東日本インカレ4日目(最終日)・3位決定戦,決勝戦


日体大健志台キャンパス


楽しい試合をありがとう。と。運営の学連スタッフの人達と,出場したチームの人達とに。わたしのためにしていることではなくても,そのことでわたしが楽しい3日間を過ごせたことには謝意を表したくなる。そういうものなのね。


最終日は特設コート。サイドライン主審側に4列のパイプ椅子が並べられた。一昨年2011年の東日本インカレも同じ会場で最終日に特設コートで試合が行われたのだが,そのときにアリーナに客席を設けていたかどうか,記憶にない。


一般2000円,アリーナ席は500円増。ふだん1000円ぽっきりで(それも関東1部男子価格であって,他学連やら2部やら女子やらは異なる)同じ会場で同じ対戦カードで見ているのは事実だけれど,東カレ最終日は特設1コートでアナウンスも入る。試合前にベンチ入り選手・スタッフ紹介が入ってスタメン発表があって,選手交代もアナウンスされて,なんと,テクニカルタイムアウトまである。豪華。パンフレットがなくてもなんとかなる。


ふだんはエンドライン側から見るのが好きなのだけれど,大学バレーに関してはエンドラインからしか見られないのが常でサイドライン側から見られる機会は貴重なので,今日はサイドライン側,それも,アリーナ席に降りてみた。


近い。コートエリアと客席エリアを隔てる腰高のボードもない。完全素通し。


何よりアリーナのパイプ椅子は,椅子にクッションがあって背もたれがある。年寄り臭いことを書いている自覚はあります。でも,日体大の木製ベンチシートは長く座るにはほんとうに辛いの。


アリーナのサイドライン側の席はポールで死角ができるし,サイドラインも見づらい。ゲームを見るのに適した環境とは言えないけれど,アリーナはアリーナで独特の雰囲気を楽しめる。あと,ネット際のわちゃわちゃも。


例によって得点はあとでほかん。

男子3位決定戦:早稲田大3-0順天堂大


順天堂大にはヤバイ順大とヤバイ順大があって,今日はヤバイ順大の方だった,とは,一緒に観ていた方の説。


一方的な試合だったとしか。早稲田はぶいぶい言っていて楽しかった。専田の神出鬼没ぶりも堪能。深めの位置でレシーブしたと思えばもう全力助走してスパイクを打っている。レセプションアタックなら,それもまた一つのパターンだろうけれど,ディグやブロックワンタッチを処理した難しいボールでも,完全に体勢を崩されない限り走る。


それと,早稲田はサイドアタッカー陣が楽しいチームだと思っていたけれど,ブロックもなかなか。前日の明治戦でも思ったのだけれど,キルブロックの本数こそそれほど多くないが,ワンタッチのしつこさやワンタッチからディグ(って言っていいのかなあ。ワンタッチで勢いを殺したあと後衛で拾う)でボールを繋げるのがうまくて,攻撃しても攻撃しても決まらなくて心が折れそうになる。状況によっては出会い頭のどシャットよりもよほどえぐられそう。


いずれにしても,ブロックの高い順大に対して早稲田がブロックで負けていなかった。専田が伏見を1枚で止めたときにはきゃあきゃあ言った。


順大はボールが繋がらなかった。ばらばらした印象。セット毎にスターターが微妙に違っていて難しい。

女子3位決定戦:東海大3-0筑波大


1度駅の方に戻ってお昼を食べている間に終わってしまった。こちらもストレート。

女子決勝戦青山学院大0-3東女体


楽しかった。第1セットの中盤,東女体はかなりのビハインドだった。いつのまにか追いついて逆転した。


女子は,ユニバーシアードの合宿が既に始まっており,両チーム,ユニバ参加者は離脱(不出場)とのこと。その中でポジションを与えられた選手ががんばっているのならそれも良いこと。


女子のチームは男子と違って,こちらに下知識がない。名前も来歴もチームの相対的な位置もわからない。


ぼーっと見ているだけだったけれど,第1セットをひっくり返しそうになったあたりからは,東女体楽しいきゃあきゃあになっていた。

男子決勝戦日本体育大学2-3明治大学


→明治:1大塚 3鎌田 2新 10杉本 5佐藤 6飯塚 L22瀧野/14中村


日体大:23橋本 9田井中 20山田 31峯村 19小宮 16田尻 L12大町/34山本


明治優勝おめでとうございます。くわしくは明日以降。


(ここから「明日」)さて,何から書こう。一晩経つと記憶も言葉も体から抜けていく。


明治大と日体大それぞれの今大会については項を改めるとして*1,とりあえず決勝戦のことを手短に。


明治大塚のサーブで試合が始まり,日体山田のレセプションアタックで日体大が先制した第1セットの立ち上がり。ほどなくしてしばし日体の時間となった。明治のレセプションアタックが1度で決まらず,ラリーを日体大が制す。日体が少しずつブレイクポイントを重ねて,気づけば12-6となっていた。


ところが,ここから明治が5連続得点。明治鎌田がサーブを打つローテーション(日体S5)。鎌田サーブ峯村レシーブ,のあと,基本的に恐ろしく決定率が高い小宮のスパイクがなぜか決まらない。返す刀で杉本が仕留める。この連続。


第1セットのまだ序盤とも言えるこの場面で12ー11まで追いついたことを,かなりあとまで引きずった。双方。その後も第4セットあたりまで,鎌田のサーブをほとんど1度では終わらせなかった。


仕切り直しの点差になってからは明治が先に20点に乗せ2点差をつけていたが,最後は日体が再びひっくり返して第1セットを取った。25点目は小宮の速攻。


今大会のスパイク賞を取った小宮の決定率は凄まじく高く,見ている分には彼が打てばほぼ決まっているような感覚だった。MBのレセプションアタック1本でさくっとサイドアウトを取れるのは強い。


一方の明治は,飯塚の決定率がなかなか厳しい状況ながら,その分杉本がえらく輝いていた。この1試合で,わたしはこの2年分の総数の何倍もの「杉本巧い」を言った。ついでに「二人揃って調子が良ければ……」とも思ったが,それはおいといて。立ち上がりのビハインドを一旦は追いつき追いこしたことで,いい雰囲気にはなったような気がする。6点差付けられてもひっくり返せる。


第2セットは,明治がその良い雰囲気を維持しての立ち上がり。序盤の鎌田のサーブのところ(日体S5)で再びの5連続得点。圧巻だったのは山田のスパイクを佐藤が2度連続キルブロックで仕留めた場面。


そのあとも明治がじわじわ引き離す。7-13で日体大が峯村に代えて主将の渡辺大地を入れるも明治の勢い止まらず。あんなに明治にキルブロックが出たことがあるかしらんというぐらいブロック得点が多かった。そのうち,ブロックを厭がってのスパイクアウトも増えてくる。


飯塚もぼちぼち調子を上げてきて,バックライトから美しいスパイクが決まるようになってきた。


明治の25点目が鎌田の速攻だったのは。新くん,ぜったい田尻に対抗心燃やしてるでしょう。15-25と明治の圧勝。


第3セット,日体大はスタメンを大きく変えてきた。28浜館,9田井中,20山田,1渡辺,19小宮,2中村。レフト対角総取っ替え,セッターも中村に。


そんでどうにかなったかというと,ぱっと見すぐには効果は出なかった。例の如く佐藤が脩造をシャットしたかと思えば大塚が浜館を1枚で止める。だからそんなにキルブロックが出る明治って。となりで見ていた方からは「日体大のスパイクの通過点が低い」と。


一方の明治は,レセプションアタックでサイドアウトを取れるラリーも増えてきた。14-19から17-19まで追い上げられたときにタイムは取ったが,杉本のレフトスパイクを多用してサイドアウトをさくさく取って,18-20からはサーブに下がった新のオンステージ。サーブで崩して日体をばたつかせて良い感じで点を取って,このセットも19-25で明治が取った。


それでさー。第4セット25-14って,誰が想像するよ。


第4セットの日体大は,1・2セット目と同じスタメンに戻す。スタートローテーションも第2セットと同じ,橋本のサーブから。明治も第2セットと同じ,S4のレセプションスタート。


明治は,サーブのときはS3,レセプションのときはS4。常にポジション5の大塚のサーブから始まる。セッター前衛スタートだけど,新くん前衛の方が強いから問題ない(え。


明治は去年1年間ずっとS1orS2(P2杉本が最初にサーブを打つ)スタートでライトに入る大塚が守備の要というごくごくオーソドックスなオーダーでやっていた。レフトの対角に飯塚が入った今年の春のことはよく覚えていないけれど,と,春のリーグの記録を繰っていたところ,オーダーは固定されていたものの,スターティングローテーションはまちまちだった。いろいろやってたのね。


いずれにせよ,東日本インカレのこのセッター前衛スタートというちょいとレアなオーダーは面白い。それにOP大塚とOP飯塚じゃぜんぜん意味が違う。他大学と違って,教育実習抜けなどがなく春と同じメンバー(怪我してた鎌田も戻ってフルメンバー)で臨めた明治は,明治なりにこの大会で新しい試みを行っていたのだなと。


話が逸れた。第2セットと同じオーダーでのスタートだったにもかかわらず,第4セットは25-14で日体大が取った。橋本のサーブポイントから始まったこのセット。2点目3点目も鎌田のスパイクアウト日体大に入ると,3-0で早くも明治がタイムアウトを取った。


明治が優勝を意識しちゃったのか突如ぐだった。せっかくの早めのタイムアウトも奏功せず,7-2,11-3と点差は開く一方。11-3で明治は2度目のチャージドタイムアウト。この時点で,明治の自力得点は1点だけだった。


あかん。飯塚があかん,大塚が決まらん,杉本が拾われる。らしくなくレセプションが乱れ,新は走り回り,センターは二人揃って空気と化す。ドリブルやらポジショナルフォルトやらといったエラーも出る。つきもなかった。


一方,第3セットを1セット丸々休んで外から試合を見ていた田尻は,何を見ていたかね。このセットの田尻ののりっぷりはすごかった。ツーアタックとかサーブとか。そして,力あるエース様が力強くコートにアタックを突き刺す日体大が戻ってきた。


それでも,20-6という白目を剥くような点差から24-14まで詰めたセット終盤の明治。日体大との相性の良さの為せる技だろうか。セットを取るのは難しくても,まだ,ぜんぜん,試合は諦めていなかった。


23-11からの明治の12点目。序盤にスパイクアウトや被ブロックが続いたあとは全くトスが上がっていなかった飯塚にバックライトからのスパイクを打たせた。たしかノーマークノーブロックだった。そりゃそうだ。その前(日体23点目)は山田のサーブでレセプションが乱れて小宮にダイレクトでたたき込まれていた。こんどはきっちり新に返って,そこからの飯塚。


なんでもない,落とすのがほぼ確実になっているセットの,最後の方のサイドアウトの1点でしかないんだけど,そのバックアタックがきれいで,明治も飯塚も,まだ終わってないと思ったんだよ。目の前で跳んだからそう思うだけなんだろうけど。


もう一つ。明治14点目。山田のスパイクを佐藤がキルブロックしてのブレイクポイント。このセットすっかり鳴りを潜めていたブロックが,ここで出た。


そして,勝負の第5セット。たった15点。それまでの結果はリセットされて,わりと序盤の勢い勝負になることも多い。サーブ権は日体大が取った。橋本のサーブで始まる。


先にブレイクしたのは明治。峯村のアタックを拾って(新が打って決まらず)杉本が決めて2点目。サイドアウトが続き日体大は点差を詰められない。3-5でそのラリーブレイクチャンスを逃した日体大が先にタイムを取った。


しかけた,のかな。次。杉本のサーブを小宮。が,決まらなかった。トランジションの杉本のバックアタックで明治が2度目のブレイク。次は橋本のスパイクを杉本がディグして,飯塚へ。1度で決まらず二度目の正直で得点し,3-7。日体大田尻→中村。こんどこそ小宮の速攻が決まって4-7。


日体大も1度ブレイクをして6-8となったところで田尻を戻す。サイドアウト続いて7-9。橋本のスパイクがネットにかかり,7-10。明治が先に10点に乗せた。


まだわからない。しかし,ここでサーブは大塚。山田のスパイクアウト,峯村の被ブロック(たぶん止めたのは新)。7-12。点差が広がる。


8-12から日体大は田井中のリリーフサーバーに渡辺を入れてブレイクに成功し,9-12。大地2本目のサーブは杉本が決めて9-13。じわじわ。


ここで,鎌田のサーブ。そういう順番だからね。


そして,鎌田のサーブは,1度では終わらない。山田を佐藤が止めた場面,今日何度見ただろう。本数気になったからあとで数えた。サイドライン側からだから,正確には止めたのが誰かはわからない。エンドから見てても分からないんだからサイドからで分かるわけがない。ただ,佐藤が前衛にいてセンターブロックに跳んでいるから佐藤って書いてるだけだったりはする。で,山田のシャットアウトが,俺カウントで7本。たぶん1本は杉本なんだけど。あと,綺麗にシャットアウトした以外のも入ってるけど。ガッツポーズした者勝ちでしょう。


それが明治の14点目。次は山田が決めて10-14。サーバー山田。まだ終わっちゃいない。


そんでも,大塚がレシーブを新に返す。最後は,この試合を通してスパイク方面で一人で堪えていた杉本にボールが上がった。


明治大学は東日本インカレ(おそらく)初優勝。東日本インカレだけでなく,大きな大会での優勝が久しぶりだったろう。世代別代表に呼ばれるような有名選手が揃っているわけでもなく,突出したエースがいるわけでもなく,全員でぐだぐだになりながらボールを追って掴んだ優勝。


コートに4年生が5人並ぶ今年の明治。みんなどことなくぽわっとしていて雰囲気が柔らかくて,穏やかな印象を受ける。そして何より実に楽しそう。


春の終わり。長い夏の始まり。あと半年。

成績(男子)


個人賞


  • ベストスコアラー賞:早稲田#3七里幸洋/東女体#20志智真梨奈
  • スパイク賞:日体#19小宮雄一郎/青山学院#1松浦圭
  • ブロック賞:順天堂#12廣瀬優希/青山学院#2伊東千寿留
  • サーブ賞:早稲田#3七里幸洋/東海#14石橋朋美
  • セッター賞:明治#2新貴裕/東女体#27上野結
  • レシーブ賞:日体#34山本智大/青山学院#4古市麻衣
  • リベロ賞:早稲田#2本間隆太/東女体#1榊原美沙都
  • 敢闘選手賞:日体#20山田脩造/青山学院#9望月玲奈
  • MVP:明治#1大塚陸/東女体#20志智真梨奈

*1:つまり書かないままだろう。