映画「夜のピクニック」
試写会を見てきました。場所が九段会館(由緒正しそうな古い建物だった)で,九段下の駅を降りるとやたら人が多い。どうやら武道館へ流れている様子。案の定,上演後の帰りもそれら大勢の人と一緒になった。なにやらハングルのボードを持っていた人がいたので,外タレ(っていうの?)かしら。
試写会はおみやげにビニールシートと万歩計,またミニプラネタリウム付き舞台挨拶もあり,かなり盛りだくさんな内容だった。30日が初日と迫ってのタダ見嬉しい。試写状は頂き物。ありがとうございます。
開演の1時間前が開場でその1時間前から並んでいた。会場に着いてから原作を読み始め,待ち時間の合計2時間でだいたい半分まで進んだ。そこから映画を見て,今から残りの半分(読み終わる前に寝なければと思っているけれど勢いで読んでしまいそう)。前半と後半で登場人物のイメージが変わる,こんな読み方も珍しかろう。これから先はどうしても,ついさっき見てきた映画の配役と映画内のキャラに影響を受けてしまいそう。でもまだ,映画を見る前に抱いていたイメージの記憶も残っている。奇妙な気分。
で,映画の感想。
は,難しいや。出演者がみんな若くて(つまり顔を知らなくて。知っていたのは加藤ローサと池松壮亮くんだけ),エキストラのリアル高校生が多くて,ロケも多くて(ほぼ全編通して屋外だからね),なのでとてもリアルな感じがした。地方のありがちな町並みありがちな景色,ありがちな高校生のありがちな悩みとありがちな学校行事。ちょっと特殊な事情を抱える二人の悩みもまた,多くのありがちな風景の中で,ありがちな青春のとまどいや悩みに取り込まれている。ていねいな描写はきれいだし,時折挟まれる笑いの折り込み具合もいい。
しかし,作中で戸田忍が何度か繰り返して言うように,すべてはタイミングで,わたしはこの作品を見るのには少し歳を取りすぎたかもしれないし,この作品で共鳴するには青春時代の思い出が少し褪せていたようだ。
それなりにじんとくるものはあったので(そしてかなりこそばゆいものはあったので),「リンダリンダリンダ」を見た直後で青春を懐かしむネタには足りていたからかもしれない。ただ,これは今の自分よりももう少し若い人のほうが,楽しいんじゃないかとは思った。過去を振り返るにももう少し記憶が鮮明な過去である人たち。
ところで多部ちゃんはかわいいわね。舞台挨拶の時は純粋にいい子でかわいくて,甲田貴子のイメージじゃないよな,と思っていたけれど,映画の中での鋭い目つきも魅力的でそのうち貴子にもなじんだ(恩田陸の作品に出てくる女子高校生には全て自動的に「六番目の小夜子」文庫版表紙のビジュアルイメージがつくようになっているのです)。そして石田君も(舞台挨拶はぐにゃぐにゃだったけど)西脇融は硬派で運動も勉強もできる理系男子然としていて非常にかっこよかった。
キャラの中ではわたしは戸田忍が圧倒的に好きです。勿論。
さて後半読むかー。仮眠も終わって,いよいよ自由歩行スタート。映画でネタバレしていながらもやはりどきどき。
とか言っていると明日はもう月曜なんだよなぁ。休みの日はあっという間だ。昼すぎに起きていてはそれも道理。あの村上龍の小説のタイトルにでもなりそうな海や黒の面積よりも星の面積が多い夜空はどこへ消え去ってしまったのか。