金曜日のこと(2)


金曜夜とて客は少なかろうと思っていたが,少ないには違いないが高校生がやたらたくさんいる。運営の手伝いを兼ねて県内の高校生に大量にチケットがまかれていたようだ。ジャージ姿のバレー部ぽい人もいれば制服姿もたくさん。彼らは集団で押し寄せるので席も埋まるし若やぐし,同じ中高生でもヲタじゃないから黄色い声とも無縁で,なんだかほのぼののびのびしていて良い感じだった。


そんな感じで高校生に囲まれながらまたーりと一人で見ていたら,第2セット開始直前にアイ○ルのCMの小父さんに酷似した紳士が一人で現れ,2席あけて隣ぐらいに座られた。わたしに話しかけきて第1セットの様子などを尋ね誰かに携帯電話で報告している。ちらほら話をしてみると,彼はNECリベロ(以下濱島君)の父親と知り合いだそうで,どうしても都合がつかない彼に代わって様子を見に来たのだとか。


「わたしは今日たまたま新宿で用があったものだから」云々という彼に,最初は「ま,平日の夜だし仕事の都合がつかんでも仕方ないわな」程度に流していたのだが,ふと気づく。「長野からいらっしゃったんですか?」。


その男性は息子さんの大学卒業式のために上京してきた由(「おめでとうございます」なる言葉が思い浮かばないワタシ)。セットが終わるごとに濱島父に報告をしていて,なんでも翌日は父親本人も来ると。飯田から高速バスで片道4時間だってよ(新幹線や特急がないから不便なんだそうで)。すげー。


明日も出るでしょうかと訊かれたから「今日は彼が悪かったわけではないから,出るんじゃないでしょうか」と言っておいた。わたしは監督ではないのでそんなことを訊かれても断言できねぇぞ。リベロなので,出ないとなったらベンチにも入らない。確かにはるばる見に来て息子がいないんじゃ意味ないもんな。一夜明けて濱島君がユニフォーム着ててわたしもほっとしたものです。そしたら件の小父さん,またも一人で自由席に座ってらした。


濱島父とどの程度の知り合いぶりかはわからんが,金曜の試合終了後に本人に声を掛けていたからには一応面識はあるようだ。「いい子ですよねー」「昔から性格のいい子でねー」などと。うん。雰囲気いいし,みんなに頭わしわしされていて(←ちっちゃいから)たいへんかわいらしい。新人だった昨年度の開幕当初はぼろくそ言ってましたがこの2年での成長もめざましい。にこにこ。