たまにはバレー観戦ではない話も


昔書いたエントリにコメントをいただいた。2008年の8月のエントリである。日々のよしなしごとをはてなダイアリーに積み重ねて10年以上に及ぶ。その中には穴を掘って逃げたくなるようなこともたくさん書いている(時代が古くなればなるほどその傾向が強い)。普段は読み返すこともない。自分の過去の日記が誰でも読める状態でインターネットに放置されていることそのものを意識しないで過ごしている。


コメントに返事を書くついでに,2008年8月の日記をざっと読んだ。北京五輪が行われておりバレーボールやら卓球やらを見ていた。夏に大学時代のサークルの友人達と当時そのうちのひとりが住んでいた東海村を訪れた。TXが開業してあまり経っていないころだったか。道中つくばで産総研JAXAや謎の官舎や万博の跡地を見学した。水戸の偕楽園にも立ち寄っている。


毎年恒例の夏の旅行は上越新幹線からほくほく線に入り,宇奈月温泉で現地集合,トロッコ列車を経て立山黒部アルペンルートを長野側に抜けた。天候に恵まれない旅だった。前回松本を訪れたのはこの年だった。


6年半前のことである。大学バレーの門をくぐる前であり,Vチャレンジリーグに足を運ぶ前であり,NECブルーロケッツ入れ替え戦の常連であった頃。当然今のようなバレーブログ状態にはなっていない。まだTwitterも使っていないので,日記に細々したことを書いている。


当時からmixiはあったが,Twitterfacebookといった今主流になっているSNSの普及率は低い(facebookあったんだっけ?)。おそらくブログ全盛期だろう。少女漫画経験値だの,コメントをいただいた対象記事であるBL10選だののような,ユーザ間でゆるく話題(テーマ)を共有し,各々のブログ内で取り上げて盛り上がるといったブログ文化が華やかだった様子が,自分の日記からも窺える。


時代はかわり,わたし自身も,日々のよしなしごとは夜にキーボードに向かうのではなく,その時その場で140字の制限字数内にフリック入力して放流するようになった。


まとまった文章を書くまでに気合いが必要になった。書くのにも時間がかかるし書き上げたものの内容も今ひとつすっきりしない。端的に言えば力が落ちている。


しかし,こうしてコメントをいただいたり振り返ったりできるのは,蓄積してきたからこその楽しみである。


これは折りに触れ書いてきたけれど,デバイスが変わっても,短文になっても長文になっても,感じたことを文として書き留めていくことは,自分にとってなくてはならない動作なのだろう。


ところで(ここからが本題)。


BLトークを展開するので苦手な人は帰ってください。


このとき書いたBL10選(2008-08-11 - 1000万人都市の片隅から),セレクションが時代がかっている。入門だからというのも加味してはいるのだが,要は当時リアルタイムでBLを読んでいなかった。


ことの発端はよくわからないが,このあたり(2008-08-07 - 1000万人都市の片隅から)を読むとほんのりと。


だから,当時のBL業界の情勢とは全くずれたところにある。たぶん。月1冊(以上)のペースで商業BL文庫の新刊を読むようになった今となっては,90年代のBLと今(00年代後半以降)のBLとでは様子が随分違うことを知っている。ただ,自分が読むジャンルは偏っているし業界全体には明るくないから,現行リリースの作品から入門として10作品選ぶことはできない。


「入門10選」を選べないことがまさに現在の商業BL界の状況のあらわれだと思う(10は選べなくても水城せとなの『窮鼠はチーズの夢を見る』は是非入れたい,と書きかけて既に10年以上前の作品であることに気づくなど)。もちろんわたしが知らないだけで,業界的には選べるのだろう(毎年「このBLが面白い」も出てるだろうし)。業界全体に明るくないのは音楽もそうで,これが歳を取るということなんだろうと思っている。自分の好みをわかっていて,その外に目が向かない(向ける気がない)あたり。


ただ,それはおいても,だ。


上で00年代後半以降と書いたが,10年代に入って「女性向けラノベ」界自体は大きく変貌を遂げている。自分が読むBL文庫作品の傾向は商業BL読みを復活させた2009年ごろと比べて大きな変化は見られない……いや,そうでもないな。全体的に挿絵に露出が多いし作品内の描写にもポルノ傾向があからさまになってきたように感じられる。なのでたくさん出ているわりに選択肢が少ない(好みの問題ですが好みを語り出すと不服が長くなるので割愛)。


最大の変化は男女カップル(?)物のレーベルが激増したことで,女性向けラノベ作品棚の多くのスペースをNLが占めるようになった。その分BLのスペースが圧迫されて窮屈に感じているのだが,NLそのものは隆盛やむなし(これまでなかったのが不思議)なので,文句を言うのもおかしな話でなあ。


業界の傾向といえば,数年前には年に何度か,時間がある休みの日に某BL漫喫に籠もっていたのだけれど,最後に行ったのいつだろう。もう2年とか3年とかもしかしたらもっと経ってるんじゃないだろうか。時が経つのってはやい。ちょいと現状の文庫本界隈を窮屈に感じていることでもあり久しぶりに業界の風を感じに行ってみよう……かな……でも,さすがに年齢が気になるお年頃になってきた。


毎年進級し数年おきに進学し,と環境がかわる学生時代と違って,今はぼーっとしていると10年15年全く変わらない(つもり)でいられる。でも実際世の中はかわっているし自分も歳を取る。そろそろ,娯楽全般について次を考えてもいいのかな,という気もしている。考えてどうにかするようなものでもないようにも思うけれどね。大きくは変わらなくても小さくでも。