Vプレミアリーグ:サントリー-東レ@金曜ナイター


大田区総合体育館


今季唯一の平日ナイター。サントリー公式Twitterアカウントが「Vリーグ史上初」と煽り,VリーグチケットのLINEアカウントが「かつて行われてこなかった平日ナイターゲーム」と煽る。


すぐさま,観戦歴の長い観戦者から「平日ナイターなぞ,第1回からやっとるわ」と総ツッコミを喰らう。


調べて書くべし。調べずに書くなら当たり障りのない表現を選ぶべし。


自分も適当だし記憶違いも多いしそのくせ調べずに書く。人のことは言えないし,個人だからは免罪符にならないこともあるだろう。それでも,拡散力が違うじゃん。公式じゃん。もうちょっとちゃんとしようよ。と,思う。過去へのリスペクトを。


それはそれとして,平日ナイターは楽しみにはしていた。2018/19シーズンから,Vリーグは新リーグになる。当初「スーパーリーグ構想」をぶち上げたところからどんどん丸くなっていって,昨年末に発表された新リーグの概要は,一観戦者の目には何がどう「新しい」のかさっぱりわからない,今までとほとんどかわらないリーグに小さくまとまったようにうつる。リーグレギュレーションの大幅改訂ではあっても「新リーグ」とは言えない,ぐらいの。そのことの是非は別として。どちらにしてもやってみなくては評価はできないので。


その話はさておき。いずれにしても,次シーズンから新しいリーグになる。今季までと比べてプロリーグっぽさに寄っていくのだろう。今回のサントリー主催(?)平日ナイターは,それを意識した試行であろうことはうかがえた。


史上初ではないものの,久しく*1行われていなかったのは確かである。ホームチームが興行権を買い取り*2演出や場内物販の自由度の高い「ホームゲーム」での平日ナイターとなると,たしかに,史上初をうたっても良いかもしれない。


せっかくの新しい試みは成功してほしい。試合開始時刻は19時8分。少々の無理であれば通すつもりでいた。運も重なって,6時ごろには京急蒲田駅に着くことができた。天皇杯勝戦以来3週間ぶりの大田区総合体育館


当日券の値段は,学生除いて最も安いスタンド自由席(一般)が3000円。アリーナ指定Aは6000円ぐらいだったかな。B指定が5000円か4500円ぐらい。スーパーシートもあった(わたしが行った時点で売り切れ)。1試合3000円は先日見たBリーグとたしか同価格。NPBJリーグ(いずれも安い席),映画,美術館など他エンタメと比べると割高感はあるが,アリーナスポーツではこのくらいの価格設定が標準になるか。バスケより短時間で終わる可能性があるのがやや懸念。実際に1試合開催H&Aが主流になれば,ファンクラブ割引などの活用を考えたい。


会場外では,例によって梅屋敷商店街からテントの出店。コッペパンなどは売り切れていたがほろよいを売っていたので購入。入場。サントリーの応援団席のエリアが広い。動員が多い。見覚えのあるジャージもぞろぞろ。指定席の範囲は狭く,入り口寄りのエンド側はアリーナ部分も自由席だった。スタンドの通路より上段は封鎖。それでもまあぼちぼち余裕はあった。恐れていたほどの閑古鳥状態でなかったことに胸をなで下ろした。


試合前イベントは17時頃から行われていた。到着して物販で月バレの早売りを買って席につき,場内巡回の売り子さんからプレミアムモルツを買う。生ビールサーバから紙コップに注いでくれて500円。コップは野球場のより一回り小さい。ビールあまり飲めないので小さいほうが有りがたい。


めちゃめちゃうまい。球場ビールはヱビス派でしたが,プレモルめっちゃうまい。惜しむらくは,ざっと見た範囲で,ビールのつまみ好適品が場内で売られていなかったこと。気づいていなかっただけかもしれないけれど。そして外のテントが売り切れになっていただけかもしれないけれど。試合前なのにー。チーちくとかチーかまとかチー鱈とか,そういうやつがほしい。


そうこうしているうちに客電が落ちて,プロジェクションマッピングっぽく床のシートに選手紹介の映像を流しつつ選手にスポットをあてつつの選手紹介。内定選手4人も全員揃ってユニフォームを着て整列した(でも,紹介がなかった)。


そのあとプロトコールに入る。東レ選手が出てきて,公式練習。


試合中もDJさん(たぶん高森てつさんだったんだと思う。だからよけいに川崎の試合っぽく感じた)による得点コールあり。試合中の映像は,いつものVプレミアリーグのもの。


サントリーの調子が良くて(東レの調子がものすごく悪くて)試合は少々一方的な展開になった。「なんかわからんけど動員かかったから行ってサントリーを応援しよう」という層には受けたと思われる。キルブロック本数も多く,盛り上がった。もっと競った試合の結果で勝てばもっと良いのかもしれないけれども。


わたしは,サントリー内定セッターの大宅を観にいったようなものだったので,スタメン3試合目で初勝利の笑顔が見られたのが何よりだった。初々しいヒーローインタビューも微笑ましかった。年明け最初の試合1/6新潟の試合をDAZNで少し見たところ,監督がたいへん期待をしているようで,評価され期待されることは大宅にとって(大宅を好きな人にとって)光栄なことだが,それじゃあ山本湧はどうなんだ,という気持ちにもなった。たしかに調子を落としてはいた。落としてはいたが,山本と大宅はぜんぜんタイプが違う。タイプが違うセッターが同じチームに揃うからいいんじゃないか。おーやにだって欠点はあるし調子が悪いときもある。先輩後輩でライバル心を持ってアウフヘーベンしていくのは望ましいが,監督のコメントが……そう聞こえない部分もあって……腐らずにがんばってほしいし期待につぶれないでほしいと双方に願う。


一方の東レは,シュミットの故障離脱が痛手なのは間違いないが,シュミットがいない「から」で片付けられない不味いプレーなりなんなりで,それが残念だった。いかにもなホームゲームの雰囲気に流されたようにも見えた。そんな中でも,こちらも年明けから即スタメン出場している戸嵜は,至らない部分が山ほどありながらも懸命に立ち向かっていて*3,一服の清涼剤というか希望の光というか。主将のプレーはしょっぱすぎて泣きそうだったが,大宅のための試合観戦だったのでもういい。どっかで挽回してくれ頼む。主将がんばれ。まじがんばれ。


ストレート決着で試合終了が8時45分ぐらい。試合後にサントリーの選手によるお見送りがあった。体育館の出入り口ロビーはあまり広くないのでかえって列制ままならず,ところてん式に押し出されるほどの一方的な感じではなく,止まってゆっくり話すのは難しく,軽く声をかけてちょっと話して運が良ければ写真撮れるかなという塩梅。


大宅に一言声をかけたい気持ちはあった。面識がないからと尻込みするわたしに,面識のない大勢が声をかけるであろう今日だからこそ気にせず行けるじゃないかと背中を押してもらったのだが,残念ながら上がってこなかった(広報氏に確認したところプレス対応が長引いていた由)。


押し出された会場外では,松林,加藤,喜入,小野,秦,あたりが,試合前イベントで歌っていたヴォーカルグループのライブチラシを配布していた。顔見知りと話したりと,和気藹々とした雰囲気だった。自分は恐れ多くも小野から手渡しで受け取り,あわあわしながら一言二言当たり障りのないことを話した。会話になっているようでなっていない。めちゃめちゃ緊張した。いままでさんざんはるきまんはるきまんとぎゃあぎゃあ騒いでいたのに,いざ本人を前にすると何も出てこない。こちらはよく知っていても向こうはこちらのことを知らない。「学生時代から応援してましたこれからも期待してますがんばってください」のたった3フレーズをなぜ言えぬ。


そろそろ閉館作業に入ります,のアナウンスに押されて,大勢の観客が出口から流れ出てくる。おーやさん見送りに出てくるかしらと壁の地蔵になりながら,このたくさんの,見たことのない人たちが,おーやさんのプレーを観ていたのかと考えると,震えてきた。自分がこれまでに観たほんの数試合は彼のキャリアのうちのわずかな部分でしかなく,自分が観ていないところでたくさんの人の目に触れてきている。それはわかっているが,自分が見知らぬ大勢と一緒に観たのが初めてで,ようやくそれを実感した。今までだって近かったわけじゃないんだけど,遠い人だなー,遠くなったなー,と。


ひそやかに応援していければいいと思う。


選手バスが出るまで待つには時間もかかるしなにより寒かったのでそのあたりで会場をあとにし,9時半ごろからJR蒲田駅近くのファミレスで晩ごはん。話が弾んで終電ギリギリになった。いいナイターだ。フルセットになると晩ごはんに困る時間になるが,プロ野球でも往々にしてある。会場晩ごはん手段の充実が望ましい。


Vリーグの試合を楽しんで家に帰ったのにまだあと2日も休みがある,というのが何より嬉しかった。


通常業務で7時試合開始は自分にはけっこうぎりぎりなんだけど,行けない時間ではない。こういう試合「しかない」となるとオールド観戦者としては少々疲れる部分もあるが,金曜の夜のちょっとした非日常はスポーツ観戦の醍醐味の一つではあり,それこそ皆が忘れているプレミアムフライデー的なソレなんだろうと思った。


アンケートも実施していたようだが,到着が早くなかったためか,外のサントリーのブースに立ち寄らなかったためか,そも存在も失念しており,回答者になれなかった。届くとは思えないが,ここに記しておく。

*1:「Vプレミアリーグ」のレギュラーラウンドでは記憶にない。調べずに書く。

*2:今回がどうかは知らない。

*3:勝てないときの駒澤を彷彿とさせたがそれはそれ。