低調なまま「決戦、油小路!」
油小路ってどこなんだろう。番組の最後のわんわんコーナーによれば西本願寺の東南のようだが,西本願寺自体一度も近くを通ったことがないだろう。今屯所がある不動堂村は現リーガロイヤルホテルといいつつ,そのリーガロイヤルも新幹線の車窓から見て知っているだけで位置関係は把握できていない。わりに駅から遠いのかしら。
斯様に「遠い世界」で起きている新選組のさまざまな出来事でございますよ。そもそも壬生からして縁がないわけで,新選組のみなさんの生活圏はさっぱりだ。どうにか場所がわかるのは御所と河原町三条近辺ぐらいか(薩摩藩邸も木屋町三条あたりだっけ?)。何の為に正月に幕末京都地図を買ったのかわかりゃしない(別に「新選組!」の為でもないし)。
今週は(も)あんまり言いたいことはない。近藤局長が久しぶりに大人物ぶりを発揮していらっしゃった。光の使い方が上手い。わかりやすすぎるというかしらじらしいほどに「人間としてできた人」という局長の人物設定は時として鼻につかないこともない。この「油小路の変」は,通説では新選組(近藤一派)が伊東さん含む御陵衛士をだまし討ちにした事件なので,「おいおい,そこまで美化していいのかよ,どこまでいい人なんだよこのドラマの局長さんはよぅ」みたいな拗ねた気持ちになってみたり,死ぬ間際に改心(?)する伊東かっしーにしても,そろそろこのドラマの中での「お祭りスペシャル」恒例だから「あ,やっぱり?」と思っただけだったり。観柳斎が改心するんならかっしーも改心するだろう。ってか,かっしーは別にもともと悪い人なわけでも悪いことしたわけでもないような気がするけど,せっかく騙したり人を陥れたりしつづけてきたかっしーなんだから,そこで近藤さんの話きいていきなり方針転換されてもなぁ。そりゃまぁ,テンタンとしていたかっしーが見せた子どもみたいな顔はえらい萌え〜でしたけど,それはわたしの目が最初から萌え〜キャッチ仕様になっているだけだろうしなぁ。
それに,伊東さん,改心したところで近藤さんの別邸を辞して上機嫌で歩いてらしたけれど,帰ってからその先どうするつもりだったんだろう。近藤さん暗殺を思いとどまったところで,何人もの同志を抱えて組織としてどの方向に進んでいくかについては解決したわけではなかったろうよ。給料の目処だけあればいいってもんじゃなかろうし。辛いなあ。
とかなんとか,伊東さんの心づもりを背後から一刀両断しちゃって,死人に口なしだから訊いてみることもできなくて,あんなにごきげんで歩いていたのに,だから人斬りは嫌いでごわすよ。
近藤が主役に相応しいというか局長に相応しい貫禄を見せ,伊東かっしー(脳みそなさそうな表記の仕方だが)もまた彼の弱い部分を含めそれまでの「何考えてるのかわかんないちょっと浮いた人」から一転人間らしさを存分に発揮してくれ,2人の会合はなかなか見応えのあるものだっただけに,それ以外の人々や展開については,やや「油小路の変」で最低限事実に合わせるべき人の生死の為の帳尻合わせのようにとれないこともなかった(平助除く)のはちょっと残念だったかな。このドラマのこの人達でこの展開なら,あんなことにはならないんじゃないかなぁ,とか。
つまり,伊東さんの死に方もちょっと勿体なかったし(その辺は観柳斎の時と同じだ。幾らでも防げただろうと。防がないドラマの展開に文句付ける前に,防ごうとしない・防げない新選組幹部クラスにわたしは「上の責任」ってやつを取らせたくて仕方ないんだけど,ヤツら何の気にもかけていねぇ。おまけに「若い奴を責めるのはやめろ,お前を思ってのことだ」って,くわじろーがお咎めなしなのは幾ら何でもおかしすぎるよ,あんたたち),その後「こうなったら仕方ねぇ」つって全面戦争に突入したのもなんか変だし(なんとかもう少し穏当に済ませようとしてくれよ,近藤さん。土方の口癖「こうなったら俺の好きなようにさせてもらう」って,させてちゃだめだよ,止めてくれよ),油小路での乱闘シーンでは,あんなに乱闘シーンを引っ張っておいて平助が斬られて致命傷と見届けた直後に加納さんや篠原さんが退却を決めたのが非常に残念。死ぬ前に退却を命じていただきたかった。言うても詮無きことなれど。実際加納さん達は油小路を生き延びるし平助は死んじゃうからその辺正しいんだけど。事実は小説よりも奇なりなのかしらん。しかし,平助が死ぬためだけに用意された展開のようにも見えて,ちょっとなー。ちょっとなー。仕方ないんだけどちょっとなー。
近藤さんがあまりにいい人だから大変だ。あれじゃ土方が悪者だ。くわじろーだけを責めるのも確かにくわじろーがかわいそうだ。彼ら(幹部達)は「防ごうとしない」「咎めない」ことにより組織としてかっしーを暗殺したってことだよ。
いやもうどうでもいいです。感想とか解釈の世界ではなく単なる好みの問題なんで。
斎藤さんはあんなだしねぇ。伊東さんがなんで斎藤さんを「近藤暗殺計画」に一枚噛ましたのかわからん。伊東さん贔屓としては非常にわからん。油断させて連れ出すなら平助でいいだろう。見張りで付いてきていた篠原さんに対して斎藤さんの方から抜刀しちゃうのはどうだろう。まあ抜刀してもいいんだけど,倒せていないし。その後ちょっとした集団乱闘になったのに,双方軽症程度で大事になっていないのも謎。斎藤一たるもの,もうちょっと剣が使えてもいいんじゃないかとこれは希望。でも篠原さんも剣術師範だったっけ(うろ覚え確認する気もなし)。見せ場としては今ひとつ。平助の説得にも失敗しているし近藤暗殺計画も棚ぼたで知ったわけで,あまり使えないわんこたんだった。
平助については,平助を取り巻く人々に前々から「あんたたち平助本人の気持ちも確かめずに勝手に決めて!」と思っていたので,沖田の「あんたたちが思っているほど子どもじゃない」の一喝には胸がすっとした。けど,確かに平助本人も近藤さんが好きだったんだよなぁ。うーむ。みんなに説得されても伊東さん側から寝返ろうとはしない平助を好もしく見ていたのに,最後に「これでよかったんですね」と近藤さんに確かめるように呟くところでちょっとしょぼーん。なんだかんだいうて平助は,御陵衛士分離の際に近藤さんに「伊東さんの為に云々」と言われたことに忠実に行動しただけなのかと思うと,なんだかなー,と。や,それだけではないと思うのだが,伊東さんは最後まで近藤さんには勝てなかったのか,と。それは対平助についてもそうだったのか,と。つっても,伊東さんが平助に関して近藤さんと張り合ってるつもりだったかどうかもわかんないし,伊東さんは伊東さんなりに(加納さんのフォローに寄れば)平助に対する思いやりもあったようなんで,そこでかわいそがるのはちょっと伊東さん贔屓過ぎるし伊東さんに失礼かな。まあ,できれば,平助には最後に近藤先生に確認なんてせずに自分で決めたことを信じててもらいたかったな,と。
なにぶん疲れているので適当に見ていた。書き物も低調。これって「平助の旅立ち」の回と同じじゃんね。ごめんよ,平助。ちゃんと好きだったよ。