ユナイテッドシネマとしまえんにて公開初日の「笑の大学」鑑賞


封切り日,雨降りの土曜日,午後3時〜,この条件でも20組は下る入りで,「笑の大学」の人気がないのか(今週から来週にかけて封切りが相次いでいるし)と危惧してしまうが,他の劇場はどうだったんだろうね。単に豊島園だからなのかもしれないし。


まだ新しいシネコンは,建物が綺麗。傘立て,鞄かけ,ボトルラックが完備された客席はクッションの質も良くシートの横幅も広く快適。1部屋の収容人数は多くないけど画面は大きいし音響も良いし,映画を見るならわざわざ出かける価値はあるな。なんせ封切り初日でこのがら空きっぷり。指定席だけど確実に座れますぜ。新宿から大江戸線で20分,豊島園の駅出てすぐの立地だから,新宿で見るのに駅出てコマ劇方向に歩いて,それも並ぶのを見越して早めに……なんて言ってると,どっちが近いんだかわかりゃしないい。今度の土曜日封切りの「血と骨」やらないのが残念ですわ。


映画は三谷幸喜作の日本映画。昭和15年の浅草を舞台に警視庁の検閲官と喜劇劇団の座付き作家とが,芝居の台本の検閲を通す通さない(つまり上演許可をおろすおろさない)で丁々発止する7日間を,ほぼ密室での2人の会話だけで展開していくストーリィ。


もとはお芝居だったそうで,そのへんはalchemi氏が日記で書いている。これを出かける前に読んだので,「西村雅彦・白井晃コンビで舞台の上」というのを,見ている最中ずっと想像してしまって,なんとなくのイメージだと舞台の方が面白いんじゃないかとさえ思ったんだけど。どうかなぁ。映画には映画でしか出せないおもしろさがあるだろうし舞台版を知らない現段階では何とも言えない。単に西村氏も白井氏もどんな感じか想像しやすいので「そいつぁおもしろそうだ」と,まぁ,配役の好みの世界ですな。


別に読んだことを後悔しているわけでも日記に書いたことを咎めているわけでもないんで,そこんとこは誤解しないでいただきたい,清河先生。


展開は,わたしがどうやら好むらしい,狭い場所の中で限られた人しか出てこなくて話が進むにつれ初めは明らかにされていなかったことが明らかになっていく,というパターン。で,そのパターンの作品が好きなだけに,今回は本筋にはやや点が辛い。つまり,「セリフに必然性がない」んじゃないかと思われる箇所があったり,登場人物の心情に立ってみるとそこでそういったことは言わないんじゃないかと思う発言があったり。


そんな感じで,微妙に乗れない部分はあったのだけど,それはストーリィに無理があるというよりも,2時間椅子に座っているのが辛かったという,そっちじゃないだろうか。いい椅子なのできちんと座って見ていればよかったのに,変な姿勢で見ていたから背中が凝ってきて。


途中背中の凝りが気になってだれてきたのも事実。うーん。CM入らないしなぁ。序盤から飛ばしすぎてしまって,途中ちょっと息抜きできるところもあったのだが,四日目,五日目ぐらいには,いったいいつまで続くんだろうと気になり始め(全部で7日間というのも知らなかった),六日目・七日目にはちょっとしんどくなってきた。なので,最後に控える山場も素直には盛り上がれなかったんだけど,もう一度見るとこれも違った感想を持つかもしれない。


全体として予定調和で想像通りの展開だったからというのもあるし。ここではネタばれは書きませんけど,わたしにだってわかるんだからそんな大仰なネタではなかったということさ。だからやっぱり,そういう明らかにされていく謎めいた部分を楽しむのではなく,タイトル通り,笑いを楽しむのが王道か。


笑えるのは笑える。横隔膜の筋肉が疲労したのが実感できるぐらい,おもいきり笑っていた。シートが広いのをいいことに,自宅でテレビを見ているかの如くだらけきった横座り気味の格好で,普通に笑い普通に突っ込んでいた。そういうのは楽しいね。お陰で背筋も疲れたわけだけど。久しぶりに腹の底から笑った気はするよ。すっきりしたー。おもしろかったー。


ケチつけてんのかおもしろかったのか,どっちなのよ。まあそんな感じで,読書感想文と同様映画の感想文も苦手です。ほかの見に行った人の感想読んでみたい。どうすればよいか。ぐーぐるせんせ?


個人的には,女性の服装に目が釘付け。素敵。服装だけでなく,ポスターとか看板とかも色とりどりで華やかで昭和初期っぽい感じが出ていて,楽しかった。エンドロールの凝り方も。小芝居風というかテレビ風というか。その辺は(想像だけど)映画ならではだったかな,という感じはする。