「血と骨」観てきた

知らずに行って驚いたのだが、11月22日はMOVIX京都オープン○周年記念だとかで、映画代が1000円になっていた。会計で「1000円です」って言われて、小首をかしげたさ。
映画代だけでなく、ポップコーン&ドリンクのセットも300円引き。キャラメルポップコーンM+ウーロン茶Mで150円……安。
そうと知っていればちゃんと早起きして「砂と霧の家」とダブルヘッダにしてもよかったなー、と思ったけれど、後の祭り。尤も、あまり体調芳しくないので、ダブルヘッダはつらかったかも。何にしても、日本映画って大画面で観る必然性が低い作品が多かったり何よりテレビ(地上波無料)放映までの期間が短いために映画館で1800円払うのが損な気分になりがちなので、1000円で観られるのはうれしい。1000円ならお金払ってでも公開間もないときに映画館で観るのがいいさ。ラッキー。
以下メモがわり。

  • 真っ先に感じたのは、「これでR-15指定なのか」だった。たいしたことなかったのではなく、その逆。「高校生ならこれを観てもいいのか!」と。もとより映画化は不可能とすら言われていた原作の映画化なので暴力シーンが多いことは承知の上、だから、R-15指定と知ってさもありなんとは思っていたのだが、実際に観てみると、暴力シーンよりも性描写の方がけっこう……過激というか露骨というか。「アイズワイドシャット」が年齢制限あったわりにどってことなかった(それともわたしがガキすぎて意味が理解できていなかったのだろうか)ので、ちょっと意外だった。
  • ただ、そのように感じた自分が、つまりは歳を取ったんだな、と。だって、R-15で通っているんだからR-15で正しいのだ。それに、仮に自分が高校生であれば「観てもいいじゃん、それぐらい」って思うんだろう。わたしは既に高校1年生を「まだまだ子供」と認識していて、その上で保護者的視点に立って「高校生にはきついのでは」などと思ってしまったということで。今の民法って16歳で結婚できましたっけ、女性。改正されたっけ? していいんなら観てもいいだろう理論(個人的にそう思っているだけだけど)、R-18まで引き上げるのは変っつぅか、そこまででもないし。しかしうぶな田舎の女学生(わたしのことだ)にはちょっと刺激的でなんだか別な意味で心に残ってしまうのではないかと思ってしまったんだけど、でも、わたしがこんな感想を持ったからって、娘さんや息子さんが見に行きたいと言ったときに反対しないでくださいまし全国のお母様方。
  • 映画全体として面白いかどうかとかは映画を見慣れていないのでよくわからん。わたしは原作を読んでいたので、どうしても原作がどう描かれるのかに注目して観てしまったし。
  • なかなかすごいなぁと思ったのは、きれいに描いていなかったことだ。それは映画では当たり前なのかもしれないし、実際どうだったかを知っているわけではないから「実態通り」との判断はできないけれど、女優さんたちはダサい格好をしているし歳も取る。長屋は狭くて古くて湿っぽくていつも暗い。映画では(幸い)においだけは伝わってこないので想像力の貧困なわたしは大丈夫だったけれど、生魚解体シーンや豚の解体シーンはさぞ生臭かったことだろう。くしくも、映画が終わった後化粧室で並んでいたら二人連れの女性客の片方が「気持ち悪かったから、もし端の席だったら途中で立って外に出ていた」と言っていた。それがどのシーンを指すのかわからないけど(殴り合いのシーンもけっこう怖かったし)、どうやら彼女はかなりめげていたらしい。
  • 事前に公式Webページで松重豊氏(2001年の大河ドラマ時宗」に於ける謝太郎%謝国明の息子役。それ以外で見かけたことはないのだが、顔を見てすぐに「時宗」に出ていた人だと分かったからにはお気に入りキャラだったらしい)が出ていると知って楽しみにしていたのだが、期待以上。個人的にはこの映画のなかで一番すてきだった。松重氏が演じた高信義の生き方・考え方そのものはピンとこない部分が多いけれど、いい人というかいいおっちゃんといかいろいろつらそうだけどぐっとこらえているというか、ええとうまくは書けません。
  • 田切さんは……悪かない(つぅか画面にいるだけで単純に「オダギリジョーだー♪」と顔がにやけてしまうのは視聴者として如何なものか)のだが、前半のエピソードだったこともあって、大局的にはわりとあっさり。しかし大筋(たぶん)原作通りだったし、それを言い出すとこの映画自体がそういうもの(何か大きな事件があるわけではなく細かい出来事の積み重なりで作られている)なので。原作はもうちょいいろいろあったのでその辺まで描いていただきたかった気持ちもあるけど、彼が主役なわけではないから2時間の映画の中ではこんなもんだよな(出てきただけでありがとう)と。ちゅぅか、正直なところ、彼の話す広島弁ばかりが気になってしまってほかのことに意識が向かなかった。わたしは広島弁には精通していないので似た部分の多い岡山弁のルールを頭の中で適用してしまい、そこから考えると「のう」の用法や「のう」が続く単語の活用の仕方がときどき不自然に聞こえた。広島弁だとそれで合っているのかもしれないので、かなり偏見。
  • 言葉といえば、主人公(なのか? ビートたけし)の日本語の発音、おそらく朝鮮(済州島)なまりにしていたっぽくて、芸が細かいなと思った。韓国語は全く知らないに等しいけれど日本語の「ツ」の音がないらしいというのは知っていて、彼が「ツ」の発音がうまくできないのを見て「細かいな」と。原作では音が出るわけではないから発音のなまりまではわからない(地の文で説明はあったかもだけど覚えていない)。なので、なるほどねぇ、と思ったものだ。あと、原作だと一部の「決まり文句」みたいの以外の会話は基本的に日本語なので(でないと読んでもわからないから)、原作よりも朝鮮語が多かった印象。朝鮮語の会話に字幕が出るのは映画のメリットで、それを使って朝鮮人長屋の雰囲気や時代・世相の移り変わりを出しているなと思った。例えば、主人公(? ビートたけし)は済州島なまりだけど日本で生まれた子供達は自な発音の日本語を使っていることとか、時代が下がると在日1世同士の会話もほとんど日本語だったりとか。
  • 話を人物に戻して、北村一輝氏(これまた「時宗」の平頼綱だ)。すてきだー。やくざもの役の似合うことといったら。