国体東北ブロック予選,おまけ(蛇足)
わたしは究極的には自分にしか興味がないので,自分のことを書きます。
パンフレット騒動の顛末
パンフレットがなかった。
本部らしいエリアも見つからない中でスタッフを尋ねてたらい回しになった*1結果分かったのは,一般への販売はないことと,メイン会場*2なら余分があるかもしれないがここはサブ会場なのでそれもなく,つまり閲覧もできないということだった。チームや審判が自分たち用に持っているもののみ。
しゃあない。
ブロック国体のパンフレットは稀少で不安定なものなのだ。もともと関係者向けしか想定しておらず一般への頒布はないのがデフォルト。あればラッキィという心構えが肝要なのだろう。
それを販売用を見越した部数にしろとは,よう言わん。「余るんなら(売って)ください」が精一杯だ。関東も去年はなかった。今年は販売はあったものの少なかったようで。
でも,欲しいのは,正確にはパンフレット(プログラム)の形をしたものではない。目的は出場選手の名簿。それも,できるだけ間違っていないものを手に入れたい。
県やブロックによっては,Webサイトに参加選手が掲載されていたり,パンフレットのPDFデータが丸々アップされていたりする。それでじゅうぶんなので,むしろそちらを切にお願いしたい。同じブロックでもその年の予選主管協会によって対応が違うのが難ではある。去年の北信越はパンフレットが転がっていたが今年は見つけられなかった。九州も去年は名簿が出ていたけれど今年はなかったとか。
自分が見ている試合に出ている選手の名前を知りたい。
それだけなんだけどな。
名簿がなくても,観戦できないわけではない。周りをみても,名簿なんて気にしない人の方が多いぐらいかな。
チームを,競技を,プレーを,見る上ではプレーヤの名前は必要ない。
気になるのは自分が選手きゃーきゃーという見方をするからだろう。それと,自分が見たことのある選手を覚えていない(忘れている)から。同一人物かどうか確信が持てずにもやもやしつづけるのは,精神衛生上非常によろしくない。
もやもやしながら初日6試合観て,やっぱり無理だった。夜に「パンフ見たい」と騒いだら,有り難いことに声をかけてくださった方がいて,翌日ご厚意でパンフレットを見せていただくことができた。*3名前が判明したときの自分のぽんこつ加減への凹み具合は,やはり精神衛生上非常によろしくなかった。工藤(青森/国士舘1年),小松崎,西村(青森/岩手/ともに仙台大91)。「いたのか!」と。山口(青森/仙台大91)だけは気づいたけれど自信がなかったし,高橋(山形/筑波大2年)と川村(秋田/明治大1年)も,教えてくれる人がいなければどうだったか。2週間前にクラブカップで見たでしょうのケースはほんとに凹む。
それに,当該選手にも心苦しい。できれば背番号じゃなく名前で認識したい。
だから,名簿がほしい。覚えておけよと言われたらそれまでだけど,そもそも顔を知らないほうが多いし……プレーで分かる選手もいるけど,うろ覚えのほうが多いのは仕方ないじゃん。写真撮れよって言われたらそれまでだけど。
わたしが写真を撮らないのにはいくつか理由があるけれど,先日のクラブカップや今回の国体予選は,撮る理由が撮らない理由を上回りそうなシチュエーションだった。コンデジも持ってないからどうしようもない。買えよって言われたら以下同文。
なんで福島行ったん。
日曜日の帰り,お土産を渡す名目で友人を東京駅まで呼び出して晩ご飯を食べた。そこで20回ぐらい訊かれたのが「なんで(また)福島(まで)行ったん」だった。
理由はある。
- 紫紺の残り香を嗅ぎに
- 前週の国体ブロック予選祭りに乗りそびれたから
- 他に予定がなく暇だったから
- 比較的行きやすい立地だったから
- バレーの試合を観たいから(中毒)
- 一緒に行ってくれる人がいたから
これを何度も言ったのに納得してもらえなかったのはどうして。もっとも,冗談(ネタ)でしょうけど。
選手目当ての側面を否定しないけど,それだけが理由ではない。ストーキングとゲームを楽しみたい気持ちは同居する。
行けば楽しい。結果的に,長らく続いていた宮城&秋田2代表の牙城がどちらも崩れた。その場に立ち会えたのも,得した気分。拮抗した試合も多く,面白かった。ふだん見ているのとは違うカテゴリを見る目新しさもあった。
クラブカップではタイミングが合わなくて見られなかった岡崎建設(がほぼ岩手)やVC秋田(がほぼ秋田),山形選抜(がほぼ山形)もじっくり見られた。本編でも書いたけれど,岡崎建設+大学生の岩手は強くて楽しかった。いるとは知らなかった(けれどいたってなんら不思議のない)山口くんのトスが見られたのも嬉しかった。
代表決定戦後に小耳に挟んだ,或る本戦出場選手の「こんなに仕事休みまくっててクビになるんじゃないかと,勝てて良かった」って。
愛すべきバレー馬鹿たち。
同時に尼崎で行われていた近畿総合の様子を窺いながら楽しそうで羨ましいと思っていたのも嘘じゃないけど,国体を観に行かなかったら尼崎に行ってたってわけでもない。尼崎より断然福島の方が近い。JR東日本新幹線&東北方面は慣れていない分勝手が分からず緊張はするけれど,新幹線に乗ってしまえば快適だし時間距離も近かった。東海道新幹線で言えば浜松ぐらい?
それに福島はいいところだった。帰りに体育館から駅までタクシーを使ったら,川沿いの道を通った。川は広すぎず狭すぎずのいい雰囲気で,緑いっぱいの河川敷にテント張ってキャンプかバーベキューかしてる人達が何組かいた。空が広くて気持ちよかった。お土産で買ったりいただいたりした柏屋さん(郡山だけども)のお菓子はどれもめちゃめちゃ美味しくて,お菓子だけでも福島に来た甲斐が充分にあったと思った。
もちろん,超がつくアウェイだったから,案内されなかったら行っていなかったので,水を向けていただいたことには,ただただ感謝。
そんなわけで,とても充実した一泊二日だった。行って良かった。楽しかった。
でも,滞在中は感じなかったけど,帰ったら酷く疲れていた。顔見知りばかりの集まりに余所者として入っていることや荷物をよけて座るしかないこと,そういう小さなひとつひとつの緊張の積み重ねが,堪えた。
いたたまれないアウェイ感に充ち満ちた中で,ゆるく繋がっている方々にはたくさんお世話になった。よくしていただいて,ほんとうに嬉しかったし有り難かった。でも,一方で,そういう対人コミュニケーションに不慣れでコンプレックスを持っているがゆえに,不躾な振る舞いをしたのではないかと気になったり,実際不躾だったに違いなかったりして,それが申し訳なく心苦しい。自分の幼少期の環境を思うと(環境や親の所為にしたいわけではなく)今の状態は当然の成り行きなのだけれど,あちらの世界の人達はまずそこから鍛えているはずと思うにつけ,世界が違いすぎて気後れしすぎる。
パンフレットも無いローカルな大会でその場に居るためには,時として自ら「中の人」たちに対してしかるべきアクションを起こさねばならない。その為のスキルアップは,自分が解決すべき課題であると感じた大会でもあった。
紫紺の残り香(別名ストーキング)
山形の人のプレーを見たのは(ちら見は2週間ぶりだけど)8か月ぶりだった。きらきらしていた。話しているのを初めて聞いた。山形訛りのイントネーションがかわいらしかった。自分の存在を消し去りたいぐらいに好青年だった。
福島の人は2週間前にもわりとがっつり見てきた。変わらないのが嬉しかった。好調なプレーもいまいちなときも,どちらも懐かしかった。いつだって手を叩いて声を出して,そういうところもちっとも変わっていなかった。
件の友人にはストーカーじゃんと言われたけれど,そうかなあ。たとえばVリーグでは,応援しているチームを全試合観に行くファンは少なからずいる。それを「追っかけ」とか「熱心なサポ」とは称しても「ストーカー」とは言わないよね。それと同じじゃん,公式戦だもの。自宅や職場を調べて待ち伏せしてるんじゃないもの。
もちろん,それこそ冗談のやりとりなんだ(ろう)けど,とはいえ,半ばストーカー風味であることは自覚しておいたほうがいいのかもしれないと真面目に自省もした。10秒ぐらい。さきの話にも繋がるのだけれど,(ストーカーじゃなくて)単なる観客であることは疑いようもない(と思う)し,見知らぬ「ただの観客」は珍しくもないけれど,いざというときに自分がどこの馬の骨かを説明できない(本名名乗っても意味ないし所属も肩書きもない)のは不便に思った。選手本人と話すのでなくても。
それでも,プレーを見られることは,そんな諸々を引き替えにするに足る。久しぶりのユニフォーム姿,久しぶりのプレー。何試合もやるうちにこちらも慣れて当たり前のようにプレーを見てしまって,そしてうきうきしながら東京に戻った。
一日経って,この2日間が特別だったことにようやく思い至った。
次に見られるのは,いつだろうか。
もしかしたら,最後だったかもしれない。
そう思うと,自分の目玉のかっぽじり方やら振る舞いやらに悔いも残るか。
でも,最後である覚悟は,去年の12月にし終えているから,いいのよ。あのあとは全部ボーナスステージだ。この2人は本当に,見られたらラッキィぐらいに思っていた。
また来年とあの人は言った。わたしにじゃなくて。1年後。きっと仕事もものすごく大変になっているだろう。難しいのを承知で,それでも1年後があるといいと思う。その場に自分がいる可能性はたぶんすごく低いけれど,彼らがネットを挟んで対戦できればいい。そして,自分もどこかでまた,縁があれば。