緑甘いカレー


高田馬場のタイ料理屋「グリーンカレー」(←店名)で,文字通り「はち切れんばかり」に食べてきた。1月半ばの中野以来のタイ料理。


タイのグリーンカレーと聞いてまず思い浮かぶ(浮かべてください)ココナツミルクの入ったあまり辛くない(そして「緑」と呼ぶには緑っぽくないくすんだ色をした)あれは,カタカナ表記で「ゲーンキョウワーン」などと書かれることが多い(調べずに書いています)。


このうち「げーん」が“カレーの類”(に付いているからそうなんだろう),「きょう」が“緑”なのは知っていたけれど,最後の「わーん」が長いこと謎のままだった。今日お店のおばちゃんに聞いたところによると「甘い」だそうだ。そうですか? 末子音はねずみのn。おばちゃんの発音を真似しているつもりなのだが言ってる自分でも全然違うのがわかるのだった。むずかしい。


なんちゅぅか「てきとう」な店だった。よその店のメニューブック流用してるし,注文しても「今日はない」と言われる料理が多い(これは食材の仕入れの都合上どの店でもよくあることではあるが)。一方で,途中から「サービス」と称してなにやらおまけをしてくれ始める。頼んだうるち米白ご飯にお代わり,頼んだグリーンカレーにお代わり,頼んだウーロン茶にお代わり,とどめは頼んでいないトムヤム……エリンギ(?/うまかった)とデザートのタピオカ&タロイモ入りホットココナツミルク


もっともこのおまけ,あとあと考えると単に作り置きしていたものを片づけたかっただけなんじゃ疑惑はありつつ(我々は閉店時刻まで店にいた)。ご飯にしても,最初カオニャオを頼んで「ない」と言われてうるちの白ご飯(ちゃんとインディカ種だった)を頼んだのだけど,その後で餅米が見つかったので「サービスだ」と言って蒸してくれた。餅米の存在を失念していて本当に後から見つかったのか,それとも炊いていたうるちご飯(←なんていうんだっけ)を消費したかったのか,謎。


と,各種疑惑はありつつつも,おばちゃんが感じいいので不快に思うこともなく,ひたすら「いろいろありがとう」と言いながら,店のシンハを飲み尽くしてしまったのだった。


タイ人(でなくてもその辺りの出身)らしきおばちゃんが一人でやってるっぽいお店ではあるのだけれど,タイで食べる味に比べると幾分ジャパナイズされている。しかしそれは「日本人向けにアレンジしています」といったノリとは違う。


つまり,例えば件のグリーンカレーには3本98円で売ってそうな普通の茄子が入っていた。確かに茄子で間違っちゃいない。おばちゃん曰くの「サービス」で出てきたトムヤムの具もおもいきしエリンギだった。確かにフクロタケもエリンギも煮ればそんな感じだ。バンコク以北では川魚(ex.チャオプラヤ産雷魚)で作ることが多そうな「魚を丸ごと一匹唐揚げして甘辛いあんをかける」料理も,馬場ではマナガツオ。あんの調味料もナンプラーより醤油が勝っている。それにキクラゲ出現率が高い。


その辺の国内調達食材が「ちょっと日本風」感を演出していたようだ。もちろんパクチーも使っているしわたしの好物である青パパイヤサラダ(ソムタムタイね。ただし干し桜エビ混入)もあるし,さつま揚げも(何がそう感じさせるのかはわからないけれど)すごくタイっぽい味だった(揚げたてでおいしかった)。皿だってオーバル型が多いし(なぜかそういうイメージ),生のキャベツやタマネギ切ったのも出てくるし,カトラリーはスプーンとフォーク(と割り箸)だ。


だから日本では従来あまり使われてこなかったタイ料理でよく見かける食材が全く使われていないわけではない。タイ料理的オプションもある。が,「現地で手に入りやすい食材で代用」ってあたりが,西洋料理のレシピに「マッシュルーム」って書いてあるのに「しいたけでいいのよ」としいたけで作ってしまううちのおかんと同じ,つまりは主婦的発想であり主婦的食材調達であり味のジャパナイズの要因であり,大変興味深いものであった。


だからというか何というか値段も安めだし,味も馴染めるしね。どれもおいしかった。駅からちょこっと歩くのだけれどまた行きたい。


ちなみに,記憶にある限りでは,さつま揚げ,生海老カルパッチョにんにくソース,ソムタムタイ,グリーンカレー,マナガツオ唐揚げ甘辛あんかけ,空心菜炒め,野菜炒め(醤油味),鶏肉炒めショウガ風味(この辺よくわかってません),トムヤムエリンギ(たぶん),タピオカタロイモココナツミルク,などを食べ申した。食べ過ぎ。