花火大会
ほんの数日前に,今日(18日)二子玉川で花火大会があると知った。
この2〜3年,花火大会というものに行っていない。人が多いのが苦手だし,東京の花火大会には帰路に難儀した記憶も多い。
二子玉川の花火大会は,世田谷区の「たまがわ花火大会」と川崎市の「多摩川花火大会」とが東急田園都市線が多摩川を渡る橋を挟んでそれぞれ上流側と下流側とで同時に開催されている。それをざっくりまとめた「にこたまのはなびたいかい」は俗称らしい。
二子玉川駅も対岸の二子新地駅もかなり混むと聞いたし,ネットで調べたところ50〜60万人の人出とか。それなら当初予定通り神宮球場でのんびり五回裏にあがる花火を見たほうが良いのではないかとかなり迷ったが,いろいろ調べてみてなんとか目処も立ったので行くことにした。
たまたまかなまるが来ていたので。付き合って十数年になるが,ふたりだけで花火大会を見に行ったことはない。旅行で松島に行ったときに偶然花火大会の開催日だったから観覧したことはあったが,花火を見に出かけるのはおそらく初めてだった。
うちからだと,バスを乗り継いで二子玉川に行くか,電車を乗り継いで二子新地に行くかのどちらか。帰りの道路混雑を考えて二子新地にかけてみる。人が多いなか電車に乗って長距離歩くのだから洋服の予定でいたが,夫しか見ない気安さに押されて,浴衣を着て出かけた。浴衣を引っ張り出すのも一昨年の楽会以来。買った池袋東武の呉服売り場はいつの間にか大幅に縮小されていた。もう5年ぐらい経つのだろうか。
19時からの打ち上げで,二子新地駅に着いたのが18時ちょい過ぎ。もう電車も駅もそれなりの混雑だった。多摩川沿いの土手を下流に向かってたらたら歩き,河川敷に入れるところから河川敷に入る。ちょうど川崎側の花火大会の,想定している観覧エリアの端っこぐらい。両方見られる良い位置で人は多かったが,二人だけなので隙間を見つけて小さなレジャーシートを広げた。
家を出てから時折ぽつぽつと雨が降っていたので天気だけが心配だったのだが,有り難いことに着いてからは降らなかった。明るいうちにと焼きそばと飲み物を調達し,隣の年配夫婦とぽつぽつ話をしながら日暮れを待つ。18時半からステージでの出し物(メイン会場は離れていて全く様子は分からないが近くにスピーカが設置されていて音だけは聞こえる)と偉い人の挨拶があり,カウントダウンの後19時。
ほんとうに二箇所同時にあがった。左手に世田谷右手に川崎。隅田川の花火大会も二箇所から打ち上げがあるけれど,ちょうどそんな感じ。ただしこっちはお互い別個の花火大会なので相手のことなんか気にしていない,というか,むしろ張り合っている感さえもあった。近すぎて同一の視界には入らないので,右を向いたり左を向いたり。首が疲れる。
ちょっとくすんだ淡いピンクとか,やはり青い水色に近い青とか。数年見ないうちに,花火も進化している。スマイリー風の顔は以前からあったが,どら○もん風のは初めて見た。それから,☆。黄色いのと青いのと。わたしが無駄に過剰に反応したのは言うまでもない。
あっという間の1時間,最後は音楽にのせてコンピュータ制御(がどのぐらいすごいのかわかんないんだけども)で,色・かたち・高さ・光りかたとりどりのたくさんの花火が,絶え間なく,惜しみなく,夜空を彩る。オーラスのBGMがゆずの「虹」で,近所迷惑この上ない音痴で口ずさみながら,橙色の大きな花火にちょっと涙ぐんだ。後ろにいた若いカップルは終始ぺったりくっついて言葉少な,隣にいた別の若いカップルは女の子のほうがきゃっきゃ言いながら写真を撮っていた。当方せっかくのデートというのに二人の間を荷物置き場にする色気のなさではあったが,それでも河川敷に集っている数十万人のリア充の群れの一部であることには違いない。
ラストまで見て,人の群れの中さらに南まで下る。最初からそのつもりだったので,電車二駅ぶん,溝の口まで歩いた。2kmぐらいかなあ。最初迂回させられたからもう少しあるかも。ちんたらのんびり歩いて1時間。溝の口の丸井でゆっくりごはんを食べ,ピークは過ぎている南武線に乗って家に帰って,汗だーだーの浴衣を脱ぎ捨ててお風呂に入って今ココ,である。
覚悟していたのより遙かに快適で拍子抜けするほどだった。時間帯もちょうど良かったし天気ももってくれた。打ち上げ花火だけなら目にする機会は多いけれど,夏の花火大会で見る花火は格別だ。広い川の河川敷で,のびのびした気分になれるのもいい。今までよく音だけ聞いていたのだけれど,来年以降も都合が良ければ行ってもいいかなあと思った。