新春歌舞伎「小町村芝居正月」@国立劇場(前振り)


国立劇場の正面玄関の向かいは皇居で,なんとも都内であんなに空が広くて緑が多いところが他にあるかね。玄関前の車寄せもゆったり広々しているし,少し高台になっていて皇居もきれいに見える。ホールも吹き抜けでなんとなくおめでたい気分になるし,椅子も背もたれが高くてシートが柔らかくてちょっと席幅も広め。実に結構。お正月らしく良いおべべのお客さんがたくさん(いつもより断然柔らか物率が高かった気がする)で眼福。


何より,ちょうど館内に入ろうとしたときすぐ目の前を通っていったのは多分音羽屋のおかみさん(富司純子氏)。うわーうわーうわー。去年の7月の歌舞伎座でもロビーでお見かけしたけれど,いつ見ても綺麗。うわー。「仕事で髪を切って」などと連れの男性(本当に後ろ姿をちらっとだったので正体不明なるも,後ろ姿やその後の流れからおそらくあの人ではと思いつく人はある。間違ってたら恥ずかしいので書かない)と話しつつ。


自分も取って置きの飛び柄小紋+芥子色の九寸の織名古屋のつもりで年末からうきうきしていたものの,前日の雨天でやる気をなくしたためと蓄積する疲労とで睡眠を優先してしまった。雨なぞ降りそうにもない天気だったので残念であった。終演後かなまるにその旨を伝えたところ「着物で行ったことある?」と笑いながら訊かれた。あるもん(一度だけ)。お芝居を観に行くのが主眼であって,おべべ競いに行くのではないので。


加えて,今日は立川でちゃリーグもあったし(中川ハジメが出ずっぱだったとか)NHKBSでぷリーグの放送もあったしで,明日にしておけばもっと良かったとも思ったものだが,ともかくお芝居はとことんオメデタイ雰囲気でたいそう面白かった。細かい部分を忘れているしプログラムでも補完できないことが多いので,できればもう一度観たい。観たいがしかし,かなり頻繁に花道を使っていたので,せめて七三は見える席じゃないと甲斐がない。今日も2階じゃなく揚幕から見える1階にしておけば良かったと思ったぐらいで,そうなるともう一度観るにはいささかお財布が。だけど,二百数十年ぶりに復活した通し狂言がこの先すぐに再演されるとも思えない。悩ましい。ああ悩ましい。