ふっかつのじゅもん


仕事とは直接は関係ないのだが(多少は関係するが),何らかの失敗をすると,基本的に落ち込む。もちろん,以後気をつけるとか,場合によっては顧みて対策を講じるとか,為すべきことはあるんだが,対策もへったくれもないうっかりの場合はどうしてもひたすらくよくよと落ち込むばかりになってしまう。


しかし,何にしてもどうせ取り返しはつかない。取り返しがつかないことに憂鬱になっても取り返しはつかない。なので,くよくよし損というか,無駄っちゃぁ無駄なわけだ。


最近,そういう時(で比較的軽度なもの。失言が多いかな。)に,ふと気がつくと心の中で「コバマサコバマサ」と唱えている自分がいる。


ほんの少し前まで,「座右の銘」の問いには「ありません」と答えていたものだが,「今日できることは先延ばし」とか「お金で買えない価値がある(以下略)」とか,いつのまにか増殖しているなあ。いやはや。


説明すると長くなるのだが(そしておもしろくも何ともないプロ野球のネタなんだが),千葉ロッテ小林雅英が今年のパ・リーグプレーオフ第2ステージ第3戦で,9回裏に4点差で登板して2アウトまで取ってから4失点したとき,そのチキンっぷり(失敬)に「性格が抑えに向いていないんじゃないか」という意見が散見された。が,反論として提示された「彼は一晩寝たらけろっとするらしい。抑えはそうじゃないとやっていけないから抑え向き」という意見を見て,事実は知らんが,非常に感じ入るものがあった。


リリーフの場合はヒット1本四球1つ暴投1つ許されない場面で登板することもしばしばだが,どんなに優秀な人でも打たれることはある。でも,優秀であればあるほど(信頼されていればいるほど),すぐ次の日に再び似たような場面で投げることにもなりうる。そういうときに,戦術面での反省はともかく,気分のくよくよを引きずることは,悪影響しかなさそうだ。


ならば,きれいさっぱり忘れられる方が向いているんだろう。


なので「こばまさこばまさ」は「忘れろ忘れろ」という意味の呪文である。と同時に,「彼よりマシ彼よりマシ」という自分への言い聞かせでもある。


徐々に失点を重ねていったときの彼のプレッシャーはわたしが今までに感じたどんなプレッシャーよりも遙かに大きいだろうし,やってしまった失敗の大きさも(結果としてリーグ優勝できたから今となってはネタ扱いできるわけだが)比ではないと思う。それに比べれば,わたしのやらかしやくよくよでぴーぴー言うのは片腹痛いことだろう。


格別好きな選手でもないが,そういうことを考えると,感心する。もっともあの晩はそうとう叩きたい気分になったもので,ああいうポジションがうらやましいかというとまったくそんなことはない。