腐ってないカレシにBL世界を軽く紹介するための10本[れびゅう5]


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ところで,この「○○オタが非オタの彼女に○○世界を軽く紹介するための10本」には本来テンプレ(コピペ)があるんだけど,様式美が何より苦手なので,適当に書いています。それでも当初は最低限,元ネタのメインである「想定するところの非オタのカレシとの会話妄想」方向に持っていこうとは考えていたんだけど,蓋を開ければただのブックレビュー(しかもつたない)。気力が残っていたらてんぷれしてみますが。明日はまた仕事なわけで,盆週間が終わったらわりと立て込んでいるんで,どうかねえ。

晴れ、のち雷/柏枝真郷角川ルビー文庫


小説 一人称/話者交代型 難易度:★


3冊完結のシリーズ。20代後半リーマン(?)モノ。BLレーベルから出ているBL作品なれど,恋愛要素は進行も展開も描写もまったり。


高校時代の同級生が職安で10年ぶりにばったり出くわすところから物語が始まる。タイプが違う2人は高校時代の交流は全くといっていいほど無く,寧ろ双方苦手意識を持っていた。しかし,再就職活動中(失業→職安)に数々の事件(含刑事事件)に巻き込まれ,事件を解決していく内に次第に互いへの理解が進み絆も深まって云々,という筋立て。


自信家で一匹狼気取りで一見無愛想に見えるんだけど実はお人好しの攻,謙虚で根っからお人好しで疑うことを知らない善良そのものの(でも意外なところで頑固な)受,という正反対のようで実は似たもの同士のW主人公の設定は確か28歳。リーマンと言っても失業して求職中につきあまりスーツが出てこないんだだけど,たまに出てくるスーツにちょっぴり萌え。お互い正反対の性格なのにコンビにすると威力を発揮する,無自覚な連係プレーの手際の良さもちょっぴり萌えどころ。


とはいえ,恋愛方面の話は一向に進展しない。あわや一次接触という場面こそ所々に出てはくるものの,お互い「相手のことがなんとなく気になる」状態からなかなか進まない。一人称だからこそ,本人が自覚していて人に語れると判断したことしか語らないので,本人が無自覚な心情は語られない。全体像が見えない。


ということで恋愛感情さえもほとんど見えてこないままゆる〜く話は進み,物語が終わるときに2人がくっつくかくっつかないかが最大の争点というのんびりさ。どちらかというと事件の内容やその解決の方が楽しくて好きな作品だが,こっちは一応恋愛話を期待して読んでいるので,その焦らされ具合というかじれったさが,登場人物の人柄の良さと相まって,それはそれで味わい深い。とも言える。


いずれにしても,BLと一口に言っても必ずしも恋愛メインのストーリーばかりではないんだよ,というおはなし。逆に言えば,話のどこかでボーイズのラブが出てきたら,どんなジャンルだってBLになっちゃうんだよ,ということでもある。たとえば,1990年代中頃にはファンタジー設定のBLをよく見かけた。今回の10選ではかなりジャンルが偏っているがそれは仕方ない。


攻は女性嫌いで高校時代から(自覚的に・積極的に)ゲイ,受は自分では異性愛者だと思っているけれどあまり拘りはない能天気な人間として描かれていて,これもよくあるパターン,かも(以下次項)。