開幕前夜


明日から秋リーグ(関東大学バレーボール男子1部秋季リーグ戦←名前は適当)が始まる。


日程は早めに発表されていた。この週末からというのは覚えていた。しかし,早めに発表されすぎていたためか,夏のバレーボール観戦オフ期間が長かったためか,まったく自分の気持ちが上がってこない。2部が一週早くすでに始まっているにもかかわらず。


会場もつい数時間前まで把握していなかった(把握しようとしていなかった)し,これまで辛うじて前日には準備していた星取表Excelの仕込みもまだ手をつけていない。2チーム入れ替わったのに。


今季はたくさん行くつもりはない。B-Tお台場もあるし,富士通初のファン感も興味本位で覗いてみたい。三連休には友人と約束もした。そのうえ,リーグ期間であることをすっかり忘れて追加でほかの予定も入れてしまった(小田原アリーナの週に)。


開幕が船橋と知って,遠いなーと感じた。それでも今リーグの会場の中ではかなりアクセスが良い会場だが,慣れていないこともあって心的距離が遠い。船橋遠いなーめんどいなーとごろごろしながら,これは2009秋の二の舞パターンになるのではと,ふとよぎる。行くつもりがなかったわけではないのだが開幕週の湘南校舎の遠さに気持ちが萎えて行きそびれ,次週こそ次週こそとずるずる繰り延べているうちにインフルエンザが流行し,最終週目前に打ち切られた2009秋。


もちろん今とは自分のスタンスも大きく違う。当時はまだ「春秋の週末は大学リーグ観戦」というサイクルが確立していなかったし,なにより,あの年のオフシーズンは,自分の気持ちがたいへんだったのだ。


ええと,何が言いたいんだろう。


まだまだ浅い浅いと思っていたのに,いつのまにか大学バレー観戦歴も長くなっていた。選手は入れ替わる。選手に近い観客(親とか友達とか直近のOBとかそういう類いの)も入れ替わる。自分のような属性の観客だけが,そこに居続ける。


改めて指折り数えて,91生が4年生のときの1年生がすでにいなくなっていることに気づいて,びっくりした。


生活サイクルのように見るようになったのが2010春から数えて8年目,初めて大学バレーを見たときから数えると10年目だ。見始めた頃の主力選手たちはVリーグでも中堅からそろそろベテランの域にさしかかっている。


そりゃ,気持ちが上がらんのも無理もない。慣れるしこちらも歳を取る。いつまでも同じ熱量では向き合えない。大学引退時に同じ熱量で向き合えないから引退(うろ覚え)と言った91生の選手も今年の春,今度こそほんとうに,自分が見られるコートからいなくなってしまった。


2015年の秋を境に,関東大学バレー(1部)を取り巻く環境は大きく変わった。それからだって,もう3年目になるのだ。今年が最後かもしれない。来年どうなるかわからない。いや,今年の秋もどうなるかわからない。一昨年秋の喧噪と大混乱は去年の春にはすでに落ち着いていた(たぶん。OQT前だったしね)。それでも去年の秋リーグは半分以上非公開になった。


会場が遠いと文句を言ってはいけない。今年の秋は(たぶん)全日程見られる。見られるようにするための,運営まわりの努力と苦労は如何ばかりや。去年の悲しみを忘れてはならぬ。陰の努力を忘れてはならぬ。今年の春リーグ遠いながらも快適だった。一昨年秋来の一連の変化の起因たる(悪いという意味ではない)人は,きっと明日の船橋にはいないだろうけれど(日程がわかっていないからよくわからない),それでも2015春までとは違う。いなくても人は確実に人は増えた。自分なんかいなくてもいいといじけてしまう程度に増えた。


ていうか最終週の会場どこ。それがいちばんの問題じゃあ。


こうやって文句を言いながら,それでも明日はきっと休日のわりには早く起きて,船橋に向かうのでしょう。気持ちの盛り上がりにも盛り下がりにもかかわらず。習慣になっているというのはそういうことで,惰性ってそういうことで。それが,2009年秋の自分とは違う。たぶん違う。


うだうだ書いていたら少しずつ思い出してきた。今年の4年生の,自分が好ましく思って見てきた選手たちのことを。まわりがどうなろうが,客が多かろうが少なかろうが,注目されようがされまいが,一介の観戦者にすぎないわたしの気の持ちようがどうであろうが,彼ら1人1人はそれぞれの,大学バレー人生の,もしかしたら本格的に競技をすることそのものの最後を,まさにこれから迎えようとしている。最後の秋が来たのだ。


リーグが終わるとすぐに天皇杯ブロックラウンドがあるし,たしかVリーグも秋リーグ期間中に始まるはずだ。わたしにとっても,おそらく長いバレーボール観戦シーズンが始まるのだと思う。


始まらないなら始まらないでもいい。もしかしたら明日起きなくて,或いは起きても面倒になって,そのままリーグが終わってしまうかもしれない。


2009年は好きなチームがなくなった年で,あると思っていたリーグ戦が途中でなくなった年で,今好きだと思っている選手が1年生だった。リーグ戦がまるまるできなかった東日本大震災の2011年春リーグ。入場待機列に気を失いそうになった一昨年の秋リーグ。試合はあるのに現地で観られなかった去年の秋リーグ。


いろいろあった。余暇の娯楽に無理をする必要はない。見られるときに見たいように,わたしはいつも身勝手だけれど,見られることに感謝しながら,戦う選手やスタッフへの敬意を忘れずに。


秋が来た。各々の選手やチームがベストを尽くせますよう。