しんせんぐみ(びっくり)#37(録画分)#38(再放送)まとめて視聴


37回の“壬生心中”,初見では今ひとつ展開が腑に落ちず。事前に,感想を書いている人たちの解釈を読んでいたので,そう解釈できるように描かれているのだろうと思っていたのだけれど,いざ見てみると思いの外あっさりした展開と描写でしかなく,事前に読んだ解釈に引きずられはするものの,そうじゃないだろうという気がし,こんがらがってさっぱりわからんというような。


今回(前半の)主役松原さんは,自分が斬った長州藩士の後家さんに心寄せてしまい何かと世話を(一方的に)やいていたのですが,それを鬼副長に咎められたので,もう会わないと決心する,と。一方の後家さんが彼のことをどう思っていたのかはあまり描かれてこなかったのですが,初対面で「二度と顔を見たくない,はよいんで」と言ったにも関わらず松原さんが押しが強かったので……どうだったんでしょう。無表情でしたから。ただ,門前払いはくらわせず,世話をやかせてはいた,と。


そんなこんなで,後家さんは世話になったお礼にと松原さんを夕食に招待し,松原さんは話をするいい機会とのこのこ出かけていって「もう会いません」と告げるのだけれど,それを聞いても後家さんは「最初は殺してやりたかったけど,世話になってありがたかったんで,見捨てんといて」といった旨のことを言う。言うのだが,何故か包丁で松原さんの心臓を突いちゃう。


なんじゃ,そりゃ。ずっと夫の仇を討ちたいと思っていたのかい。今までもチャンスはあったろうにそれを引き延ばしていたことや今回の「見捨てんといて」発言は油断させる為の罠だったのかしら。


もう会わないと言われたら,会わないんならいいや,と思ってくれよ,と,毎週のように出てくる「名前もセリフもある」登場人物の人死ににそろそろ辟易してきたわたしは思ったのだけど,それは違うんだろうな。自分の夫を斬った男なんだから仇討ちはしたいよな。


松原さんは青天の霹靂の表情で,ああいう殺され方は厭だなぁ。彼も浅はかっちゃぁ浅はかですが。考えてみれば当たり前じゃん,という気もするので。あほー。


と,そういう風に文字通り画面通りに解釈すればそんなに難しいものじゃないのに,わたしが惑わされたのは,やはりわたしが「壬生心中」という言葉を事前に知っていたために,心中,でなくてもせめて無理心中,どっちにしても単なる殺害ではない方向に考えようとしてしまう部分があったのでしょう。


だから,彼女が松原さんを刺した後,何もしなかった(つまり自らの胸なり喉なりをつくでもなかった)ことに一番の違和感を感じた。自分ちで自分の包丁で(自分の指紋もついて)男の人が死んでいるのだから,そのままとんずらするのはかなり難しいだろうにどうするつもりだったのか,でも本人そこで自分も死のうというそぶりは全然見せていなかった。事前情報で「お初さんも死にたかったのかしら」といった感想を読んでいたから尚更,全くそんなそぶりを見せない彼女に戸惑った。


そこにかけつけた斎藤さんが何も訊かずに後家さんをばっさりやっちゃうので,彼女が何を思っていたかは闇に葬られてしまったけれど。死人に口なし。重要参考人を無闇に殺してしまうのはいただけないなあ。それを「松原の敵を取った」とまるでよきことをしたかのように扱う近藤先生。むぅ。


もうちょっと頭が元気なときに見直してみましょうかね……。わたしアタマ悪いんで,セリフにない心情ってのが全く読めないんですな,つまりそういうこと。


何にしても,殺傷能力の高いものを多くの人が普通に持ち歩いている社会というのは怖い。松原さん殺しに使われた包丁は,現代日本でも多くの家に常備されているものだからか怖く思わないけれど,日本刀やピストルは,怖いなぁと思う。


というわけで,土曜の夜は迂闊にも「タイタニック」を見てしまいました。長かった。細切れのようにやたらCMに切り替わって雰囲気ぶった切れるのが興ざめではありましたが,長かった。映画の中で,執事だの乗組員だのが当たり前のようにピストルを所持しているところが怖かったね。飛び道具は怖い。日本刀も怖いけれど飛び道具も怖い。接近戦に持ち込まずとも殺傷できる上に,小いから装備するのが比較的容易なのも怖い。


公開されたときに観に行ったので2度目だけど,2度目なのに泣いてしまった。最後らへんを全然覚えていなかったのが敗因。それも,ローズが,救助された船のデッキで船員に名前を確認されて「ドーソン」と名乗るところでぶわっと来たというのが,悔しい。悔しさのあまりもう一度悔し泣きしてしまうぐらいに(嘘です)。


わたしの価値観がだんだん変わっていっているような気がする。そうとも,ローズ・ドーソン大いに結構。全く関係ないがケイト・ウィンスレットのような赤毛が好きだ。


「いやぁ,泣いちゃったよ〜」と見終わった直後ぐらいに電話を掛けてきたかなまるに言ったら,「映画館で見たときも泣いてなかったっけ?」。泣いてましたよ,悪かったわね。


1度目に泣いたのはともかく,今回は悲劇だの身分違いだの味付けは関係なく,単に,好きってぇのはええもんやね〜と思って観ていた。2番目にぐっときたのは,ローズが一度は乗ったボートから無理矢理下りる直前のシーンで,だんだん小さくなっていくジャックの顔というローズ視点の画面に,(その後ボートから下りるのを知っているにも関わらず)妙に感情移入して如何ともしがたい気持ちになるわけで,……えぇ,おいらぁちっちゃい人間ですよ。


美男美女のカップルにはなれなくても,人それぞれ誰かを好きな気持ちは持っていたり。永久の別れでなくとも,別れのシーンは切ないもので。それってのは(端から見たときの見た目はともかく)感情としては等しく輝いているものではないかと。つっても映画観て「えぇなぁ」と思うのはやっぱりケイト・ウィンスレットの外見がきれいだからなんでしょうけどね。あれはすごいよ。あの赤毛。そしてまっすぐな瞳もよろしい。


あと,とってもどうでもいいことですが,男の人の背中に回された手(なり腕なり)という絵がどうやら好きなようで。男の人の背中が好きなのかもしれませんけど。そういう嗜好も変化していくものだなぁ。いえ,以前は嫌いだったということではなくてね。例えば以前は鎖骨が好きだったけれど今はそうでもないとか。