紋付き


土曜の夜8時に2回立て続けに電話をかけてきてもわたしが出る確率は消費税率よりも低い。日曜の朝8時半に電話をかけてきてわたしが出る確率も以下同文。


そんなわけでどうにか母親と交信して「なんか急用?」って聞いても100%急ぎの用件ではない。そののうち狼少年になるので気を付けてください。


そして眠い目をこすりつつ「用件は何よ」って言ったら「かなさん,五つ紋の色無地が欲しいって書いていたでしょう。欲しいなら作ってあげてもいいわよ。うちに白生地があるから染め抜きの五つ紋……」


みなまで言うな。


頼むから,ちゃんと読んでください。脳内で作文しないでください。


1)花嫁衣装の大振袖はほんとは五つ紋付きがいいけどねー。だけど貸衣装だし「袖切って留袖」時代の習慣なんだろうし,今時はないんだろうね。


2)一つは紋付きの着物が欲しい気持ちはある。手に入れるとすれば,洗い張り後未仕立ての訪問着(たぶん)に縫い紋を一つ入れてもらって仕立てるか,母親の色無地を一旦解いて縫い紋一つ入れてもらうか,どっちかだな。


とそれぞれ書いたのは認める。しかしそれがどうなったら「白生地を染め抜き五つ紋の色無地に仕立てる」話になるのか。勘弁してください。


だいたい,色無地の五つ紋はまずしないだろう。色留袖でも標準三つ紋なのに,五つ紋なんて黒留袖でしかお目にかからないのが普通だろう。確かに祖母の妹の姑の遺品からは染め抜き三つ紋の色無地が出てきたけれど(「これ,どこで着たのよ」と不思議極まりなかったし,謎は今も解けていない),彼女はきっと格式張った場所に出る機会も多かったろうし,時代も違うし。


だいたい,あなたの色無地があるのに(いい加減着飽きたし色も見飽きたとはいえ),これ以上色無地を増やしてどうする。華やかな地紋(織り柄)もなかったっぽいので,若い内に色無地として着る生地には見えなかったし(どちらかというと誂えで何か描いてもらうような生地っぽかった)どうでもいいよ。染め抜きの紋付きが必要なご大層な人間にはならないよ。そしてどっちかいうと紋付きの訪問着に萌えるんだが,訪問着は色や柄がある分飽きるだろうし着る機会もないし管理も面倒だから結局着るにしても貸衣装で充分だよってことになってこの話は無限るーーーーーぷ。


追記。こういうこと書くと「じゃぁ紋入れて仕立てるか」って言われかねないので,念を押しておきますが「わざわざ色無地解いて紋入れは金の無駄(<着る予定がない)」「未仕立て訪問着(?)への紋入れも不要(<やはり着る予定も無いし八掛も替えたい)」ですので,もうこの件は当面箪笥の奥にでも仕舞っておいてください。


あ,2月に友達の結婚披露宴にお呼ばれしそうな予感なんだけど,何着よう。強情張らない方がいいんかなー。でもなー。適当な帯がないし買うとなると必要以上に神経使うし呉服購入には不愉快な思い出しかないから借りた方が気も楽だしてっとり早いんだよな。