雨の神宮


ヤクルト1−9阪神@神宮


江草を打てません。


テレビで解説とスロー再生VTR付きで見ていても投球の善し悪しが分からない人間が球場で遙か後方の外野席から一人で眺めていて打てない理由が分かるわけはないんだが,ともかくヒットさえ滅多に出ず,たまに塁に出れば併殺打。凡打拙攻の繰り返しで,あれよあれよという間に気づけば完封ペース。


隣にいた男性は,7回表に0−5になった瞬間席を立って帰って行った。雨はだんだん増えてくるし時折突風が傘をあおるし,何より寒い。そのあたりを潮に帰るのがいろんな意味で正解だろうとは,帰る様を見ていても思ったものよ。事実,それまでは数字の上ではそれなり(逆転の芽もありやと思われた)に進んでいた試合が,その後一方的もいいとこレベルに転落してしまったし。


わたしも連れがいれば「寒いしおなかすいたし,もう帰ろっか」となったのだろうが,なんとなく撤収するきっかけをつかめず,傘に埋もれかじかむ手をジーンズの隙間に突っ込んでぼーっと試合の行方を眺める。いやもう,あんなにぽこぽこホームラン打たれると,あまりのおかしさに却って気持ちいい。それに,折角ここまで寒い思いしてるんだから最後までいて江草の完封でも見届けてやろうかと思ってみたり。


そんなだったから,9回表に江草に打順が回って代打が告げられたときには,完封回避の可能性が高まった嬉しさ以上に「なんの為にこの冷たい雨の中,勝敗も決まったに等しい試合を残って見てやってると思ってるんだ」と怒りがむくむく沸きましたとも。


もうちょっと点差が小さければ,そして,天気が良ければまだしも,防寒して傘さして見ている観客でさえ「どうでもいいからはよ終われ」と思っているような寒さの中投手の継投の仕方も捨て試合かと思ってしまうような状況で,相手投手が交代したからって9回裏だけで9点差をひっくり返すとはなかなか思えませんもの。そもそも替わったらといって必ずしも打てるとは限らない。


でもまあ,先発完投完封偉いっていう考え方はいかん。珍しい物見たさはあったけど。替わった久保田は前日押しだしを選んだリグスにホームラン打たれた以外はさくさく抑えて終了。


サンテレビ(?)の中継が入っていたからかもしれないけれど,阪神のヒーローインタビューが場内放送された。去年の神宮球場はヤクルトが負けたときはヒーローインタビューは放送されていなかったのでこれはよい傾向。聞きたくなければ聞かなければいいんで。ヒーローは江草でした。