に言われるまでもなく腑に落ちない。もうすぐオールスターだけど,それだって,最後のオールスターみたく言われるし。なんでやねん。取りあえず,そこまでして合併したいのは何なんだろうと。


今のままだと赤字体質でどうにもならんから根本から何とかしなければという危機感はあるのだろうし,経営を二の次に考えるのも現実世界に成り立たない話なので,どのような形であれ経営努力っちゃぁ経営努力だし。


どこに向かえばいいかはわからん。誰にとってもベストな方策は,簡単には見つけられないか見つけても実現が困難か,或いはもう残っていないかのどれかなんだろう。わたしはわたしにとって都合のいいことしかいい方法と思えないので,わたしがいい方法と思うことが最適解であるとは言えない。「ファン」と一括りに言っても,立場も考え方も様々だしね。


球団の経営努力といえば,日本ハムは厳しいパ・リーグ事情の中でいろいろがんばってるなぁと思っていた。なんだか日ハムの努力を全て無にしてしまうように感じられるのが今回の件の気に入らない部分の1つでもある。しかし日ハムがあれだけがんばっても結局あんな感じ(どんな感じなのかうまく言えないが)であることが,逆に,正攻法でどんなにがんばってもどうにもならない,との判断にも繋がるものではあるのか。


大変月並みな感想で,なおかつ,全く後先も背景も考慮しない安直な感想で,大変申し訳ないが,買収話を全部蹴ってまで合併なのか。何がしたいんだ。みんな,何がしたいんだ。何を望んでいるんだ。数が減って2リーグ存続できなくなって1リーグ制になれば某人気球団との試合が定期的に行われてその試合だけは或る程度の観客動員が見込めるからか。ゴールデンタイムで生中継されるからか。


でもセ・リーグの球団だって半分はがっつり赤字だ。某人気球団と本拠地の球場が目と鼻の先ですら赤字だ(だからこそ赤字なのか)。そして,セ・リーグの一部球団も,1リーグ制に反対をしていない。


だから,きっと,人気球団との対戦目当てだけじゃないんだろうな。1リーグ制にしたいだけなら,数減らす方向で考えなくてもいつでもできるもの。球団数が多ければ奇数であぶれるチームが出ても調整しやすいだろうし。


ますます何を考えているのか。当事者は目先の切実な問題の解決を考えているとして,それ以外のチームが何を考えているのか。


8チームといえば,男子のバレーボールVリーグが8チームだ(女子もだね。女子の方が歴史が少し長い)。確かに10チームの時には,上位と下位の差が著しすぎて下位チーム同士の試合となると箸にも棒にもひっかからんという状況があった。1勝17敗という成績も,どんなもんかと思う(実話)。2部との入れ替え戦に出るチームは毎年同じだった(そしてしばしば入れ替わっていた)。それに比べると,今の1位から7位までが混戦(それでも7位は入れ替え戦行き)の方がスリリングな展開と言えるかもしれないし,10チーム時代は2回戦総当たりが暫く続いていたのだが,8チームになって3回戦総当たりになり,次のシーズンは遂に4回戦総当たりになるらしく,そのように同じ対戦相手と何度か戦うのも悪くはない。


それだけ取ってみるとW辺氏の指摘も正しいように思えてしまう。8という数そのものには意味はないけれど,お金のないチームは強くなれないというF1界のような図式が野球だって例外ではなくなっている今,数が増えれば増えるほど上位と下位の差はつきやすくなるわけで,だからまあ,数を減らすことが一概に良くないとは言い切れないんだけど。うむ。上で書いたこととは矛盾しているけれどね。


タイトにすれば(シェイプすれば)締まったおもしろいゲームや好カードが増えることが期待できる。選手の総数も減るから,その分力のある選手ばかり揃う(し一人一人に十分なお金も出せる)という考え方もある。一方ファンの数については,古田は減ると断言していたが,それは断定できるものではなかろう。


それでもその方向に進んでほしくないというのが個人的な感情だが,根拠も対策もない。対策は,ないというよりも挙げたところで何の意味もないから考えてないだけだけどな。つまるところ入るお金より出ていくお金の方が多いのが赤字で,黒字にするには入るお金よりも出ていくお金を少なくするしかないんで,売上額自体が減っても営業利益の赤を減らす方策ってことなんだろうけど……経営の専門の人たちがそう判断しているわけだよな。


しかしここまで書いたことだけで明らかなように,お金持ちとそうでないチームの実力の格差は,どこかで歯止めをかけない以上,チームの数が減ったところでやはり同様に拡大再生産され続ける仕組みになっている。みんなでなぁなぁで実力均衡を図る図式も気持ち悪いっちゃぁ気持ち悪いけれど,そこをどうにかしない限りは,行き着く先はあまり愉快な場所ではないだろう。


また,再び古田発言からの引用になるが,チームが減れば野球をする人の絶対数が(裾野が)減るという,この指摘は的を射ているのではないかとも思う。既に,ぱっと見,プロ野球選手になるよりプロサッカー選手になる方がなりやすそうに見える。なるのは簡単でも一旗揚げるのはちっとも簡単ではないし,簡単になれちゃう分一旗揚げられない選手の行く末については深刻な部分もあろうが,とにかく,1チームの人数もプロチームの数もサッカーの方が多いし,プロチームとの地理的距離もぐっと身近だ。そうなってくると,結局は,運動能力や身体に恵まれた少年がどのスポーツを選択するかという話になって,最初は粒ぞろいに思えた少数チーム精鋭メンバ作戦も,実は母体自体が貧弱な競技へと変貌を遂げることになる。


それは半年や1年で結果が見えるものではない。いつになるかはわからない。しかしそうまでしてこの先何年も何十年もプロ野球が残って欲しいと思う人もそんなにはいないだろう(わたしもその一人だ。そこまで拘泥はしない)。そのころには今のトップの人たちもトップを去っているから困ることもないだろう。誰一人先のことなんて考えていないので,そうやって徐々に衰退の道を選んでいくのもまた一興ではなかろうか。


わたし自身は,テレビでも球場でも“何かしながら”見られるプロ野球が好きだし,アメリカのメジャーリーグよりも日本のプロ野球の方が好きだから(メジャーリーグの試合はテレビでも見たことがないので内容の比較はできないけれど,ふと思い立って球場に行って夜風に吹かれてビール飲みながら観戦はできひんよな),プロ野球を見るおもしろさは他では代替できない,つまり日本のプロ野球と全く同じ役目を果たす何かは無いと思っているけれど,しかしその役目自体がそもそも生きていく為に必須のものではないんだよ。


他に書きたい話題もあったけれど長電話をした挙げ句に想定外の長文を書いてしまって遅くなった(そして,何を書こうとしていたのか忘れてしまった)。どうも憑き物が落ちてから文章がだらけきっている。昨日は室内に紛れ込んだ蚊が体中に食らいついた為に痒くて4時半ごろまでまともに眠れなかった。その睡眠不足を取り戻すには既に遅いような気がするが,あと1日で週末なので,気合いで乗り切る。


窓を開けていると肌寒いので閉めてみたら蒸し暑い。厄介な事よ。(2:31)