高校選手権(第70回春の高校バレー)4日目(準決勝)


東京体育館


準決勝からは特設コート,5セットマッチ,テクニカルタイムアウトあり。スタメンコールもあるし選手入場もあるし,セット間にチアの応援パフォーマンスもある。コートを取り囲んで電光掲示板(?)も設置されているし,場内東西両方のスクリーンで,テレビ中継の映像が流れている(たまにリプレイや名前やスタッツがたまに出てくるのが便利。アップもみられるし)。


なんていうか,こう,急に,一気に,ショウアップされるのだ。「春高」感が出てくるのだ。なんとなくだけど。そして人が多い。3階が南北両方あいてるって,春高ぐらいでして。もっとも南3階は東亜制服勢が占めていたんだが(観てないんだけど下北沢成徳はどうだったんだろう)。


そして,なんでか知らんけど,再入場不可。


というのは久しぶりすぎて忘れていたけれども,例によってもたもたしていたらもたもたしすぎた。東レがシュミットが試合中に負傷してとざきがOPで出てるとかいうからついGAORAの中継を観ちゃったりして。


女子第2試合の誠英-東九州龍谷はフルセットの大熱戦だったそうで,ファイナルセットぐらいは観たかったが電車のダイヤ運もあまりよくなかった。


男子は(音に聞く女子に比べると),あっさり,とまでは言わないけれど。

洛南3-1東亜学園


ようやく洛南をちゃんと観た。2年生中心のチーム。3年生はOP(ライト的な)とリベロ。両WSとセッターとMBの1人が2年。もう一人のMBは1年生。WSのほうがMBより高いのかな。1番が191cm,4番が186cmぐらい。そして,ここも高身長セッター。


WSは二人とも「細長い」かんじの体型で力強さにはやや欠けるきらいもみられた(ので東亜はよく拾っていたとは思う)けれど,そのぶん爽やか。なによりバックアタックの打数が多くて,後ろからばーーっと走り込んで跳んで打って,観ていて爽快感がある。


2番(2年生のほうのMB)の打数もわりと多くて,これが効く。東亜のブロックは前日観たときから「うーん……」と思っていた。今日はサイドから観ていたのでよくわからなかったんだけど,洛南がこれだけトス配分ばらけていたら,いっそうがたがたになっているだろうことは想像に難くなかった。洛南がのびのびとコートを広く使い,思い通りに試合を展開していた。


自分の心情は,あの赤いユニフォームとはちまきなだけで東亜寄りになってしまうわけですが(現役時代を知ってるわけじゃないのに),洛南のほうが生き生きしてたなあ。


こういうふんわりした感想しか出てこないのもどうよと思いますが,人がすなるものである以上,そしてそれを観ているのも人である以上,ふんいき,って無視できない要素だとも思う。


2年生(以下)が多い洛南と対照的にコート内に3年生が多い東亜学園,試合後は遠目にもわかるぐらいみんな泣いていた。第4セットは終盤に差がついていてひっくり返すのは現実的にしんどくなっていた。洛南マッチポイントでむかえたレセプションアタックが上がったのはバックにいた小田島だった。もうこれで止められても拾われて切り替えされても最後はそこだろうなあって。決まったけど。


最後は上がったボールを繋げなかった。繋げそうなボールではなかったけど,あの「上がらない」絶望は,映像がスローモーションに見える。観客は床に落ちていくボールをただ見ていることしかできない。一瞬時が止まる。足が動いてないんじゃなくて,でも,「あ」っていう一瞬の静止が,取り返せない一瞬。


東亜が大勢の応援を背負ってセンターコートに立つのは(何年も観ている外野の大人の目には)珍しいことではないけれど,だからこそ,目標はてっぺんしかないんだろうなあ。1番腹棒と2番リベロが肩を抱き合って顔寄せ合って,そのあと小田島がいろんな選手に声かけてハグして,もらい泣きするわ。


両チーム揃っての退場行進,そのあとの双方の応援団への挨拶。そんななかで両チームの選手がお互いに健闘をたたえ合っていて,そういう光景もいいなあ,とおもう。そういうのを消費するのをどうかと言いながら,目にすると逃げられない。

鎮西3-0高川学園


第1試合(第3試合)に比べるといささか消化不良だった。高川が,もっと,できるだろうって。前日はできていたワンタッチからのディグができてなかった。第2セットのブロック,どうしてあんなに場当たりぴょん跳び1枚ザルになったんだろう。いや,わかるんですが。わかるんですが。


鎮西のWS対角の攻撃力は群を抜いていると思うけれども,ぎゃくにほかの打数は少ないやん。そのどっちが打つかわからないだけでも大変とは思うけど思うけどぉぉ。


高川も攻撃は悪くなくて,むしろ,8番さんがたいへん良い感じ。


そして,第3セットはブロックも修正して,キルブロックの連発もあって高川がリードしていた。だからこそ,20点すぎてからすっと追いつかれて逆転されてストレート決着したのが,残念だった。もう1セットぐらい見たかった。そして,なかなか試合が終わった実感がなくて,気持ちが追いついてこなかった。


最終試合のあとで速攻で客席追い出しにかかられたのでこちらも余韻がなかったのだけれど,選手たちも,なんというか,泣くでもなし,泣くところまで彼らの気持ちが追いついていないように見えて,さらにすっきりしない気持ちになった。


昇華するってむずかしい。でも,わたしのことはどうでもいい。高川の3年生たちが,これからもどこかでバレーを続けたり,続けなくても今後の人生にとって良い経験になったり,良い思い出になったり,するといいなあ。或いは,この日はこの日として気に病まないでいたり。