名古屋行ってた
旅行です。友人と。観光で。宿泊ありで。先の土日に一泊二日。
めちゃめちゃ久しぶりじゃないか。
誘ってくださってありがとうございます。例によって,何一つシゴトをしないばかりか,むしろ足をひっぱ(げふん であることをわかっていて最初からあきらめて(?)いる面々とだったのでほんとうにありがたいです。
これだけ情報と流通がスムーズになると日本中どこへ行っても同じような生活文化になっていて,それはそれで出張やら試合観戦目的やらの旅行のときには便利ではあるのだけれども,旅情に欠けるのもまた事実。
しかし,一見どこでも同じに見えても,細部を見れば,文化的差違は認められる。大阪の串カツ屋然り粉物屋の多さ然り。札幌の二重窓と二重玄関然り。
食文化に於いて陸続きの異文化を堪能できる大都会,それが名古屋。
平たくいうと,名古屋飯食べ尽くし目的のツアーでした。一泊二日じゃ食べ尽くせないので厳選されたよ。
食べたもの
あんかけスパ@チャオ:名古屋駅の複雑怪奇な地下街を通り抜けて,たぶん何かのビルの下。
噂には聞いていたあんかけスパ。見た目は淡目のトマト色。コンソメスープよりは濃い。トマトスープよりは淡い。
具はいろいろ,だけど,旧き良きナポリタンの具とか旧き良きピザの具とか,つまり日本にイタリア料理が入ってくる前の,いったんアメリカを経由したようなパスタピザ時代の具のイメージ。薄切り玉葱とかソーセージとかマッシュルームとか。わたしは夏メニューのゴーヤのスパイシーなんちゃらを食べた。
麺はスパゲティーニ隆盛の現代に於いてやや太め。懐かしの給食の「ソフト麺」ぐらいの太さで,もう少し黄色くて,歯ごたえはしっかりしている。というか。食感が,マ・マーでもなければディ・チェコでもない。いちばん感覚として近いのは,焼きそばに使う中華麺。
サイズがSRLとあって,SはスナックのS,だそうだけど200g。乾麺でじゃないよ。だけど,けっこうなボリュームだった。
餡の組成をひたすら考えながら食べていたのだけれども,具がスパイシーだったこともあって,結局わからなかった。トマトは入ってる。醤油っぽさもある。透明でとろみがある。謎。天一のスープやカンパリと良い勝負の謎具合。
おいしかった。ユニークな味と食感で,これははまる。
手羽先その他@風来坊:名駅から,宿と反対側(ものすごいてきとーな説明)。
店舗はたくさんあるとのことなので。手羽餃子,手羽先(4人で8人前),その他サラダや稚鮎の天麩羅や,締めに味噌きしめんもも頼んだけれど,基本的に手羽先。
手羽先のおいしい食べ方のボードをまじまじと見つつ,結局は適当に。ちょっとしょっぱめのしっかり目の味付けで,ビールに合いそうだった。ビール飲まなかったんで想像です。
有名なチェーン店はほかにもあるけれど,ここのが好き,と飲み助の同行者は口を揃えて言っていた。
わたし個人的に鶏はそんなに目の色変えるほどの好物ではないんだけど,たしかにおいしかった。幾らでも食べられるサイズなのが困ったことである。
桜通口側のホテルに投宿していたので,近くのコメダでモーニング。コメダのモーニングは,ドリンク代でトーストとゆで卵がついてくるというものなので,名古屋の中では「ふつう」らしい。そうね,ごはんと味噌汁じゃないものね。
トーストは4枚切りふかふかが縦半分。マーガリンor苺ジャム。ゆで卵と塩。たっぷりコーヒー。日曜の早朝だというのに,地元の人で賑わっている。喫茶店文化っておもしろいよねえ。バールみたいだな,とちょと思った。バールは長居しないんだけど,なんだろ,地元民の集い,みたいなところが。
調子に乗って小倉トーストも頼んだので胃が大変なことに。小倉トースト初体験だったけれども,想像から全く外れない味だった。むしろ他の土地で普及しないのが不思議なぐらい。
わし? わしあんこそんなに好物じゃないので(嫌いじゃないし苦手でもないよ)。
マーガリンか苺ジャムか,と言う店員さんを遮って,あんこ塗ってくださいって頼めたら胃袋にはやさしかったのかしら。小倉トーストは4枚切りがさらに半分の厚みにされて,間にあんこがはさまっていました。シベリアか?(生地が全然違う)。
ひつまぶし:蓬莱軒
あつた蓬莱軒! ブランド!
今回の食べ物のなかでひつまぶしだけは経験あり,だった。去年CS観に名古屋行った時にも高島屋の上だったか名鉄の駅上だったかで食べた。
ひつまぶしおいしいよねえ。
蓬莱軒のそれは,木の蓋付きのどんぶりに入って出てきた。ごはん一合ぐらいある。上に乗ってるうなぎは炭火焼きで香ばしくて,ぱりっとしつつもほわほわで,脂っぽくなくて,おだしをかけてもへなっとならない。どんぶりが木だから,ごはんも良い具合に蒸らされつつ,ゆっくりたべてもべしゃべしゃにならない。
わさびと海苔と葱かけて食べるとなんであんなにうまいんだろうね。
3100円だったかな。よいお値段だけど,これはその価値あるわー。
調子にのってきもわさまで頼んでしまいましたが。白焼きも食べたかったけど,入りまへん。
観たもの
名鉄で30分ぐらい,犬山まで。そこからさらにバス。けっこう遠かった。明治時代の建築物を移築していて,山を分け入った先に広大な敷地が広がっている。配置そのものにはさしたる脈絡がないのが,博物館だから当然ではあるのだけれども,一見テーマパークのような環境なだけに不思議。
広すぎて建物の数も多すぎて,駆け足でめぼしいものをちょっとずつしか観られなかったけれど,ああ明治だなあと。
旧三高には明治時代の名残がたくさんあったので,建物によっては,懐かしいけれど珍しくはないという不思議な感覚。あの時代のある種の建築物は基本的なデザインが似ている。金沢で椎の木記念館(あそこも旧県庁だったかしら)を観たときも,強く感じた。
一方で帝国ホテル正面玄関は,パンキッシュだった。どうしてあんな細かい彫刻にしようと思ったんだろう。同じ明治でも帝国ホテルのそれと三重県庁とかのそれとじゃ趣は違うのはたしか。
興味深かったのは監獄。駆け足すぎて後ろ髪だったのが新橋にあった鉄道工場(?)で,中に産業の近代化を象徴するような機械がずらっと展示してあるの。活版印刷機,紡績機,工作機械。
いずれ再訪する機会があればゆっくり観たい。が,同じく犬山にあるリトルワールドにも行ってみたい。
何千年前からあるのかわかんない熱田神宮。広かった。杜だった。お社のぶあつい屋根のかたちが,ふるーい神社っぽい。取り囲む杜の木々が,もちろん手が入ってはいるのだろうけれども,温帯の混交林(よくわかってない)っぽくて,なんともはや。
有無を言わせない,よくわからないなにかの説得力に溢れた佇まい。本殿に参拝していたとき,この先の杜の中に,人智をこえたなにかとへの窓口がありそうに思えてくる。ふしぎふしぎ。
日曜日の午前。子どものお宮参りが多かった。結婚式も何組か。眼福。
宝物館の特別展が刀剣フェア(違)。知識も何もないけれど,大量の刀や太刀や小刀や脇差や剣をいっぺんに観ていると,なんとなく好みのようなものが出てきたり。数振展示されていた長船の名刀,初めて見たかもしれない。熱田神宮で。
「ノリタケって愛知だったんですね」というのが第一声。二言目は「名字じゃなかったんだ」。ごめんなさい知りませんでした。地名なんですね。
則武に工場があるからノリタケ。移転しちゃうそうですが,跡地にノリタケの森という施設があり,古い赤煉瓦の建物も広々とした芝生も素敵。もちろんショップもあり,ノリタケ以外の食器も扱っていた。
こちらも駆け足だったので,製造工程の展示(実際に職人さんが作業をしている横を観られる。ほんものの製品製造ラインというよりは展示用のラインっぽい雰囲気だけど,それでも大きなラインで設備もがっつり)と,オールドノリタケの展示を目を皿のようにして観てきた。
「洋食」や「洋食器」は日本のものだよなあ。洋食器に関しては本当に西洋のものもあるけれど,現在の西ヨーロッパとはまた違う「洋食器」としか言いようのない一ジャンル。美術品・芸術品ではない,大量生産の普及品(といっても庶民には憧れの雲の上かもしれん)だからこそ見えてくる近代の日本の歴史,といった展示の仕方が趣深かった。