その背に負うは針金ならず(七・七)
上の小見出しとの関連はございません。あ,以降の話題はネタばれ。
夜の部の最後は「助六」。花道から登場したる「揚巻」役の菊之助は豪華極まる花魁衣裳。その背中からみにょみにょ〜んと,クリーニング屋でもらえるハンガーのような曲がった針金が二本,アンテナの如く突き出ているのが気になった。花魁衣裳が針金を背負うか?
して数分後。彼女の背中が正面に見えた瞬間,謎が解けた。背中にエビの張りぼてを背負っている。アンテナに見えたのはエビの髭。
花魁の衣裳にエビの張りぼて。エビの張りぼて……エビ……海老?
海老蔵だからなんですか? そうなんですか? それとも揚巻は常に海老なんですか? ……そんなバカな。
伝統大衆芸能なのね,と。ははぁ〜。
確かに,記号化された(様式化された)「お約束」は色々あるのだろうしそれを知っていればおもしろい(知らなければ今ひとつよくわかんない)部分は大きいのだろう。だけど,たとえ言ってるセリフが聞き取れなくても(聞き取れたところで意味がよく分からなくても)あらすじを読んでいればだいたいどんな話かはわかるし,それなりの見方はできる。
それに,問答無用で笑える部分が盛りだくさん。笑いすぎてお腹がよじれて苦しい。
かなまるが「メタ的な」うんたらと解説してくれたのが(わたしは知らない用語なのでわからん),たとえば「助六」に向かって他の登場人物が「こないだ京都の南座で襲名披露の口上を延べていた海老蔵にうり二つだ」と話しかける,とか,江戸の町火消しに向かって「誰かと思えば成田屋のナントカさん(覚えていないが海老蔵の本名だったっぽい)じゃありませんか」とか,そういうの。あー,後者まで行くとメタじゃないのかもしれないが。
それの何処がおかしいのかと改めて問われても答えようがないのだが,その場にいると何故か無性に面白いのだ。
ざっとそんな感じでした。
そうそう,こういう解釈はいろんな意味で間違っているのだろうが,宝塚歌劇的枠組みで考えると理解しやすい部分も多く,誤解かもしれんのだがその類似性(共通性)は興味深い。わたしが知らないだけで劇場演劇はどれもそういうものなのだろうか。
という前フリで明日(日付変わって今日)はお芝居を観にいきます。仕事はどうなんだ(苦笑)。