「センタープレイヤー」のオシゴト


チームが存続しさえすればほかには何も望まない,そんな心境にさえなってくる今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか。選手15人しかいないらしいですよ。冗談じゃなく日高合流までの期間青木コーチに選手登録しておいていただきたいくらいです。(センター陣3人に万一のことがあった場合にセンターポジションで出られそうな選手が思い浮かばない)。


閑話休題


センター(ミドルブロッカー)に何を求めるのか - /ja あやつる YmrDhalmel


を拝見して。


自分はもともとそれほどセンタースキーではないのだけれど,このところあまりにセンターがいないので逆説的にセンターが気になって仕方ないわけです。このポジション,どうやら役割の幅がかなり広いようで,しかし競技経験皆無のためになかなか思い至らない。そこで,これまでに得た知識や憶測や妄想を洗い出すだけ洗い出して書き逃げしてみようという試み。


・クイック:スパイク決定率上位はセンタープレイヤーと相場が決まっている(実際には違うこともしばしばある)。打数が少ないから打率が高いなどと言ってはいけない。セッターとのコンビの確かさ,クイックに入るスピードの速さ,高さ,スパイクの正確さ。センターに上がるときは確実にサイドアウトを取ることが期待されており,ミス許容度が低い。ラリー中にセンターのクイックを使ってくる強気なセッター(とそれに合わせてくるセンター)には惚れる。


・ブロック:センタープレイヤーと呼ばれる人が前衛3枚で最も身長が低くても(ブロックの本数がサイドの選手より少なかったとしても),ブロックのときには必ず真ん中に入る。これはずっと不思議に思っていたことだけど,今日思いついたことには,ワンタッチでボールが繋がったあとにサイドの選手はオープンからスパイクを打てるようにしなくちゃならなくて,そういう意味でセンタープレイヤーが真ん中(ワンチ後のスパイク優先度が低い)に入るんかな,とか。知らんよ。


チームの戦術やレシーブとの連携も踏まえた3枚のブロック陣の中心,一方で勘の良さも必要。相手センターのクイックへの対応,ラリーになったときに左右どっちに跳ぶか(超高速蟹走り横移動)。跳んだ後でストレートとクロスのどっちを締めるか,跳ぶタイミング,腕の出し方,いろいろ。身長と垂直跳びは高いに越したことはない。腕も長いに越したことはない。そして跳ねとばされない強い体躯。


・サイン出し:何のサインかわからないけど,よく出してる。たぶん自チームサーブ時のブロック&レシーブに関するサインだろうと勝手に思っているのだが実態は不明。


・短いサーブのレセプション:オーバーハンドで受けることが多い。体育の授業の記憶を思い起こすと,低いボールをアンダーハンドで受けるよりも,胸の前に跳んでくる中途半端なボールの方が取りにくい。オーバーハンドで受けてそのままクイックに入る……のはクイックにならないか。


・二段トス:だいたいアタックラインより前の二段トス係はセンター(後ろだとリベロが上げることが多い)。これが下手だと萎える。上手いとそのラリーを取れる。


・被ブロックのフォロー:サイドアタッカーがサイドからスパイクを打つときに大きな体を小さくしてネットの下で待機している。ブロックにかかって自チームに戻ってきたボールを1番目に拾うのがセンター,2番目にトスを上げるのがセッター。


・サーブ後の後衛守備:なんせ自分がサーブを打つときはコート内にリベロがいない。意識して見たことがないので,どこ(センターか両端か)に入ってるかは印象にない。


・サーブ:ポジションとは関係ないが。センターがサーブの時に連続得点するチームは多い印象。稀にサーブそのものを得意とする選手もいるが,一方で,へなちょこサーブを打つ選手も多いのがセンター。


今思いつくのはこんなところ。リベロ制導入以前はバックアタックもあったわけだけど,今は助走を伴ったり飛距離を必要とするようなスパイクはあまり求められない。だからなのかなあ。


ぶっちゃけて言っちゃえば,打ち屋という観点で見れば,サイドアタッカー(ここではオポジット&攻撃型レフト)>センタープレイヤーだろう。現状,自分が見ているカテゴリ(男子で大学以上の年齢でトップクラスのカテゴリ)では,1人のセンタープレイヤーの出場時間は全体の5割。打ち屋能力がより高い人間をフル出場し打数も多いポジション(=サイドアタッカー)に置くだろう(逆に言えばセンター=打ち屋能力が劣る)。んだけど,打ち屋能力だけでセンターははかれない。消去法でないセンター。


消去法でないセンターの要素でいちばん簡単に思いつくのは身長。身長というか,厳密にはブロック。ブロックにつく頻度の高さとブロックに占める役割の大きさを考えると,ブロック能力の観点からはセンター>サイドの構図になる。身長は高いに越したことはないけれど,ブロックランキングを見ていると,必ずしも身長だけではない様子は窺える。


そして,こうやって総合的に見てみると,センターって実は「守備の人」度が高いんじゃないかという。ブロック自体,攻撃というよりも守備の最前線なわけだし。そのほかのちまちました仕事も全部回ってきているし。だからどうというわけではないけれど。チームプレーができる人,前衛に居ながら全体が見える人,みたいな。細かく見れば,セッター横のセンターとセッターから遠い方のセンターとでも,求められる要素が違うかもしれない。


センター→サイド,または逆にサイド→センターと,途中で変わる選手はそれぞれ色々前向きだったり後ろ向きだったり理由はあるだろうが,どこでもできればそれに越したことはない。攻撃型サイドアタッカーの役割に占める「打つ」割合は高いだろうが,サイドアタッカーにだって打つ以外の役割もある(未検証)。要は,そのポジションの人が背負っている役割を総合的に考えて,その選手がどこのポジションが向いているかを判断することになるんだろうし,また,チームとして人員配置を考える際には,そのポジションの役割のうちで何を重視するか,にもよるだろう。


実は今年に入ってオリンピックの予選で色々と解説を読むまで,レフトが守備メインと攻撃メインで意識的に明確に分けられているということにさえ気づいていなかった。まして,サイドアタッカーの攻撃位置がローテーションによって決まることになんて気づくはずもない(この関係は今でもさっぱり分かっていない)。言われてみれば,ぽて,と手のひらを打つこともある。


これまでなんとなく「セッターとセンターとレフトとスーパーエース(←敢えて)とリベロ」っていう4種類の人間がいるように思っていたけれど,7人いれば役割も7通りあるんだろうなあ,と,一方で,ポジション名では固定されずローテーションによって縛りを受けている要素も自分がこれまで知っていた以上に多いんだろうなあ(ルールで決まっていること以外にあるなんて)と,新たな知見が開ける予感だけした今年の夏。そこで止まっています。


常識ってのが実はごく狭い範囲でしか通用しないものであることも多い。あの世界にはなにやら素人が思いも寄らぬ技術・戦術上の常識がたくさんあるようだが,しかしその常識がなぜ常識になっているのか,常識外のことをする人はいないのか,そんなことも気になるわけです。