企業スポーツ部


率直に言ってチーム(日本プロ野球チームにおいて一般に「フロント」と呼ぶような概念)に対して不満は大きいし,有り体に言えばいくらかの不信感もある。世の中には人(選手・スタッフ)が集まってくるチームと,去っていくチームとがある。前者になるか後者になるかは,チーム次第。各チームは当然,特別な何かがない限りは前者を意図しているものに違いないのだが,実際には,後者,そこまでいかなくても集まりにくいチームは出てきてしまう。どこが(誰が)どのようにがんばってどうしたら前者になるんだろう。わかりやすくて大きな要素はたぶんお金で(それだけではないにしても),ただこればかりは,出したいと思って出せるんだったらこの世の中に「無い袖は振れぬ」なんて諺は存在しないだろう。事情も実際も知らないので妄想でしか書いていないが,4強常連だったころと比べて予算削減の臭いがぷんぷんする。そりゃ,誰かががんばって予算を確保することも不可能ではないだろうが,必要なのは選手・スタッフの人件費だけでないのだし,がんばってどこか大きなところに掛け合ったとしてもその大きな所の袖にも限りはある。そもそも,がんばれる人って誰なんだろう。


以前,一企業が独占していることが必ずしもイコール悪ではない,と書いたが,それはそう思いたい気持ちの現れで,現実にはあまりよろしくない方向での発露もみられる。例えば,ただの印象でしかないが,仮に予算削減されているからといって,かわりに勝手に立案して好きなやり方で外貨を稼ぐことができそうにはみえない。クラブチームなどのように特定の巨大な財源がなく資金繰りが大変なチームもたくさんあり,それに比べれば,なんだかんだで或る程度の(しかもそれなりに恵まれた)お金が保証され確保されているのは大企業にぶら下がっているチームであるが故に受けられる恩恵だろうが,一方で,大企業の大きな組織の決定に対して働きかけられる力はきっとあまり強くないだろう。それは資金だけでなく,チームの佇まい,見せ方,売り方,選手・スタッフのスタンス,すべてにおいて,そこに目に見えて枠が置かれていても,目に見える枠は置かれていなくても,企業の持ち物としてあるべき姿の枠からはみ出すことはできないだろうな,と思う。ひとつひとつの細かい事柄についての意志決定機関がどこにあるかということではなくて,企業名を冠している(看板背負ってる)チームである以上,企業グループ全体に貫かれているなんちゃら(自分も会社員ですけどその辺のカタカナ語には弱い)から外れることはないだろうと。


たとえば,松本の退職の背景として,上記の公式発表文書の行間をうがった見方で眺めてみれば,プロ契約でもしたかったんかいな,ということも想像できる。宇佐美の移籍のときにNECがプロ契約を認めなかったから,という噂があった。ほんとうのところは分からないが,移籍先の松下(当時)は既にプロ契約の先例があり,宇佐美もプロ契約をしているのは事実。もしNECがバレーボール部をあくまでグループ社員のための運動部と位置づけていてそのスタンスを崩したくないといった考え方をとっているのならばプロ契約選手は存在しえないだろうし,その考え方自体は間違っているとか悪いとかではない。なんであれ筋が通っていることは大切だし,筋が通っているのはそうでないのよりずっといいと思う。わかんないけどね。


一方で,同様に企業持ちのチームであっても,そこで働く選手については拘らないのか近頃はプロ契約をするチームも増えてきた。サントリーパナソニック豊田合成。あと,東レJTはどうなんだっけ。


プロ契約云々はさておいて。話は戻って近頃「大卒ドラフト注目選手両取り」が話題を呼んだPで始まるチームに対してついあれこれ思ってしまうのは,人の集まり方(集め方?)も実際の起用もこちらの度肝を抜いてくれて面白いということも大きいが,何より,広い目で見れば同じような立場にあるチーム同士でこれだけ違った結果が表出しているところに如何ともしがたいものを感じるからだ。企業(ブランド)自体の知名度が高く,同企業内に当該競技ではそこそこの位置にある他球技チームがあり,全体として「中の人に向けた愛社精神昂揚ツール」と「外の人に向けた広告塔」の役割を担っている(ようにみえる。公式のWebページの雰囲気がひどく似ている)。そして,もっと言えば本体の業種(業界)も素人目には似たようなカテゴリに見える。それでもバレーボールチームとして見たときにはこれだけ違うんだから,このタイプのチームがどうこう,と一概には言えないことがわかる。少なくともPで始まるチームはNで始まるチームよりも力とお金をかけて(もらって)るように見える。そしてお金だけでそれだけ人が集まるとも思えないから,お金だけじゃないんだろう。とすると,いっそう如何ともしがたいものを感じる。


もともと在阪他2球団に比べるとやや存在感が地味で人気薄だったように思うけれど,それだけに,純粋な人気以外のところで衆目を集めている現状は,果たして望ましいことなんだろうか。って風に考えると,ファン対応(外向き指向)については,他2球団よりも弱いところがあるのかもしれないが。


Pの話はそれぐらいにして。


時に,特定の一チームをただ惰性でヲチっているだけの一民間人としては「NECスポーツファンの皆様へ」と書かれると自分に向けられた文書としては受け止めづらいんだけど,でも細かいことだから気にしちゃダメ。こっちを向いてはいないんだなって思って空しくなるのも,妄想なのでやめましょう。ファン心理が高じてそこのブランドの商品を買い求めるファンっていうのは存在するようだから広告塔の意義はあるんだけど,広告塔として外向きに売ってもいない感じがするよね……。


そんなわけで,個人的には内向きの企業臭が強いのはあまり好きではないし,そのことでやりづらい(損をしている)面もあるように見えるが,理想をどう言ったって,お金持ちの誰かがお金をたくさん出してくれないと何も動かないのが現実。プロ化なりしたとしても,法人の資金はアテにせずに個人のファンだけをたよりにしようという意味ではないのだし。結局誰かがどこかで大きなお金を動かす。ただその動かし方や配分や,資金提供の見返りに得ようとする(得られる)ものはきっと随分違っていてその違いが意味したりもたらしたりするものは大きいだろうから,どっちだって一緒じゃん,ということではない。だからこそ,難しい問題なんだろう。


気がつけば2時間経っていて,とうとう6時になってしまいましたよ。一睡もしてないですよ。どうしましょうね。