全日本インカレ男子大会・最終日(3位決定戦・決勝戦)
もうあまりに昔のことすぎて,まったく記憶にありません。今日は12月22日。
前日金曜日に行われた準決勝戦は,照明も暖房も控えめで,人も少なく寒かったと聞いた。準決勝に残った4チームは最終日にも見られるとなると,金曜の客入りがはかばかしくないのは致し方ないことだろう。わたし自身「水曜と土曜」という選択をした。インカレの準決勝と考えると寂しいことではあるが,昨年の大田区の土日の寂しさを思えば,平日補正がかかってのそれはどうということもなかろう。
最終日の土曜日,11時に3位決定戦が始まる段階では人の入りもぼちぼちというところではあったが,地元のバレー女子(と保護者),高校生プレイヤーらしき団体や関西の大学生プレイヤーの来場は多く見られた。(関東開催だと学生プレイヤーがあまり来ない)。また,観客がスタンド南側客席に集められたこともあって,さほど寂しい感じはなかった。決勝戦のころにはむしろ,けっこうな賑わいになっていた。
余談になるが,今年は客入りよりも日程よりも,Jsportsの放送が生中継じゃないことがかなり堪えた。録画で,しかも翌日の夜だ。日程は昨年と同じなのに(そら,ラグビーはカレッジスポーツの華だけど。)。どうせ録画放送になるなら,準決勝戦も放送してほしい。準決勝こそ放送してほしい。3位決定戦とは違う名勝負が,過去にもたくさんあった。
とは言うものの,2年連続で準決勝・3位決定戦・決勝戦の4試合すべてがストレート決着した男子インカレ。接戦だったかと言われると,首を大きく縦にはふれない。でもそれって結果論じゃん。
3位決定戦 明治大学3-0名城大学(25-17 25-21 25-22)
MIP:明治大学#4杉本匠
明治:12與崎 18濱中 11原 19政井 4杉本 15安井 L14瀧野
→名城:1黒岩 4藤井 2日高(2s-7岩田) 9山下 11倉嶋 3藤原 L23岡山
明治大学が終始,とまでは言い切れないが,概ね試合を支配した。第3セットは名城大がリードしていたが,最後は明治がもっていった。
明治大の4年生は4年間でじつに3度目の全日本インカレ3位決定戦の舞台であり,3度目の正直で3位決定戦に勝利し,3位で大会を終えた。メダルを得たのはかなり久しぶりだったんじゃないか。
過去2度に比べて今年のチームがずば抜けて良いとは言いたくない気持ちはあり,組合せの妙は大いにあっただろう(ということにしたい)。ただ,早稲田との準々決勝,2セットダウンの第3セットも大きく差をつけられての終盤からの逆転劇がなければセンターコートには立てなかったわけだから,けして平坦な道のりではなかった。
3位決定戦そのものは,第1セットに明治がブロックで名城大のスパイクをばかすか止めて出鼻をくじき,名城大がなかなか波にのれず,といった構図になった。序盤の名城大には,話に聞いていたような良いところがあまり見られなかった。「鹿児島商業高校卒のセッター黒岩を中心としたコンビバレーに,エースは9番山下」という触れ込みでは,名城を語ったことにはならないのだろう。鹿商ならば明治には與崎がいる(そういう話ではないか)。山下も連戦でお疲れの模様だった。第3セットになってうまくまわりはじめたか,なにやら良さそうな片鱗は見えたのだけれども,センターコート慣れしている明治に一日の長があったか,惜しいところまでは行ったがセットを取るには至らなかった。
明治大は上背もないし線が細い選手が多いがブロックがいい。拾って繋いで粘る始まりはブロックですよ。スパイクでは杉本の巧さに拠るところ大だった明治大,数としては少ないながらも大きなカードが一枚かわることになる来年,果たして,とは思っている。
一方の名城大にとっては,敗れはしたものの東海学連史上初の男子ベスト4入りであり,来年の4シードの一隅を取るのかと思うとdkdkする。名城がいた山(右上/第3シード)は関東1部2部にその他各学連トップクラスがひしめく一番の難所ではあり,どこが出てくるか読みづらいとは思っていたがよもやここまで荒れる結果になろうとは想像の域を超えた。壮絶な食い合いの結果のし上がった名城。東海学連にも注目したい(とテンプレートのようなことを書く。愛学に山内もいるしね)
決勝戦 日本体育大学0-3中央大学(21-15 17-25 27-29)
MIP:中央大学#1手塚奨
NSSU:9小宮 2田尻 20峯村 31矢貫 1山田 13緒方 L23山本
→Chuo:23石川 1手塚 2江頭 25武智 22大竹 13関田 L20伊賀
中央大が今大会優勝候補筆頭であったことは,これはもう疑いようもないことで,結果,失セットわずか1での優勝を成し遂げた。
ちなみに完全優勝を阻止したのは3回戦で対戦した福山平成大学である。たれればを言うても仕方ないが,しばにゃんの足がつっていなければ(つまり,2回戦で関学とフルセットまでもつれずにもう少しちゃちゃっと終わらせていられれば),そして,平大は試合順にもご飯を食べるタイミングにも恵まれていなかった。それがなければもしかしたら。たら。
つまり平大最強。森崎かっこいい。
閑話休題。
ストレートではあったが,3位決定戦とは申し訳ないけどレベルが違うな,という,サーブ殴り合いスパイク殴り合いの熱い試合になった。面白かった。秋リーグまでは控えに徹していた手塚主将がコートに立っていたのも個人的には嬉しかった。江頭もがんばっていた。
そうは言っても下級生が目立つ中央大,シルバーコレクターの名をほしいままにしていた日体大を引っ張ってきた4年生たちに最後にゴールドメダルを取って笑って終わってほしかったのが本音だ。試合のことなんざ覚えていないが,悔しいったらない。
この試合の山田は,ほんとうに凄かった。今までで観た中で一番良かったんじゃないかというぐらい打点が高く,決定率が高かった。打てば決まる。止まらない。レフトからでもライトからでもフロントからでもバックからでも。ものすごい決定率だった。たぶん。
第3セット,デュースになって,そんで,それまでほとんど決まっていた山田のスパイクが,拾われた。拾われてトランジション。トランジションアタックの選択肢は(いかな山田が無双とはいえ,選択肢は)中大のほうが多い。中大アドバンテージとなって,次のラリー。レセプションアタックを田尻はレフトの橋本に上げた。ブロックにつけたのはセッターの関田一枚。
選択としては,正しかった。ただ,その関田が一枚で橋本のスパイクを止めて,試合が終わった。
それまであれだけ山田勝負していたのに,って,思ったけれど。
後日譚になるが,天皇杯のサントリー戦でも(つまり公式戦ラストの正真正銘引退となる試合においても)最後のボールは山田には上がらなかった。なんとなくすっきりしない終わりになった。
学生の部活の特権である「最後はエースに託す」式の青春物語的消費・昇華を一切許してくれない田尻はたいへんイケズである。でもそんな田尻を改めて面白いと思った。
結果失点で試合を終えたのが現実である以上当然その責は問われるべきだが,追い込まれた最終局面でもけして青春の思い出作りには走らず,エースと心中もせず,1本のサイドアウトをどれだけ高確率で取るかだけを考えている。最後の瞬間まで勝つことしか考えず勝つための方法しか選択しないその心意気が大好きだ。かもんヴェルディ。
個人賞
- ベストスコアラー賞 日体大#1山田脩造
- スパイク賞 中央大#22大竹壱青
- ブロック賞 中央大#1手塚奨
- サーブ賞 中央大#23石川祐希
- セッター賞 中央大#13関田誠大
- レシーブ賞 中央大#25武智洸史
- リベロ賞 中央大#20伊賀亮平
- 敢闘選手賞 日体大#1山田脩造
- MVP 中央大#23石川祐希
- 優勝監督賞 中央大学 松永理生
ベストスコアラー(と敢闘選手賞)を除いて中大勢が全てもっていった。
いわゆるスタメンの7人の中で,江頭だけに個人賞がない結果となり,大変切ない。えがちゃん素敵だったのに(涙)。賞の数が足りない。
中大は過去2年こそセンターコートからも少し足が遠のいていたところではあるが,センターコート常連チームであり,直近では2012年東日本インカレも制している。ところが,全日本インカレの優勝は実に18年ぶりだった由(13回目なのでもちろん多い)。
前回優勝時のメンバーは,つまり,河野,臺,徳本,浅川……と遠い目をする者もあった。現監督よりも前だったからなあ。
まあ,その,アレだ。
表彰式でMVPの発表を間違えたがために,表彰式後にわたしがぶち切れることになった。東日本インカレの表彰式での恨み辛みが相まって,「おじいちゃんむかつくむきー!」と瞬間湯沸かし器になってしまった。おじいちゃんのせいじゃなかったしそれはそのときから分かっていたのに。
この日の記憶が,すべて,あのときの自分の短気(が恥ずかしかったこと)に集約されてしまうので,いささかもったいない一年の締めくくりであったと思う。
広い大阪市中央体育館で,フロアにも降りられなくて,「あちら側」がちょっとよそよそしく感じられた。
冠スポンサーの三基商事にはいくら感謝してもしきれないし,三基商事なくしてインカレは開催できまい。だから三基商事関係者(招待者?)席がいちばんいいところにどどんと作られることにはなんの不満もない。
でもな。一般客だって,あそこに行きたかった。1年に1度の晴れ舞台を,最後の一日を,フロアで観たかった。今大会を主として運営していたであろう関西学連の企画運営においては,今までにない良さがたくさんあった一方で,「ここだけは外さないでほしい」肝心なところを2つも思いっきり外されてしまったやるせなさも小さくない。