それというのも,帰りに跡を付けられたからで。


それも,こっそり尾行なんていうかわいい(つまり,わたしが気づかずに済む)方法ではなく,斜め後ろに1〜2m距離を置いてぴたっと,足音も高らかについて歩いてくるわけよ。人の少ない時間帯でもないんで最初はたまたまだろうと思っていたのだけれど,少し経っても追い抜かれないので不思議に思った。そうとは知らず何の気なしに振り返ったときにぼーっと目を合わせられた相手はウォーキングかランニングでもしていそうなナイロンジャージ姿の男性(20代から40代やや細身という特徴の欠片もない)。


であれば,必ずわたしを追い抜くはずなのだ。まずコンパスが違う。しかもわたしはかなりちんたらふらふら歩いていた。そういうときは女性にすら追い越されるぐらい。まして小雨が降ったり止んだりしていたので傘をさしていないなら,わざとでなければ背の低い女性のちんたら歩きと同じ歩調になるはずがない。


てくてく歩いているのにいつまで経っても追い越されないから,「おいおい,なんなんだよー」とちょっと怖くなって,もっかい振り返ってみたらやっぱりぼーっと目を合わせてくるし。うひょぅ。そこで巻くという発想のないわたくし(ってか,巻けないでしょ,ダッシュで消え去れるような道でも距離でもなかったし),どうしようもないんで,そのまま家の階段をあがりますわ。郵便受け確認することで部屋を特定されるといやだなと思って郵便受けを見ずにとっとっとと階段上がって,鍵を手にドアを開けようとしたら,


階段の下で立ち止まってこっち見上げてるし。


ん〜。なんなの? 怖くて話しかけられませんでした(当然,話しかけられてもいません)ので目的は不明。どうしようもないんで,そのまま家に入りましたけど。


実害がなければ(これも充分実害? 金銭的被害とかのことね),別に構わないんだけどね。両脇はずっと家(それもちゃんと人が居る戸建て)だし道は明るいし人通りもそこそこあるんで,そういう方面の心配はしていない。だから,部屋と住人をチェックして本人不在のときに空き巣,ぐらいしか思いつかないんだけど,しかし世の中にはわたしなんぞは思いも寄らないことを思いついている人もいるかもしれんしちょっとわからない。まぁ,ざっくりした印象では「世の中いろんな人がいるからね……」という感じも強いんだが。


空き巣なんて考えたこともないんだけど,入られるといやだな。iBookぐらいしか盗む物ないけど,そのiBookを盗まれるとむちゃくちゃ痛い。このへんの住宅街,土着の(平日の昼間に家にいる)オクサン達が多いんで平日昼間でもがらがらにはならないんだけど,それでもやっぱり家の中でこまごま仕事していたら,外やほかの家の様子はすぐには気づけないよなぁ。うち(と両隣)が単身者用集合住宅で平日昼間に留守なのは明らかだろうから,階下のオクサンが留守にしている時は防犯完璧とは言い難い。


そういえば,角のところに「犯罪を許さない街」うんたらというビラが最近になって貼られているんで,なんかあるのかね。


こういうとき,家の中にいても扉一枚で外ってのはなんとなく心細いものだ。