BUCK-TICK THE DAY IN QUESTION 2013@日本武道館


今年もやってきました武道館。近頃はアルバムツアーのファイナルと交互に2年おきで開催されているDIQ。一昨年のDIQのセトリと演出を読み返して一昨年は神だったと再確認しつつ迎える今年のDIQ。アルバムツアーでないからこその何が出てくるかわからないわくわく感,スペシャル感。今年も1年の締めくくりを12月29日の日本武道館で迎えられる喜び。


2013年は東北3県(仙台→盛岡→郡山)のあとの日本武道館。ステージセットはフロント3人はフラット,一段上がってドラムとベース。両袖に花道。背面は布っぽいものを×状にクロスして並べて吊しているだけのシンプルな作りでそこに照明で模様が浮かび上がる。セレナーデのときに前面に電球ついたすだれのようなのが降りてきて,数曲,電飾がきらきらしていた。


ステージ中央上部にステージを映すスクリーン。Yahoo!で中継が入っていたのでその映像。リアルタイムエフェクトもかかっていて,クオリティ高い。このままでいいから映像作品で売ってくれー。


ゆうたの赤のチェックのシャツに黒のライダースふう袖無しジャケットがかわいかった。それから,今井さんの白い衣装にピンクのモップみたいなブーツ。ひでひこさんはひげひこさんだった。天リボのときのような長めの髪の毛を左耳にかけるスタイル。襟に毛皮っぽい飾りのついたガウンみたいなロングジャケット。


席は2階の南西前方。遠かったけれど,全体見渡せて,スクリーンも見やすくて,音響も良くて,その点ではとてもいい席だった。


事前ネタバレを回避していたわけではないので,何曲かは演奏すると知っていた曲もあったんだけどそれもほとんど覚えていない。出たとこ勝負のDIQセトリ。クイズイントロドン状態で,曲が始まってから脳内で曲名検索が始まる。見つかるまでの間でかなり疲れる。その間ステージ上に集中できなくて,どことなしにそわそわして落ち着かない。それもまたDIQの醍醐味。


客の入りも遅く,定刻のほぼ20分遅れで客電が落ちた。THEME OF B-T がかかると同時にボルテージの上がる観衆。1曲目がいきなりの STEPPERS。新曲キタコレ。


新曲わーい,からの NATIONAL MEDIA BOYS。楽しかった。途中ミウ,CREAM SODA,ドレスとひでひこさんオンタイム。CREAM SODA では嬉々として東花道を袖まで走って行った。どやー。どやー。かわいい。


セレナーデの前にしばらくSEが入って,小さなライトがいくつもついたすだれ状のものが降りてきた。セレナーデでは黄色っぽい暖かい色のライトがつき,時折下に流れていく。そのライトが星のようでもあり雨のようでもあり,曲のイメージにも合ってすごく綺麗だった。 上部のスクリーンでは,カメラに雨粒が当たるみたいに光がにじんでいた。そのにじんだ光の向こうに演奏するメンバー。ゆうたさんがアップライトベースを弾いていた。続く羽虫のようにでは緑色のポップでちょっとサイケな色使いに変わって,それも楽しかった。


スズメバチと MY FUCK’N〜で今井さんが弾いてた赤い四角い箱みたいなギターかわいかった。


KISS ME GOOD-BYE で本編締め。


演奏の前にMCが入ったので本編終わりと察しながらだったけれど,この曲で締めるのすげえな,って思った。しっとりしたスローテンポでマイナなバラード。落とした照明の中でひっそりと浮かび上がる櫻井さんの歌が静かに武道館を満たしていく。すごく充実した余韻のある本編の終わり。


たとえば FLY HIGH なんかは,今やってももちろんすごく楽しいんだけど,オリジナル音源*1と比べると,当時の若さや勢いが生み出すきらきらした音は,今の演奏では得られないものだと感じもする。だけど,今回の本編最後に聴いた KISS ME GOOB-BYE は,1990年のアルバムに収録されているこの曲を,円熟味の増した今のBUCK-TICKの生演奏で聴けることに限りない喜びを感じる。当時の今井さんにしか作れない曲だとしても,今の演奏がだんぜん合ってる。


アンコ1締めの「太陽ニ殺サレタ」でも同じことを感じた。それも強く。今井さんの奏でる赤まいまいの,エフェクターを通した「♪らーそらーそらしどしら」が,静寂の中に響き渡る鐘の音にしか聞こえない。櫻井さんの深みのある低音と指の先まで漂う張り詰めた表現力。星野さんの黒グレッチ(たぶん……)。ドラムもベースも,音のひとつひとつが深くて表情豊かで,ライブで聴いたのはおそらく今回が初めてだったと思うんだけど,こんなにいい曲,いい演奏になるんだと感動した。


好きな曲5本の指に入る BRAN-NEW LOVER を聴けたのも嬉しかった。RHAPSODY は,今年の(東北を回る)DIQでこの曲を持ってきたところに,じんわりするものがあった。なのに間奏で今井さんが「♪もういくつ寝るとお正月」を弾いちゃうから,口元が緩んでしまう。アンコ2のエリーゼのために→真っ赤な夜とさんざんあげたところから ROMANCE で一気に雰囲気を変えてしまうところもさすがだった。


アンコ2の最初に各自ポジションについて,なぜか突如始まるメンバー紹介。「ゆうたがやりたいっていうから」と櫻井氏。あらかじめ手短にと言ったのにやたら長かったアニィのドラムロールのあと「ベース,樋口豊!」→ゆたさん手を大きくあげて振る→あっちゃんオフマイクで「弾かないの?」みたいな感じ→ゆたさん,手振りで「ないない」。なんでやねん。かわいい。


それから,星野さんと今井さんの紹介もそれぞれ片手上げてどもどもと受けつつ,ラストは,自己紹介になっちゃいますがと照れながらの櫻井さん。かわいい。そして,映画にもなりまして云々という曲紹介つきで,LOVE PARADE。


LOVE PARADE の雰囲気ってちょっぴり TRANS とか薔薇色の日々だとかの名シングルカップリング曲を彷彿とさせる。懐かしさとか,そのことが産むちょっと寂しい気持ちとか。また名曲できたなーと映画のエンディングでしばらく動けませんでしたが。こんなあたたかくて優しくて切ない名曲が生み出されて,シングルの1曲目としてリリースされるのが嬉しくてならない。


それから FLY HIGH で歌って,オーラスは独壇場で歌って踊って。いい汗かいて武道館を出て,外の寒さが心地よい。


今年はそんなに寒くなかったし,いい天気で雨も降らなかった。北の丸公園は門あたりが工事中だった。


「また来年遊びましょう,良いお年を」と,これも恒例の櫻井さんのご挨拶。来年はアルバム出るかな。楽しみにしている。

セットリストと収録アルバム

  1. THEME OF B-T
  2. STEPPERS -PARADE- [single](2014.1.22発売予定)
  3. NATIONAL MEDIA BOYS [悪の華]
  4. キャンディ [COSMOS]
  5. Django!!! -魅惑のジャンゴ- [RAZZLE DAZZLE]
  6. ミウ [single]
  7. BUSTER [Mona Lisa OVER DRIVE]
  8. CREAM SODA [天使のリボルバー]
  9. ドレス [darker than darkness -style93-]
  10. BRAN-NEW LOVER [single]
  11. セレナーデ -愛しのアンブレラ- [memento mori]
  12. 羽虫のように [RAZZLE DAZZLE]
  13. スズメバチ [memento mori]
  14. MY FUCKIN’ VALENTINE [SEXY STREAM LINER]
  15. RHAPSODY [ONE LIFE, ONE DEATH]
  16. くちづけ [RAZZLE DAZZLE]
  17. KISS ME GOOD-BYE [悪の華]
  18. エリーゼのために [夢見る宇宙]
  19. 真っ赤な夜 [memento mori]
  20. ROMANCE [十三階は月光]
  21. 太陽ニ殺サレタ [狂った太陽]
  22. LOVE PARADE [single](2014.1.22発売予定)
  23. FLY HIGH [HURRY UP MODE]
  24. 独壇場 Beauty [RAZZLE DAZZLE]

*1:インディーズ時代はもちろん,メジャーデビュー後の「HURRY UP MODE」も持っていないので,厳密にはオリジナルではない。