エール交換


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この記事を読んで,考え方はいろいろあると思うけれど,今年の町田と千駄ヶ谷で自分が見て感じたことを書いておこうと思う。


もう何週も前のことになるので記憶も薄れかけているが,どうやらFC東京のサポさんは相手チームからのエールを受けてないな,っていうのはほんのり気づいていた。特に東体2日目の堺との試合後に堺応援団長のなおきさんからのエールを無視っていたのは,けして良い感じは受けなかった。


なぜ嫌な感じがするかを考えてみると,「エール交換をしないから」ではなくて,単純に「人から話しかけられているのにシカトしている(ように見える)から」だと思う。誰だって,明らかに話しかけられているのが分かっているくせに知らない振りをしている人を端から見て良い気持ちはしないと思うし,その態度を良いものとは考えないと思うの。


事前に両チームの応援団(という言い方が適切でないなら要するに団席のコアな場所にいたり応援のリードを取ったりする人たち)代表同士で一言打ち合わせをすれば解決するんだから,それぐらいはしようよと思った。もし事前の打ち合わせ依頼(というか,挨拶的なもの)さえも無視ってるんならそれは勘弁してほしいが,よもやそんなことはあるまい。体育館なんて狭いし,たいてい団席って隣り合わせで同じ通路使ってるから(味スタにJ2の試合観に行ったときにびっくりしたんだけど,サッカーの試合ってホームとアウェーで入り口を完全に分けてて中の通路も通れない仕様)自然と軽い挨拶ぐらいは交わすでしょう。そのついでにちょっとした打ち合わせぐらい大した手間じゃなかろう。


そこでたとえば「ウチはあの形式のエール交換はしたくない」と言う要望があれば,相手チームもそれにあわせてエール交換をしないという選択,つまりしたくない方に譲ることも時には必要だと思う。


ところが,ここが難しいところではあるのだけれど,そもそも,試合開始前と試合終了後に応援団が相手チームに対してかけているエールって,いったい誰に向けたものなんだろう。コート上の選手? それとも,相手チームの応援団?


さっきの例の続きで,かなり極端なケースを仮定して,仮にエール交換をしたい派のチームが「ウチとしてはそちらさんのコート上の選手に対してエールをかけたいんで,団席の皆さんは無視してくれてて構いませんからやらせてくださいな」と考えていて,応援団同士でその旨を諒解しあっているのなら,団席同士はそれで話が済んでいる。向かいから見ているとまるで流儀を無視している感じ悪い人たちにしか見えないが,そんなことはどうでもいい。はず。


コート上も応援団席もまとめて「チーム」ととらえた場合には,エールしてくれてるならそれなりに意識ぐらいは傾けるべきだろうと思うけれども,敢えて「選手」と「応援団」を分けるとそういう解釈も成り立つ。


見てて気持ち良くないから,勘弁して欲しいですけどね。でも,エール交換,特にあの「○○チームのー,健闘を讃えー(勝利を祝しー)」形式のエール交換って,俗に「応援団」と呼ばれる人たちの間で執り行われている儀式であって,部外者の一般観客がやいのやいの口出しすべき範疇ではないもののように見えるんで。


エール交換の件に限らず,両チームの応援団は,敵同士かもしれんし,応援もお互いのチームがそれぞれ勝手にやってきてそれぞれ自分たちの流儀で応援して勝手に帰りたいというのもあるかもしれんけど,そこは一応同じ場で同じ時間を共有するもの同士,その試合を作りあげる一パーツでもあるわけだから,より良い場の形勢ができるように最低限の協力はした方がいいんじゃなかろうか。そうじゃないとお互いやりにくい部分も出てこない? 長い年月をかけて熟成された場だと自然と暗黙の慣習ができあがっていて特に都度の打ち合わせは必要ないんだろうけど,その暗黙の慣習を知らない(知ってても変えたいと思う)なら,それなりには話し合いも必要ではないでしょうかね。


これはけして東京サポさんに対してのみ思っていることではなく。既存チームの応援団さんたちも,新しく入ったチームさんを迎え入れて一緒に試合会場を作っていってもらいたい。


ざっとそんな感じです。アレ式のエール交換そのものについては,最初に目にしたとき(高校生ですね)はまったく意味が分からなかったし馴染めないと感じた。それぐらい強烈な違和感があったけれど,そういうものだと思って受け入れるしかないわけで,すぐに慣れた。慣れれば当たり前になる。ないと寂しいとさえ思うようになる,かもしれない。


大人になった今,あれは要するに様式美だと理解している。様式美は嫌いじゃないので,あれはあれで趣深いものだと思ってはいる。でも,歌舞伎だけが芝居じゃないですからね。様式の中では表現しにくいことや伝わりにくいこともたくさんあるし,様式化されて引き継がれていくうちに由来がわかりにくくなったり,背景知識なしにはその意味するところを理解できなくなったりする。でも,歌舞伎と現代芝居を一元化して優劣を決めようとするのはナンセンス。


エールの交換,ねえ。アレ式にするにせよ別の方法を採るにしろ,試合前後での「これからよろしく」「これでノーサイドですよ」的な儀式は,スポーツマンシップっぽい感じで好ましくはあるけれども,プロ野球ってしてるっけ。試合前はまず余裕を持っては到着しないし,試合前ってDJ入ってたりいろいろイベントしてる。試合後も勝ったらWe are the Swallows 歌って東京音頭歌って応援団が1−9してわーわーしてる間に引き上げちゃうし,負けたらもっとさっさと引き上げてるからなあ。