ファンレターとやら


いきなり時間が飛ぶが,土曜日,表彰式の後で優勝チームと準優勝チームの選手が観客席中段の通路をぐるっと場内一周した。席移動禁止令が出た為にえらいことにはならなかったが,階段付近は微妙に人が増え,選手はあちこちから声を掛けられ最前列(下段だと最後列)の人とちょこちょこタッチしつつ歩く感じ。


わたしは上段4列目ぐらいのところにいたので(手は届かないけど)すぐ目の前,前の席の人も少し移動したため素通しで空いていた。優勝した東レの小林主将におめでとうございますと言い(しかしおそらく聞こえていないか認識されてない),しかし準優勝つってもついさっき負けたばかりのNECの面々にはなかなか言葉が見つからない。先頭を行く大村主将にはどうにか「お疲れ様でした」と言えた(微かに耳には入った様子で若干反応していた)のだが,気になるのは大村さんの後ろで賞金板を抱えてぼーっと上段の観客席上空の虚空に視線を彷徨わせながらふらふら歩いている某選手だ。一言声を掛けたいのだけれど諸般の事情により何て言ったらいいのか思い浮かばない。他の選手にはそれなりに声がかかっているのに彼にはあまり(ほとんど)声がかからないので,ますます「何か言わねば」と気ばかり焦る。と言っても目の前ゾーンは数秒しかないので,うだうだ悩んでいる隙にとっとと通り過ぎてしまい,結局何も言えずじまいだった。


その時には,やっぱり人気ない(認知度低い)のかしら,とか,誰か彼にも何か言ってあげようよ,とか,いらん気を揉んだものだが,後になって考えてみれば,わたしと同じような気持ちで声を掛けそびれた人もけっこういたのではないかと思う。それも,彼の自業自得と言えばそうなんだよな。そう考えるとシビアな世界だ。


諸般の事情というのはつまり,今年に入ってからはほとんどスタメンだったのに大阪のセミファイナル3日目で某古巣に徹底的にサーブで狙われて調子崩して途中交替した挙げ句この埼玉シリーズではスタメンから外れてしまったこととか,そんで土曜の試合は第4セットにスターティングで出場したのにやっぱり早速サーブで狙われてへちょっとなってすぐに交替させられたこととか。あわわ。(あれはどうせなら前衛から始めるべきだったと思うよ)。


だけど,振り返ってみて今シーズンを通して彼が果たした役割はとても大きいと思う。というわけで手紙の下書きを書いてはみたが,どうにもこうにもへちょへちょで本人の目にかけられるシロモノではなさそうなのでどうしたものかと。


声かけと言えば,場内一周の後選手はコートに戻り,写真撮影などの後ばらばらと退場していった。わたしもちょうど帰ろうとしていて,観客席通路から下の選手退場用通路が見下ろせるところで通りかかる某選手(前述とは別の人)を待ちかまえて「いっぺーさん,お疲れ様でした」と覗き込んで声を掛けたら,上を見上げてちょこっと手を挙げてくれて,それで自分でもわかるぐらいにへら〜〜と相好が崩れてしまった。超はずかしい。でもうれしい(←いい歳して……)。