2017全日本大学選手権・3日目(3回戦)
今日から1会場。A・Cコートが男子,メインのBコート(まんなか)とサブコート(D)が女子,というコート割り。
男子を奥の2コートに詰めて,サブと行き来したい女子を入り口側にしたほうが見やすいと思ったけれど,男子コートに客席数を多くわりあてる配置にしたのかしらんと推測。
得点板が各コート片面にしかなく,同時に経過を追うことがほぼ不可能だった点には難儀した。
試合開始10時,通勤ラッシュのど真ん中を避けたため,少々遅刻。
A1:早稲田大3-2大阪商業大(24-26 22-25 25-22 25-13 15-9)
W) 10小林 9藤中 13武藤 20宮浦 4加賀 19村山 L14堀江
OUC) 7中野 4酒井 3谷本 1兵頭郁 2兵頭佳 11山本 L27村中
古豪復活大商大。2011年にベスト4に入ったあとは順位を下げ,一時2部にも落ちていたと聞く。今年は兵頭兄弟と主将*1酒井の3人の打ち屋がパワフルで,サーブも良いと。
その商大が2セット先取。第3セットは早稲田がそこそこリードしていたが,終盤に商大が追い上げた。追いつく,まで,行ったかどうだったか。
商大に色気が出たわけではないだろうが,長引けば地力の差で早稲田に軍配が上がるだろうという適当な予想が当たった。第3セットでまくりきっていれば。
試合後商大めんずが涙している光景は爽やかに胸に焼き付いた。
一方早稲田側からみれば,前日の法政(2部である)とのフルセットに続き今日もフルセット。しかも2セットビハインド。秋リーグと同じメンバーで出ているのだけれども,第3セットの後半かなり点差を詰められていたときには,4年生出そうよ,って思ったものだった。
同じことは先に試合終了していたC1の福山平成大にも感じたのだが,その後,考え方はいろいろあるよ,チームは来年も続いていくのだし,という示唆をいただいた。
ともあれ,薄氷を踏みながらの勝ち上がりはこの先の試合に良い効果をもたらすように見える。
C1:福山平成大0-3筑波大(17-25 24-26 19-25)
FHU) 24福元 7迫田 23三好 22山崎 2冨田 21西本 L4矢野
Tsu) 8酒井(4中根) 2秦 13田城 1小池 17小澤 7樋口 L15高橋
第2セットこそデュースになったが(観ていたわりに実感がない)平大は取りきれず,第3セットスタートからは筑波が切り替えてサーブ攻勢をかける。
強いサーブや前に落とすサーブで迫田をコートに貼り付けておいて平大の攻撃を1枚減らし,残りを確実に仕留める。見事にはまった。
迫田が攻撃参加できない分ほかでカバーできればいいのだが,そもそも筑波サーブに対してそんな素晴らしいレセプションばかり返せるものでもなく,筑波の高いブロックと鋭いトランジションアタックの前には厳しかったか。樋口の活躍が目立った。
冨田は1年春の鮮烈な印象が鮮烈すぎて,その後物足りないものを感じることも多かった。すごいときは文句なくすごいんだけど,今日はすごいバージョンの冨田を観られなかった。
上の続きで。平大はコートに1年生4人。若々しさから来るムードの良さはもちろんあって,とくに西本のガッツポーズなぞは見ていて気持ち良いものだが,そうはいっても劣勢になってずるずると行き始めたときに立て直すためにも,上級生を交替で出してもいいんじゃないかね,なんて言いながら見ていたものだった。
A2:東海大3-1駒澤大(25-21 25-16 23-25 25-18)
T) 2宮原 1小野寺 30新井 25伊藤 4神谷 7龍(13永露) L29外崎
K) 11谷平 23山田 13齋藤 1戸嵜 7遠藤 5土井 L27宮崎/2藤岡
東海大のストレート勝ちかな,という雰囲気。第3セットは駒澤が取ったが,第4セットは最初から東海大が突き放しにかかっていた,かな(覚えていない)。
秋リーグは,東海大比ではさんざんな結果と言わざるを得なかった。終わりよければ全てよしとことわざにもある。せめて一年の集大成である全日本インカレは,いい形で幕を下ろしてほしいと,部外者ながら思う。龍一誠がスタメンで,途中永露が出て。サイドが宮原新井伊藤。MBが小野寺と神谷。メンバーは揃った。あとは知らん。
そして,いよいよ試合終盤という段になって,谷平と戸嵜の対角が今日で見納めかと気づき,無性にさびしくなった。そろそろこの界隈から足を洗おうと思う度に谷平の存在が頭を掠めていく。そこまで深くはまりはしないけれど見られたらラッキィぐらいの好もしさで。
C2:中央大3-1順天堂大(25-20 29-27 21-25 25-19)
C) 5山下 1石川 3平田 2大竹 4武智 18水野 L9柳田
J) 3熊倉 15中村 5荻原 1吉野 4濱道 29小野 L20角/17加藤
順大も秋はさんざんというか入れ替え戦行っちゃったよどーするよ状態だったので,Aコートの試合の途中にちらちらうかがうだけにはなったが,秋に比べれば断然いい試合をしているように見えた。
中大のコートに背番号1か5まで欠番なしで揃うことがこれまでほとんどなかった(春にちょこっとだけ)。とくに秋の1・2不在を支えてきた谷口や中野がここでスタメンで出られないことや,そもそもこの大会のためだけに帰ってきたことからして,ついつい黒っぽい感情が先に立っていたけれど,実際にコートに5人揃っている光景を目の当たりにすると,シンプルに嬉しかった。悔しいことに。
大変なこともたくさんあっただろうけれどそれもこれも含めて同期だもの。なんかよくわかんないけど,それでいいじゃん,という気持ちになった。
A3:近畿大0-3日本大(23-25 19-25 16-25)
K) 3谷口 11川口 6那須野 13小林 2庄司 14米澤 L20森/21吉田
N) 11菅原 1小田 20松村 2郡 35谷越 16高 L22新山
近大はざっと見た限り去年とそんなにメンバーかわってないような気がするような気がしたし,小林や米澤をここで見られるのが楽しみだったんだけど,ついつい学芸-明治を優先してしまって,結局みられないまま終わってしまった。遺憾。
高身長セッター対決だった。
C3:東京学芸大3-1明治大(25-20 32-24 25-20 25-20)
TGU) 1高澤 25村岡 9須貝 26吉田 3小野 18内田 L21瀬戸山
M) 21松田 22池田 1加藤 3佐伯 17鈴木 18鎌田 L13小川
第2セットのデュースには舌を巻いた。が,セット終わりでリセットされて,次のセットが始まると急にぷつんと行っちゃう明治。セットスポーツとは斯くなるものか。
何度も対戦してきた紫対決,関東同士の対戦は,過去の対戦成績やらなにやらをついつい気にして予想を立てがち。リーグ順位では明治のほうが上だったが,今年の学芸のポテンシャルを考えると,順当な決着じゃなかろうか。やってみないとわからないと思って見始めたが,須貝のサーブがえぐすぎた。コートの隅っこにばしばし落ちる。(C4の日体大仲本のサーブもそうだった)。手がつけられない。
今年の明治はかわいかったけれども,悪く言えば「下級生かわいい」だったので,来年以降のチームと思う。戦力として池田や松田は大きいし期待も持てる。明治はゆるそうに見えて要所は締めていればこそと思うので,腹黒そうなリベロ氏が来年どうするのか楽しみ,ということでひとつ。
学芸,明日は中大と。このカードもデジャブ感があるが,いつだったかな。
C4:東亜大2-3日本体育大(16-25 27-25 25-23 19-25 15-17)
Toa) 1大宅 6大川内 7原 13古賀 3鳥飼 5穐吉 L14正近
NSSU) 5宮原 22河東 20仲本 18西(8矢貫) 16高梨 29西村 L28小川/6辻本
熱く楽しい試合だった。たくさんのことばがこころに浮かぶし,言いたいことはほんとに山のようにあるのだが,何を言うてもどうにも。
サーブで殴り合って,スパイクで殴り合って,ディグを頑張って,そんな試合。日体大のサーブがとにかくすごかった。試合を決めたのも西村のサービスエースだったし,第1セット中盤に6連続ブレイクした仲本のサーブの恐ろしさが最後まで効いた。最終セット,11-10から仲本サーブローテで3連続ブレイクし10-13になったところで,試合の流れは一気に日体大に傾いた。
日体大,強いて言えばいいときの高梨はもっとずっといいだろうとは感じたが,そのぶん他の選手が好調。むしろ高梨に頼りがち偏りがちだったチームが高梨頼みにならなくてよいくらいに進化しているとみるべきか。宮原がライトから打てるのも攻撃に幅ができる。西村も打撃面での貢献もじゅうぶんだった。
わたしは東亜大を応援していたので,2-1とセット先行し第5セットもデュースになっての敗戦に,あと一歩だった残念さを強く感じてしまうのだけれど,冷静に考えて地力では劣るだろう東亜大がここまで迫ったのは,東亜大がすごく良かったからでもある。日体大が悪くて競ったのではなく,日体大も良くて,東亜大がすごく良くての接戦で,それがとても楽しかった。
東亜大もサーブが走っていたし,大宅のトスが第4セットを除けば安定していて丁寧だったこともあって,スパイク決定率も高かった。大川内のハイジャンプを久々に堪能した。めちゃめちゃ高かった。
あえて東亜大の弱点を上げればブロックだったが,試合その場でできることは限られている。日体大のセンター速攻を捨ててサイドに2枚以上揃えるのを徹底しているように見えた。日体大はレセプションアタックでは(X含め)多用していたがトランジションアタックではほぼサイドから打っていたので作戦としては悪くなかったようす。一方の日体大も,(河東と西村が絶対的に低身長なこともあって)ブロックがすごく良いとは言えないチームなので,似た傾向になった。
応援に熱の入る試合展開で,どちらが勝ってもおかしくなかった。東亜応援勢としては「そうはいってもあそこでああだったら」のたらればポイントはいくつかあるが,そんなことは意味が無いので試合の内容とはこれっぽっちも関係のないことを。
去年と今年,この大会で東亜大を熱心に応援した。させてもらった,というのが正しい。
数年前,たしか天皇杯だったと思う。パナソニックの応援団が,試合前にパナ応援席上段にあたる自由席にやってきて,別の試合を主目的としている客に応援を募る場面に居合わせた。そのときの勧誘文句の趣旨が,どうせ見るならどちらかを応援しながら見た方がが楽しいですよ。もはやニュアンスでしか覚えていないのだけれど非常にこころに残っている。
ノンポリ自由席で勧誘されるのは基本的にはあまり好きじゃなくて,パナ応援団に対しても別の機会には「好きに見させてくれい」と(もちろん強要はされていない)感じたこともあった。ただ,そのときは,その言い方をとても好ましく感じた。そして,こういうときに思い出す。
思い切り肩入れして,1ラリーに1点に一喜一憂する。そうやって熱心に観るのは楽しい。勝っても負けても。
自分のようなふわふわちゃらちゃらした身でそういうことをするのは,一途に応援している人にとってどうなんだろうと思う。気持ちをおもんぱかれなくてあとになって落ち込むことも多い。
もっといえば,他人の努力を,この日まで積み重ねてきた研鑽とその発露の場を,自分の楽しみとして消費していることそのものが,正月にこたつでみかんを食べながら寒空の下で白い息を吐いて走っている人たちを見物してああだこうだ言っているのと同じことなわけで,いや,だからってなにをどうにもできないのだけれど。
楽しかったよありがとう,と言ったところで免罪符にはならないし,彼らのいろいろの救いにもならないし腹の足しにもならない。
それでも,楽しかったよありがとう,と。人の涙に涙する自分をしょーがねーなーと嗤いながらも,でも,仕方ない。
東亜大は,コート上の選手も,アップゾーンの選手も,スタンドで応援している人たち(選手や選手の身内やファン)も,皆,あたたかかった。白熱した好ゲームそのものと同時に,試合後にそのあたたかさに触れられたことで,いっそう,試合を観て応援して楽しかったと感じられた。
最後,日体大西村のサーブを大川内が弾いて3回戦敗退が決定し,大川内はうつむいて顔を覆ったきり動けないでいた。各々呆然としていたコート上のほかの面々は,少しして彼がかたまっていることに気づき,彼を気遣った。主将の大宅が抱き寄せて握手に向かい,日体大の高梨と仲本はセンターラインをこえて東亜大を讃えにやってきた。主将のサインの間は柏が大川内の背中にずっと手を添えていて,整列のときにも誰かが,挨拶するよと呼んで,それでも動けない彼をまた大宅が抱きかかえて整列に加わらせた。
その間スタンドからは,ただただ「あきと,大丈夫だよ」という声が飛んでいた。
試合直後のまだ気持ちが動転しているなかで,なんの躊躇もなく心から労り合えるあたたかさに,涙腺が緩んだ。
本人の悔しさは計り知れない。誰が観ても彼のレシーブミスではない,文句のつけようのないサービスエースだった。試合全体を通してのレセプションでの貢献度の高さも疑う余地もない。それでも彼は自分を責め続けるだろうしこの先もずっと悔やみ続けるのだろうと,その姿を見ながら思った。
ああいう風に泣けるのは,きっとこれまで真摯に取り組んできて,今日の試合にも真摯に挑んだからこそだろう。
初日に訊ねられたんですよね,何番まで4年生ですか,って。ユニフォームを着ているのはひとりだけ,ベンチとあわせてたったふたり。
試合後後輩たちが次々に泣きはじめて,2分の1の大宅は泣いているひとりひとりに声をかけていた。
試合中にも,大宅の優しさを感じた場面がたくさんあった。後輩思いで後輩に慕われた主将の集大成は,見ればわかる。
こうやって書き出すと,だからもっとたくさん試合をしてほしかったという気持ちがおきてしまうけれど,終わったことは終わったことで,これはこれで。
現実は物語ではないから,最後にいいところを見せられるなんてうまい話はそうそうない。いまひとつ腑に落ちないままコートを去らなければならないことが,きっとほとんどだと思う。もちろん東亜大の面々だって振り返れば腑に落ちなさ(つまり後悔)はたくさん出てくるだろうけれど,そうはいっても,その場にいた大勢が「良い試合だった」と口を揃えて言う試合で終われたことは,少しでもなぐさめにならないだろうか。
*1:監督の子だとか。