読んだ本
あまりに商業BLの書影に偏りすぎているASIN/ISBN欄に苦笑を禁じ得なくなったので,買って読んだ本シリーズは去年の終わりぐらいに勝手に終了しています。でも癖になってしまって,毎月1冊ぐらいは新刊買ってしまう。いいんですけどね。
さきのツアーグッズで合皮の文庫本カバーを買ったのに,たいていカバーを掛け替える前に読み終えてしまいます。
ツアー! ツアーも突然の中断・延期で,ぽん,と放り投げられたまま宙に浮いている気分。幸い中止にはならず順延日程も既に発表されている。2枚分のチケットを年末まで持っておかないとならない。見事に全日本インカレとかぶった(うえ平日夜になった)ことについては,今はまだ考えないことにしている。
閑話休題。
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/04/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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琵琶湖周辺を舞台にした青春SF風長編ってことで,京都→奈良→大阪の系譜に連なる作品と考えられる。ストーリー立てはシンプルというか,ミステリ要素ありつつも「どんでんがえしくるな(どんなんかはわからんけど)」→「おお,やはり来た(そうくるか)」程度には,大きくは外れてはいない。ジェットコースターに乗ってあちこちぐるんぐるんした後,ちゃんと安心してゴールに着地できるエンタテイメント。
おもしろかった。そして,ラストシーンがすごくいい。
風呂敷のたたみ方(謎解き)の細かい部分には「それはアリなのか?」と読後に気になる部分もあるし,脇の脇ぐらいのキャラをもうちょっと動かして今より長い作品にしても面白かったんじゃないかなと思うけれど……少年漫画的なんだな,きっと。いくらでも連載を続けられる要素(謎や味方キャラや敵キャラ)を端々に登場させつつ,適当なところで話をまとめてしまってるような錯覚或いは残念さがある。
でも畳まれ切ってない風呂敷,さもなくば風呂敷の端からはみ出している部分には,これに限らず文芸作品や漫画では頻繁に出くわす。わたしはもやもやすることも多いのだけれど,そういうアソビがあることによって読後も物語世界の存在感・実在感を持ち続けていられるしかけにもなっているように思う。綺麗に角を取って風呂敷をきっちり畳んでできっちり封をしてしまったら,その世界がおしまいになってしまう。この人達は今もどこかで生活している,と思うために「あの人は結局どうなったの?」「ほかに黒幕がいそう」といった小さな謎は大事だったり。
また話が逸れた。万城目さんの作品は,いつも,ちょっと奇っ怪な人物達が描かれる。登場当初は好きになれそうにないヘンナヒトとしか映らないのに,読み終わる頃にはなぜだかすっかり魅了されてしまっている。人物の奇怪さも,ざっくり区分すれば過去3作と同種の傾向は窺えるので,よくよく見てみれば不思議な魅力の秘密も見つけられるかもしれない。だれか万城目作品に登場する人物について考察してくれないかしら。