天皇杯・皇后杯ファイナルラウンド・3日目(準々決勝)・東京会場
2試合で第1試合が12時開始。朝8時台に目が覚めたので,のんびり昨日のエントリの続き(補完?)を書いた。今日行くのが面倒な気持ちと,予定している以上は行かなければならぬ気持ちのせめぎ合い。すでに第1試合の開始には間に合わない。意を決して起き上がり,仕度をほぼととのえたところで,携帯電話もバッテリチャージャーもどちらも充電していないことに気づく。
今回は移動をスマホのマップアプリに頼っていたので,全く使えない状況は辛すぎた。外で乾電池式のを買ってもよかったのかもしれないが,とりあえず30%ぐらい充電してから向かう。そのくせ大切に使わなかったので途中でシャットダウンしてしまい,帰りは駒沢で流浪の民になりかけた。
バスの旅は楽しい。電車の方が少し安くて時間も正確だけれど,バスで移動すると地に足が着いた感じがする。通り過ぎていく街の地続きに自分も暮らしていて,ほかにも大勢の人が生活していることが実感できる。電車は点と点を高速で結ぶ。駅はホームとせいぜい駅前の少しの様子しか見えない。ともすれば,自分と駅といつもの生活拠点と知り合いのみが世の中にある全てになる。
[D1]東レアローズ3ー0JTサンダーズ
試合開始から1時間を少し過ぎたころに着いたら第3セット,東レが大差をつけて20点台に乗せていた。ブレイザーズのブースで割り引きでチケットを買えたから,まあよろしい。それにしてもJTが頼りない。
東レは,前日の布陣から,相澤→篠田,渡辺→田辺。JTは大上→酒井,深津→菅。道中,第3セットもいいかげん点差をつけられたところでイゴール→神田への交代の報を目にしていた。JTは相手マッチポイントからその神田のサーブで3点ほど粘り,第3セット20点台にのせたが最後はデキのライトからのクロススパイクが突き刺さり,試合終了。
前週のVリーグ(三島)で逆のストレートゲームがあったことがにわかには信じられない。いや,試合は先週も今日も見ていないけれど。これがリーグじゃなくて良かったと思うぐらいには1敗1敗が堪える今季。
その後,試合間に長々と小澤・梅野・コテツさん(最初相澤も入っていたが途中離脱)のちびっ子3人衆がきゃわわトークを繰り広げていて,なんという俺得と思いながらスタンドから凝視していた。そのときは,コテツさんと小澤さんの間に直接の繋がりを見いだせなかったのだけれど,よく考えてみれば(考えなくても),コテツさんはJTだった。もうすっかり,日体大の監督,でイメージが固定されている。
[D2]FC東京2-3堺ブレイザーズ(25-19 25-22 18-25 20-25 10-15)
東京会場3日間で唯一のフルセットゲームとなった。FC東京2セット先取,からの堺ブレイザーズの逆転劇。
→東京:28前田 24西尾 30手塚 18山本 10山岡 11ミロ L2三上
堺:10千々木(3sー11伊藤) 1松本 6ペピチ 3石島 12横田 19今村(3s-15木場田) L2井上
ほっとくと長くなるので箇条書き
・スタメン千々木。1年目にして本当にスタメンなんだなあと。もうすっかり黄色の子だ。堺が彼を育てようとしているのがびしびし伝わってくる。サーブの強い東京にあれだけ狙われて実戦で,がんばれ若人である。第1セット8-10から前田のサーブにぶっとばされた後,二本目も狙われたところでイノスがすっげー前に出て被るようにして受けたのがおかしかった。助走コース塞いでるし。
・そんな場面はありつつも,レシーブ自体はそこそここなしていた。それよりもスパイクがなかなか決まらなかったのがブレーキだった。ことごとくディガーの正面。彼を使って切れないから他(=ペッパー)に寄っちゃう。こりゃ今日は厳しいなあと思っていた。ここで例えば北島なんかを入れてみたら目先のことは解決するのだろうけれど,そこで安易に代えないところが今季の堺のテーマだろうし,そうやって使っているのを好ましくも思った。がんばれ若人。
・第3セットから伊藤。千々木が純朴そうな笑顔で新人らしさを溢れさせているのに対して,同期とは思えない伊藤の貫禄。力強いブロックアウトなどが印象的だった。それにしても,石島・伊藤の対角って濃い……
・千々木・伊藤の交代起用,今季は多いようだ。昨日も先発千々木で第3セットに伊藤inだった。ある程度予定しての起用かな,という印象。この2人の同ポジションでの交代は,去年のアジア太平洋カップで見たのが個人的には最初。そのときは土曜と日曜それぞれで前後が逆で,土曜が伊藤デーなら日曜は千々木デーだった。今日は伊藤デーだったか。この2人,えらく仲良しで,そして2人して横田に懐いている。同期で仲良しでそしてライバル。2人で切磋琢磨して伸びて行ってほしいと1年前に願ったことが,今のところは実現しているように見える。これからがますます楽しみだ。1人で戦うよりもより高く。願わくば。
・もう一つ,交代が奏功したのが今村→木場田。プレミアスゲエ,と唸ったのがこの辺だった。人数はいてもスタメン固定されていてスタメンが崩れたら止めようがないという事態はよく見かける。それはそれで一つの形だけれど,きちんと交代して交代した選手が立て直してチームが勝つ。堺は少数にして精鋭。みんながぱんだちゃんの丸刈りをぐりぐりしていた。
・松本はすでにベテランの域か。具体的にどのプレーやどの部分とは言えないのだけれど,なんかよくわかんないけど,「上手いなあ」と唸ることが多かった。第5セット6点目のミロの時間差につられずに1枚で止めた辺りとか。9点目の手塚を止めたあたりとか。12点目のネット際の押し込みとか。
・東京。三上がリベロ。前田後衛のときのリベロとの交代が複雑。太作のところにリベロが入り,前田がレセプションに参加しているローテーションがあった。
・前田もすでにベテランの域か(え)。噂に聞く「ふわっとズドン」はたしかにいい。そしてサーブもいい。レセプションも入る。試合後半になるにつれ,前田の打数が減っていったのがもったいなかった。
・いけめんたんとう手塚。なんだかんだ言って,豪快で見ていて気持ちいい。手塚とミロの超攻撃的対角,三上大変やろなーと思ったけれど,そんでも,がんがん行くところが楽しい。
・東京のサーブは穴がない。山本雄史のフローターでもずいぶんブレイクしていた。気が抜けるところがないのはすごいと思う。見ていて疲れる。ほんとに……。
・第3セットは,2セットダウンの堺が早い段階で仕掛ける。ペッパーの3連続サービスエースなども飛び出し,セット序盤から猛チャージ。東京3-12堺で東京はミロ→17橋場。8-16のテクニカルタイムアウト明けには山岡→16高橋。9-19で手塚→13土屋。立て続けに交代はしたが,堺の勢いは止まらない。10点に載るか懸けようぜとか15点に載るか懸けようぜ,などと失礼なことを言っていたが,最後ミロのサーブ(?)で追い上げて,堺はいくらか冷や汗をかく展開。
・第4セット,東京はメンバーを戻してのS1スタート。堺は第3セットと同じメンバーで,ローテーションを半分回してペッパーのサーブで始まるS4スタート。前のセットでペッパーのサーブが炸裂して,それだけでセットを奪ったといっても過言ではない状況だっただけに,ペッパーのサーブの回数を増やす意図だったと思われる。狙い通り,ブレの2連続ブレイクで試合は始まった。
・東京も食らいつくが堺が突き放す。11-15で東京1度目のタイムアウト。16-19から東京3連続得点で追いつく。ミロのサーブで崩し,西尾や手塚がトランジションアタックで仕留める。しかし20-21から石島のサーブのところで堺が全部ラリーを取って,そのまま25点目までつっきった。
・フルセットとなって第5セット。東京サーブから。堺はペッパーが最初のサーバになるS5スタート。1点目こそ前田が石島をブロックして東京のブレイクで始まったが,やはりペッパーのサーブが脅威。サーブポイントを含む3連続サーブでさっそく逆転。
・一つ一つのラリーが濃くて楽しい。スパイクがびしばし飛び交い,ブロックワンチにディガーが走り,セカンドタッチはトスになり,またびしばしスパイクをかえす。フェイントやプッシュにも飛び込んで上げる。ぷれみあ楽しいといういささか方向の違う興奮をしていた。
・第5セットはブレイク率の高いセットで,東京も簡単にはボールを落とさなかったけれど,堺のほうに何かがついていた。第1セットはどうなることかと思ったけれど,大逆転で,最後はペッパーがライトからクロスでたたき込んで試合終了。
以上。すごくおもしろかった。堺応援席側のスタンドに座っていた。堺の巻き返しにあわせてスタンドが盛り上がる。なおきさん不在で音頭を取る人はいなくても,堺の団席は熱心だ。選手も応えて盛り上がり,ますますノって動きが良くなる。対岸では東京サポが声を張り上げる。東京も熱い。
最終的に堺が勝ったから,盛り上がる周囲にのせられてよけいに面白く感じたのだとは思うが,それにしても楽しかった。観に来て良かったと思った。1年の半分近い週末を体育館で過ごしていると,たまに自分が何をしているのかわからなくなる。楽しい観戦もあればそうでないときもある。お金を払えば払っただけの楽しい観戦が約束されているわけではないのがスポーツ観戦のイケズなところであり,だからこそ,楽しい観戦ができたときの喜びは一入である。
プレミアならいつでもレベルが高くて白熱した好ゲームが見られるわけではないことは知っている。が,今日は,心の底から,プレミアの試合はプレーのレベルが高くて見応えがあると思った。わたしはフィールドをほとんど大学にうつしてしまった感がある。冬も,首都圏の開催試合数の関係で,プレミアよりチャレンジの観戦数が多くなるシーズンのほうが多い。大学リーグのタイトでストイックな感じも,チャレンジの本当にバレー馬鹿の集まりと思える喜びに溢れた感じも,それぞれに大好きだ。そのうえで,プレミアは何を魅せるか。エンタテイメントとしてのクオリティ。プレーとオフプレーそれぞれのパフォーマンス。
スタンドの上段や斜めになっているあたりには,ひっそりと座って見ている男性客がけっこういる。1人で来ている人もいるし連れだって来ている人もいる。高校生ぐらいの若い子もいる。チケット代も馬鹿にならないのに観に来ている。いろんな人がそれぞれの楽しみ方で,コートに目を向けている空間。当たり前なんだけど,忘れそうになるので。自戒。
女子(皇后杯)の結果だけ
[C1]東レアローズ3-1NECレッドロケッツ
男子D1がストレートで終わったころに,Cコートは第4セットに入った。第1セットはNECが取っていたが,第2セットのNECの得点は11点。第4セットも終始東レがリード。13点ぐらいで終わったのかな。NECどうしちゃったの,というよりは,むしろ第1セットの東レに何があったのか問いたいレベル。
いずれにしても,東レは男女揃って準決勝進出,宮崎は都城での最終週に進むことになった。
[C2]デンソーエアリービーズ0-3パイオニアレッドウィングス
昔は今に比べれば女子選手も多少は知っていたが,今はもうさっぱりだ。ここ数年はシーズン中の土日に家にいることが少ないので,テレビで女子の試合を観る機会が減った。男女共催もしなくなった。
パイオニアがリーグでなかなか勝てないという話をTLでなんとなく目にしていたし,デンソーはそこそこ強いという(裏打ちする情報はない)思い込みがあるので,この結果には少し驚いた。
せっかく同じ体育館でやっているのだから,と思うのだが,男子の試合が途切れているときにぼーっと得点経過を追うのがせいぜいであった。男子のゲームを見て楽しむ楽しみ方と女子のそれとは違う部分が大きいと感じている。重なる部分ももちろんあるが。全くわからないチーム同士の試合を観るときにどこをどうやって楽しめばいいのかがわからなくなっている。もったいないことである。