明治大学91生


新さんが3位決定戦の試合終了後に涙していて,あんな強気のセッターでも泣くんだな,と感慨深かった。この4年間楽しませてくれた明治の現4年生たちがベスト4に入り,最終日に特設コートで余すところなくその姿を見とどけられたことは個人的にはとてもよいことだった。もちろん勝てればそれに越したことはないし,土日の連敗は見ていて辛く,苦くてしょっぱい最後にはなったが,全国上位レベルの強豪校出身者が揃っているわけではない彼らがインカレで全国で4位(4位止まりという意味ではなく百数十校中の上位4位という意味)に入ったことはすごいと思うし,学生主体でそれを成し遂げた意義も深いと思う。


贔屓の引き倒しです。文句は言わせない。


特に今年の夏以降は幾つかの外的要因もあって,そうとう明治寄りで物事を見ていた。そのくせメーターを振り切ることまではしきれなくて,結局最後の最後まで中途半端に気持ち悪く追っかけ回した。積み重ねた幾つかの小さな(と自分では思っている)無礼を思い出して自己嫌悪に陥り反省もしつつ,そのわりにオーラスでさらに上乗せしてしまってどんよりと落ち込んだインカレ閉幕であった。


そんな不審者のことはさておき,明治の4年生にはいくら感謝しても感謝したりない。彼らがいなければ今年これだけ足繁く体育館に通うことはなかったんじゃないかとさえ思う。去年で気持ちに一区切りついていたので。事実,全体として見れば,去年までの熱の入り方にはやはりならなかった。去年や一昨年と比べると差は歴然としている。


でも彼らは見ていて楽しかったから見ていたいと思った。もちろん明治だけが理由ではないけれど,動機の大きな部分は占めていた。そうして足を運んでいるうちに,今年の楽しみも増えていった。


2010年の春,開幕スタメンに新・大塚・鎌田の1年生3人がずらっと並んだあの日から今まで,4年間。去年秋からレギュラー定着した飯塚。最終年にMB転向した佐藤。アップゾーンから或いはリリーフサーバーとして盛り上げた武田。楽しかった。


もちろん,マネージャーとして入っていた岩田も,スタンドにいた志村も,女子マネの岡田さんも,3年生以下の下級生の選手達もスタッフもみんな揃って今年の明治だった。


それから,4年生の何人かのご家族の方とお話しする機会があったことも,個人的には大きなできごとだった。いつも読んでいますと言われてものすごく嬉しかった。今日も今日とて閉会式の前に声をかけていただき,身に余る嬉しいお言葉をいただいて,あたふたしてしまった。


今年の明治があったから,今年を駆け抜けられた。


3位決定戦で,新がファーストタッチにいって大塚がセットする場面がいくつかあった。大塚のセットがほんとうに綺麗だった。そのうちの何本かは新にボールが上がった。このコンビも今日で見納めだなどと考え出すといろいろよろしくないので,つとめて考えないようにしていた。


てれび仕様なのか前夜にツーブロックにしやがって髪型に気合いが入りすぎている新さま(褒めてます),飯塚の低身長ではないのに小柄だと錯覚してしまうぐらいの身軽さと心を折らないひたむきさ。佐藤の渾身のブロックとガッツポーズ。鎌田のふしぎな佇まい。セット終盤でリリーフサーバーに出てきてブレイクして相手にタイムアウトを取らせたときの武田のガッツポーズ。それから,インカレシーズンにTwitterで見せたチーム愛と広報活動も。公式アカウントも,鍵かけてない4年生も,みな,言葉遣いがしっかりしていて礼儀正しくて,好ましかった。


引退の実感がまだ湧かない。その代でとくべつ好きな選手がVリーグに行かないということにも。


きっと,来年の春,今の4年生が誰1人コートの上にいない光景を目の当たりにして初めて,不在がじわじわと来るだろう。今年の春そうだったように。


91生の存在は存外大きくて,今年で関東大学リーグ観戦を卒業しちゃうかもしれないなー,とぼんやり思っている。


それでも性懲りもなく体育館に現れたら,そのときは優しく迎え入れてください。来年は,初めて春高を見た代が最上級生だからね。それなりに思い入れがある選手も多くてね。


って,毎年この繰り返しだなあ。


ありがとうございました。楽しかったです。それぞれの道でそれぞれのご活躍を。