文句は言いますが楽しかったです


楽しみどころはいろいろあって,見る側も半年以上のブランクで見方を忘れてしまっているので,二日間リハビリの気分だった。野球を好む(野球を餌にお茶の間解説者になることを好む)日本人の嗜好には合ったスポーツだと思うんだけども。サービスは言ってみればピッチャーの投球で,相手の守備陣形を視野に入れつつどこを狙ってどんな種類のサーブを打つか。レセプション側がバッター,なんだけどバッターよりも計画的にあらかじめどんな風に攻撃するかを決めていて,もちろん飛んできたボールetcの状況で変えもする。それに対してサービスした側はブロックにどうついてブロックフォローがどうついて,っていうので1ターン。その予測やら結果に対する一言言いたい気持ちやらがまずおもしろい。各サーバーやらレシーバーやらセッターやらアタッカーやらの個人の技能・技術・運への一言ももちろん含まれる。1得点ごとに仕切り直しになる(=一度バットを振るなりボールがミットに入るなりしたらまた投手がボールを出す)ところが,自分の性(動体視力の弱さと状況理解の遅さ)には合っている。


サービスのローテーションがあるので,ローテーションの組み合わせの妙もある。セッターがサーブの時に連続得点するチームはわりと多いけど,その理由がセッターが後ろにいる間は前衛が高い(=ブロックが高い)&前衛で攻撃できる人間が3人いるからだと気づいたのは,かれこれ5年ぐらい経ってからだった。それも相手があることなので,セットが変わってメンバーは同じでもローテ順を変えたらいきなり良くなることもあっておもしろい。


トスアップも,そのセットの中なりゲームの中なりでの組み立てというものがあるらしく,その辺は現地で見ていても素人だし記録もしてないから全然分からないんだけど,インハイを続けて投げてて体を起こしておいて最後アウトローのボール球で空振り三振取る,みたいなこともやってるらしい。一方で,アタッカーは人間なので調子の善し悪しやら得手不得手やら気持ちの浮き沈みやらがあり,試合の中で打たせて調子を上げさせてやったりもしないといかんようで,個人的には,拾われたアタッカーにとにかく決まるまで上げ続ける頑固な長丁場ラリーを見るのが好き(頻繁に見るのでオーソドックスな配球なのかね)。


とかなんとかの頭を使ったフリ(お茶の間解説者風)をすることによる楽しみ方と,一方で,ラリーが続くときのめまぐるしさにどきどきはらはらや,24ー24から始まる手に汗握ってワンプレーワンプレーを凝視し一喜一憂する数分間や,とんでもないスパイクボールが偶然若しくは神業によって繋がって上がった瞬間の会場のどよめきやら,どよめきならとんでもないサービスエースが決まったときもどよめくし,完全シャットしたときの「どかっ」っていう音と直後の沸き返るムードはどよめきとはまたちょっと違う。シャットアウトが出ると,一気に場が明るくなって流れが加速する。そういう頭を使わないで自然に起こる興奮を楽しむ部分もある。ホントに手のひらがぷるぷる震えていた今日の第3試合の第2セット(33ー31まで行ったので)とか,脈が速くなって体温上がったのが自分でも分かった昨日の第4試合とか。そういうのってちょっとしたカタルシスで,そのカタルシスが快感。


もちろん,どちらか一方を応援することに決めてそちらが勝ったときには申し分なく快感なんだけど,それは負けたときの不愉快さを併せ持つのでハイリスク。それでもやはりどちらかを仮に応援すると決めて肩入れしながら見た方が,途中も興奮はするかな。


とまあそんな具合に楽しむのは大いに楽しんできたんだが,ただ,最後の勝敗だけは自分ではどうしようもない。この二日間で8試合観て応援した側が勝ったのは2試合(パナの2勝)だけ,それも強いて言えばという程度で肩入れまではしていなかったから,大きな喜びは得られず,負け試合の多さに後味だけはかなり苦々しく,週末二日間のほとんどを過ごした有明コロシアムを後にしましたとさ。


偉そうなことをいいながらも,現地で得ている楽しさの成分のほとんどは,小中学生時代から変わっていない単純且つ幼稚な「かっこいい〜,きゃっきゃ」で占められている気はする。内面が全く成長してない自分。いい歳した大人でこれはイタイ。実際そうとうイタイ。行動(態度)に出さないのが,強いて言えばせめてもの大人の証左か。幾つになってもそういうものなのかもしれん。