昼呑み
土曜の夜,野球観戦のあと,軽く食べようと,うちからは少し離れた飲食店街に立ち寄った。試合中も食べてはいたが,時間も経っていたので。そしたら,そこの商店街で,翌日,屋台まつりをやるらしい。店内に告知ポスターがはってあった。機種変以外にとくに予定もなかったので,散歩がてら昼ご飯調達がてら,覗きに行った。
出店は商店街の飲み屋居酒屋+近くの商店街の居酒屋数店舗。道路脇に屋台が並び,道路の真ん中に長机を並べて立ち食いというか立ち飲みというかの飲食スペース。日曜の真っ昼間から外で酒を飲むという,たいへん(良い意味で)駄目な大人たちは,出店しているお店の常連なのかご近所の人々なのか,いずれにしても至ってローカルな雰囲気に満ち満ちていた。
今年が初めてではなさそうだったが,初めて存在を知った。自分の生活圏ではないし,駅からも離れている。駅前には,数百メートル離れたところで昼日中から駄目な大人たちが昼酒をかっくらっている気配はみじんもなかった。大々的な告知もしていなさそうな,ごくごく地元密着の認知度のようでもあった。
天気も良く,暑くて日差しが強く天気は良すぎるぐらいだったが,夏ではないので影に入れば涼しい。その場でポットからハーブを摘んでつくってくれたモヒートを飲みながら,ぷらっと屋台を一通り眺め,気になった料理をいくつかつまむ。おいしい。
縁日などの出店屋台と違い,地元商店街の出店なので,メニューはいつも出しているものやそのアレンジ。屋台のすぐ背後の店舗では通常のランチ営業をしている店もあった。ドリンクもフードもバラエティ豊か,気にはなっていたけれど入ったことがないお店の料理も試せて,安くないのでかなり散財したがたいへん楽しかったし収穫が多かった。
十五年以上住んでいるが,地縁がほとんどない。平日も休日も家は寝に帰るだけ,みたいな生活だし,外食は多いがフランチャイズやチェーン店がほとんどで,会話がない。
お酒が飲めたら,飲み屋で地元の人たちとの交流が捗るのだろうなあと,顔見知り同士っぽい人々の様子をみていると羨ましくはある。一方で,1人で来て黙々と飲み食いしている若い男子もいて,知り合いがいなけりゃいないなりに楽しめる,そういう楽しみ方をする者も溶け込めるのが,大都市郊外私鉄沿線の良さとも思う。
ぜんぜんおしゃれじゃないしごちゃごちゃしているし不便に感じる面もある。地元の人たちとの繋がりもないから地元感も今ひとつわかない。それでも日々を恙なく暮らして18年目。今年に入って,よく行っていた店の閉店が続いていて,とても淋しい。知らぬ間にずいぶん時が経った。街の変化を目の当たりにするのは淋しくもあるが,長く住んでいることを実感できて嬉しい気持ちも少しある。これからもここで生きて変わっていくのを見ていくのだろう。そう予想したい願望。