天皇杯ファイナルラウンド・2回戦


東京体育館


第1試合開始10分前に入場したら,男子コート側の客席はすでに3階上段までけっこうな勢いで埋まっていた。端っこのほうの,それなりに見やすい辺りに空席を見つけて滑り込んだところで整列,ぐらいのタイミング。


舐めてました。北側の3階があくところまでは想定していたけれど。当日券の一時販売中断は想定外だった。大入り満員。試合が進むにつれて2階,3階ともに立ち見がわさわさ発生していました。


男子側から先に埋まるなんて信じられない,なんていいながら。これだけキャパシティが広い会場でようやく,「第1試合の最初から1人だけで行くならなんとか座れるかな」なんだから,さいたまスーパーアリーナとか有明コロシアムとか使えるよ。すげえよ。


人は飽きやすいものだけれど,このままの勢いは持続しないにしても続いてくれるといいなあと思うし,これが続くかどうかは,時の運が大きいだろうけれど,関係者ひとりひとりの振る舞いの積み重ねもなくはない,かな。


さて,2回戦。

A1 JTサンダーズ 3-0 富士通カワサキレッドスピリッツ(25-19 25-17 25-19)


JT:3深津 14八子 2町野 18ヴィソット 7越川 4中島 L15唐川


富士通:14岩井 5横田 1中川 13杉本 10岡村 16新 L12芳賀


JTはよろしくなかったけれど,それゆえに余計に,「らしい」ところを存分に出せない,どこかおとなしく尻尾が垂れ気味の富士通に対して歯がゆかった。改めて昨日の兵庫はすごかったな,と思うものだった。

B1 愛媛大学 0-3 FC東京(18-25 14-25 17-25)


愛媛大:4松川 3三栖 12濱田 9馬場 15萩山 19松井 L11岡崎


FC東京:1岡崎 11奥村 5竹浪 17セルジオ 15衛藤 10山岡 L3橘裕


リベロは愛媛出身の橘兄弟。見逃したが弟も出ていたそうな。セッターは山岡(高知),P2に岡崎(香川)と,知る限りでも四国勢を揃えてきたFC東京。意気に感じる。すまんね。


先だってFC東京の編成(選手獲得)についてくそみそにけなしていたのに手のひらくるーで大変かっこわるいのだが,保有人数が多く,良くも悪くも「これが現在の『いつもの6人』です」という感覚が薄いチームだから,フューチャリング四国楽しい。


セルジオにはあまりトスが上がらなくて,第3セットは山本将平にかわっていた。MBも第3セットから衛藤のところが鈴木に。途中SR2枚替えで山田と長友。最後のほうで奥村→小田嶋*1,など。


試合開始早々から竹浪無双で1-8まで一気に行った。試合はおおむねFC東京優勢に進んだが,愛大も馬場なり萩山なりのスパイクが気持ちよく決まる場面も少なくなく,がんばれって思いながら見ていた。第3セット中盤には4連続ブレイクで2点差に迫り,FC東京にタイムを取らせる場面も見られた。


第1セット17-24の局面で愛大のリリーフサーバー14大倉がSPを取った。それ含めて2連続ブレイクだったかな(忘れた)。大倉は第3セット終盤15-21からもリリーフサーバーとして出場して,またもSP,ノータッチエースだった。かっこいい。岡山っこ(玉野光南)覚えた。

A2 ジェイテクトSTINGS 1-3 東海大学(20-25 22-25 25-22 18-25)☆


JTEKT:19浅野(7高橋和) 21廣瀬 4古田 1カジスキ 9辰巳 6高橋慎 L17本間/12興梠


東海大:13松林 19小野寺 5鈴木 9久原 1栗山 25龍 L3新垣/18井上


てくとさん,背番号のぐちゃ変更ツライ……。数年前の豊田合成にもヤラレタけれど,紛らわしくて仕方ない。9がいまだに石田と思っちゃうのは自分が悪いとしても,浅野の19→14→19はなんだったんだろうとか,9本間・17辰巳を入れ替えたのは何故なんだぜとか。


東海大OBのあべずんさん(背番号14)がベンチ入りしていて,出場あるかなって期待したけどなかった。てくとさん的にそれどころじゃない展開だったわけだけど,彼の東海大の4年時の天皇杯FRを(たしか堺に負けた)思い出して,しんみりするなど。もう東海側に被ってる選手がほとんどいないんだよなー,とも(4年と1年だもの)。時は流れる。


試合は,まあ,見ていたようないなかったような。邪念が入るのがよくない。東海大が第1セットを優勢に進めて「これは取りそうだ」となるころには「第1セットだけ取って満足して1-3で負けるんだよきっとそうだよ」と言っていたし,だから第2セットはナニガオコッテイルノカナー,ヨクワカランナーという気持ちだった。


第3セットは序盤からジェイテクトのペースだったので,早々に「こりゃフルセット負けだよ」と言い始める。自分でも迷惑だしうっとうしいしめんどくさい人間だなーと思う。毎度反省はしているのだが一向に改まる気配がなく,勝ち試合のたびに同じことを繰り返している。今のチーム(去年と今年はワンセットの感覚)になってからずっとそう。


レセプションから崩れだした。それはよくみられる光景で,久原・松林のWS対角を崩すとわりと脆い。だから信じていなかった。


けどなー。鈴木がすごかったんだよ。たしかに,インカレも良かったけど。けど。ほんとに。二段トスが決められるトランジションアタックで点を取れる。困ったときにトスを上げたら点を取ってくれるOP。だった。ブロックアウトの得点が多かった。うまかった。


第4セットも「へ?」という感じで気がついたら東海大が大きくリードしていて。大入りの会場の天井桟敷で,わたしはなんだかその流れについて行けなくて。いつものことだけれど。


小さく見える遠くのコートで彼らは躍動していた。輝いて見えた。翌日がある。まだ,プレミアのチームと戦える。できる限りの精一杯を。持てる最大の力を。まだまだ。

B2 大分三好ヴァイセアドラー 0-3 堺ブレイザーズ(14-25 19-25 21-25)


三好:8石垣 15田中 14YAKAN(13細井) 7細川 6高橋(5橋本) 2木場田 L20帖佐/11辻口智


堺:10千々木 1松本 6ペピチ(13松岡) 3石島 5内藤(15木村) 8佐川 L2井上/14坂梨


三好には「戻りたい」気持ちは強くあるのだろうけれど,いつの間にか光がずいぶん遠のいているように見えた試合だった。


堺は,内定選手の4高野(東亜大在学中)が途中出場していたと聞いた。見逃した!


インカレを終えて大学での現役を引退した大学4年生のいわゆる「内定選手」がお手伝いに帯同することが多い天皇杯FR。新しいジャージに身を包んで,緊張感の漂う様子で年の近い先輩の様子を窺いながら下っ端仕事をしている様子だとかあちこち挨拶している様子だとかがほほえましい大会でもある。今日もあちこちでそういうシーンが目撃されていた,らしい(なんせ3階の端っこなので)。


しかし,出場選手登録されることは稀である。なぜなら,彼らの多くは大学のほうで出場しているからだ。くわえて,内定で(リリーフサーバーでもなんでも)ベンチ入りして試合出場する選手・機会もそうそうない。ゆえに高野はかなりレアなケースと思われる。見逃したけど!!!!!


今年は東亜大が天皇杯に出ていない。今まで毎年出ていてFRまで残っていたんだが。おかしな話だが,東亜大が春リーグで優勝していたらここでの高野の黄色ユニフォームのお披露目はなかったのだから,(白×青背番号2を見られた可能性はあるし,見たかったけれど),巡り合わせというか天の差配というか。

A3 早稲田大学0-3豊田合成トレフェルサ(15-25 13-25 17-25)


豊田合成:7白岩(16黒澤) 22傳田(21細中) 15イゴール(8井上) 12高松(13岡本) 2山近(9加藤) 4内山(5前田) L10古賀/20川口


早稲田:3加藤 2山口 17藤中 1福山 4田中(11加賀) 12喜入 L8後藤


リーグ断然トップをひた走る豊田合成が,容赦なかった。点差が離れた第2セット後半にはメンバーをがしがし入れ替えたが,第3セットでは元に戻した。井上が出たのはほんとに最後のほうだけ。


早稲田は天皇杯にしても黒鷲旗にしても,思いっきりばっさりやられることが多い。勝てなくても「らしい」プレーを見せられればとは思うのだけれど,それをさせてくれないのがプレミア様なのだろう。なんていうのかなあ。仮定でしかないけれど,オーソドックスでオープンでどっかーん,じゃないからこそ,緻密だからこそ,ふだん対戦しないしかもめっちゃ強豪チーム相手には厳しいのかもしれない。

B3 福山平成大学 0-3 パナソニックパンサーズ(16-25 18-25 17-25)


福平:2志波 28迫田郭 6徳永 9勝岡 21冨田 5張 L24矢野


pana:6白澤 2深津 5渡邉 3山添 1清水 18ダンテ L17永野/8谷村


こちらもざっくり。第3セット終盤で大竹,池田,専田,田城諸々。パナに限らず,プレミア各チーム「軽く動いてあとは」とはせずにほぼ通してガチ布陣で戦ったチームが多かった。プレミアにとっては初戦なので,東京体育館である程度ちゃんと合わせて身体を動かして,という意図もあるだろう。プレミア同士の対戦ではあまり見られない選手の出場機会という側面を考えるとなにが「よい」とは言えないんだけども,ぼこられるほうに気持ちを寄せて見ている者としては,どうせ負けるならぼこぼこにされたほうがすっきりするかなー,なんて。

A4 東レアローズ 3-1 東福岡高校(25-17 20-25 25-21 25-19)


東レ:10星野 15李 14ニコ 20大木 17黒木 9梅野 L6渡辺


東福岡高:5井口 9佐伯 1金子 7井上 8安部 3古賀健 L11正近


ということで,ですね。第2セットの小林の乱(ぉぃ)で猛烈にぐだって,第3セットにメンバー戻したらどうにかなりましたけど,どうなのそれは,と思ったのが東レ


第2セットスタートは5米山 19小宮(7相澤) 20大木 18鈴木 3伏見 9梅野(21藤井) L22井手。第2セットのメンバーそれぞれにどうこうはない。第1セットが必ずしも良かったとは言い切れなかった(むしろいまいちだった)から入れ替え上等。でも,第1セットで黒木とニコしか仕事してない印象だったのにその2人を両方外したものだから,それはやりすぎじゃないかと思ったら案の定でした,という話。


戻したつっても誰かさんは最初から最後まで空気だった。梅野のセッティングは特に試合緒戦はやばすぎた。ほんとに,黒木とニコさんしか働いていなかった。ニコさん様々で勝った試合で,なんだかどうにも。


でも,ニコはいい選手ですな。東レはボヨビッチもいい選手だったけど(来てた!!!),こういう,助っ人として離れたところにいるんじゃなくて,選手としてチームとしてすっと中に入っている選手があうと思うしそういうのがうまいんだと思った。


東の古賀くんがすてき。あと,言っても詮無いんだけど,金子のセッター転向はもったいないように思えてならない。でも,そういうふうに思うことで,センスがあってうまくて背が高い選手がぜんぶアタッカーに行っちゃってセッター人材不足が著しくなっている繰り返しの今なのだろうから,言っちゃアカンやつよね。アタッカーの続きは最後の春高で。

B4 中央大学 3-1 サントリーサンバーズ(21-25 29-27 25-23 29-27)☆


中大:14石川 6渡邊 2今村 16武智 13大竹 1関田 L11伊賀


サントリー:19栗山(11鶴田) 17星谷 7エヴァンドロ 8金子(13柳田) 1山村 6岡本 L5酒井


鶴田・柳田は1−3セット目は2枚替え。第4セットは,栗山・柳田対角(途中栗山→金子)OPに椿山。


「こけた」とか「やらかした」とかじゃなく,ほんとにふつうに対戦してふつうに接戦で,その結果中大が取った。もちろん金星は金星なのだが(☆つけてみたよ),「ジャイキリ」ではない,雰囲気だった。接戦だけに。


第2セットを落としたサントリーが第3セットも同じ布陣で臨んだときに,手を打たないのか,打てないのか,なんて考えていたんだけども。


メンバー交代などしてはいたんだけど。とくに第4セットはスタメンもいじったんだけど,うーむ。リーグ戦が厳しいっていうのもさもありなん,か。


ただ,エヴァンドロが去年のエヴァンドロと別人すぎてそこの影響がものすごく大きいであろうことは想像にかたくないので,彼が復調すると最後にはなんだかんだファイナル6じゃないかなーとも。


中大は,素敵だった。勝ったときの喜び方も,ほんとうに素敵だった。1年間,たくさんたくさん「勝って嬉しい!」を経験してきて,それでも飽くことなく驕ることなく「勝って嬉しい!!!」を爆発できる中大は,素敵だ。


東レファンがガクブルしている。

*1:和中が出ていたそうなので,和中と見間違えたかもしれない。