映画「スクラップ・ヘブン」感想(超適当)


ややネタばれ風味あり。


見終わって「もうちょっと若い子だったら共感するかもなー」と思ったが,出ているのはいい歳した大人だから,ほんとは同年代対象のはず。うーむ。わたしはあっち側にはいけない。


はてなの感想(近日のものだけ)ちょっと読んだけど,評価低いなー。


共感(共鳴)するかはさておき,あたしは話も絵も良いと思ったけれど。滅多に映画は観ないし外したと思うこともないんだが,これは最近観た中でもけっこうキましたけど。光の使い方は目がちかちかするし暴力シーンはあるしR15な感じで。みぞおちが痛い。どきどきする。見終わった後はそれに影響されたのか妙に突き抜けたい衝動があった。例えば色気のある男性と一緒に観に行っていたとしたその後で襲ってしまいそうな(性衝動かよ)。お腹空いたーって思ったし(食欲かよ)。実際には食欲満たされてまったり寝てしまいましたけど。


【あらすじ】


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庶務のデスクワークにうんざりして1課への転属を希望しているドリーマーダメ警官の粕谷シンゴ(加瀬亮)がたまたま乗った路線バスでバスジャックに遭う。警官のくせになんもできなかったダメ警官はさらにダメな感じになってちょっぴりいきかけ。数ヶ月語,同じバスに乗り合わせていたトサカアタマの便所掃除人(オダギリジョー)に偶然再会し,現状への不満(青臭ぇ)を吐き出しついでに誘われるまま復讐ゲームと称していたずらを始める。一方やはり同じバスに乗り合わせていた謎めいたグラサン黒髪薬剤師(栗山千明)は何故か爆薬作りにいそしんでおり,「女の子を守れなかった」シンゴたんはこちらにも無駄に絡んで逆に振り回される。何やらどたばたしている内に気が付けば重大犯罪に手を染めほんまにどっか遠いところにいっちゃう,というまあそんな話。


「いい歳した大人」と言われるようになった(と思う)自分の目には,「いいけど,アンタ,この後どうすんの?」と言いたくなる映画でした。


【見所1】


粕谷君(加瀬亮)がかわいい。最初に,一昔前に流行ったような襟の詰まったダークグレーのスーツ着てやる気のない部署で露骨にぶすっとした態度でやる気なく仕事しているところからして,おおこれは好みのタイプだと思ったものだ。どうも妄想癖があるのか根暗そうな上に目つきは悪いしアタマやばそうだし。


それだけでけっこう萌えなんだが,その後便所掃除人に引きずられるように「復讐ゲーム(復讐請負業)」を始めてから,ストレスが発散されたのか笑顔をはじけさせているところが子どもみたいでかわいい。掃除人に扮したコスプレもかわいい。しかも,アタマはいっそういっちゃったため,昼間は庶務仕事でも俺はヒーローなんだぜ状態で昼間の一層のやる気なさ(そのくせ妙に強気)が危なすぎる。


真新しいスニーカーをダッシュボードに乗せて破顔一笑(幼児みたい),煙草吸って咽せる(中学生みたい),「こんなに緊張したのは童貞をなくしたとき以来」発言の照れた顔(だからオマエ幾つだよ)。


しまいには先輩の刑事(柄本明)にぼこぼこに殴打されてあちこち鬱血。蹴られ放題殴られ放題。これがまた情けなくてかわええんよ。そのぼこぼこ姿で薬剤師さんの前に現れ「俺は誰も守れなかった」と抱きつき「守って」オーラ全開。その後どうなったか知らないが橋のたもとに体育座り。取調室で泣きながら掃除人さんタコ殴り(でも非力),困ったほかの警察官に連れ出される(本人も警官)。嗚呼どこまでもわんわん。


【見所2】


シンゴたんにも鬱屈したものはあったにしても,表面上は飄々としていたあとの2人の腹の底の方がよほどどろどろしていた,と。それをシンゴたんにはけどらせもしない掃除人さん,平然とあしらう(だけどきっとものすごく傷ついたに違いない)薬剤師さん。だからその2人の方がよっぽど怖いこと(犯罪行為)をいろいろしでかしてくれるんだけど,安全な場所で「ゲーム」までしか出来ないチキン警官は結局その2人にはついていけなくて,最後には2人ともに置いていかれて(見捨てられたとも言うかな),どうするんかねぇ。その辺はちょっと深いと思った。


【感想】


映像がかっこいい。建物の屋上から街全体を見下ろす構図,わざと寝かせたカット,切り替わりの早さ。灰色と暗い青色の全体的にくすんだ色調もいい。コントラスト強い画面も多くてそのへんきつかったんで無駄に心臓ばくばくエンドルフィン増大。マイナで怠い半音と怠いテンポのエンディングテーマも似合っててよかった。


オダギリジョーの腕が太い。あんなに太かったっけ。あなたは本当に斎藤さんや田代君(田口君だっけ。イン・ザ・プールの人)や春彦さんと同じ人なのかと。着やせする人? 破天荒な便所掃除人さんの生き様に憧れるシンゴたんの気持ちは分かる気はする。残念ながら好みのタイプではないので,今回はシンゴたんに萌え軍配があがるんだが目だけは相変わらずわんこたんな掃除人さんだった。


ストーリィは,栗山千明がもっと絡んでくるかと思ったので,そこはちょっと物足りなかったかも。彼女は何がしたかったんかなー。どうするんかなー。シンゴたんに何をさせたかったんかなー。そのわかんないところもそれはそれでいいんだけど(実際黒幕ではあるるので彼女の狙いは達成されているのかもしれないし),出番の少ない分お陰で思いっきりテツ×シンゴな映画になっていて,「これは萌え映画ですか」という話になっちゃうわけで。


【見所3】


というわけで,やたら萌え映画でした。あとでかおりさんと「我々だけ観るところが違っているのだろうか」という話になったんだけど,違わないよね。鼻血出そうだったよ。ぐはぁ。凄まじい勢いで色々脳内補完してしまいました。はあ。


あまり人の名前が呼ばれない映画で,マトモに名を呼ばれるのは粕谷くんぐらいなんだけど,掃除人さんだけが途中から彼のことを何度か「シンゴ」と呼び捨てにしていてその呼び方が色っぽかったんさ。


最初こそ粕谷君が掃除人さんをナンパして,掃除人さんは粕谷君をちょっとからかっている風だったけれど,彼も粕谷くんのことをとても好きだった。弱味は見せなかったし本音も話さなかったし,粕谷を裏切ることもするし。しかし掃除人さんのその辺の強がりというか弱さがまた,たまらん。友情と裏切りは萌えに於ける永遠のテーマかねぇ。


掃除人さんは粕谷くんに自分のそばに来てほしかったろうけど粕谷はそれを拒んだんだよね。それが粕谷の裏切りなのか,それによって掃除人さんは絶望したのか,その辺はわかんないけど,彼は粕谷に一緒に来てほしくはあっても,無理矢理道連れにはしたくなかったんだろう。その辺も強がり。彼は孤独を抱えていてその殻を破りはしなかったわけで。


しかし「シンゴ,一緒に行こう」と言わせて,どうなのよ,あなた! なんでそこで袖にできるのよ。そんでその後の取調室に於ける掃除人さんの「俺の友達」発言。と・も・だ・ち! ぐはぁ。本人の目の前で「すっげーかっこよくなって」とか。打ち明けるな〜〜!


と,わたしがあたふたしてしまったので,その辺のやり取りがなんだったのかさっぱり覚えていないんですけども。なんで掃除人さんが粕谷くんがかっこよくなっていった話を始めてそれがどうなってシンゴたんがぽこぽこ殴り始めたのかわからん。


いずれにしてもこの取調室のシーンは腐女子的には瞬き禁止,正座して観るべき見所だと思う。忘れてしまっているのだから偉そうなことは言えないが。鼻血注意。