第67回黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会5/5(金・祝)大会6日目(決勝戦)
11時試合開始。なのに,目覚ましをぶっちぎって寝倒し,起こされて時計を見れば10時半過ぎ。結果的に,どんなに急いでも間に合いませんでした。
潔く諦めて,去年の決勝戦と同じく,進々堂でブランチ。クロックマドモアゼルとコーヒー。
当日券はスタンド自由席が2800円。2500円と思い込んでいた。
帳票のページ→ http://www.ova-gr.jp/article/15937306.html
久光製薬スプリングス 0-3 JTマーヴェラス
ストレート決着,の速報を見て,まず久光が勝ったと勘違いした。失セットもほとんどなく勝ちあがっていたように見えたし,マーヴェは連日のフルセットで疲労も溜まっていそうだったから。思い込み良くない。久光は今年も代表組は不在だったぽいが。
パナソニックパンサーズ 3-1 ジェイテクトSTINGS(25-19 25-22 25-27 26-24)
パナ:13クビアク 6白澤 4大竹 15福澤 10山内 2深津 L17永野
ジェイテクト:19浅野 2金丸 14西田 8郡(2s-1カジスキ) 4福山 15中根 L12興梠
定刻通り13時半試合開始。
パナソニックパンサーズの天皇杯・Vプレミアリーグ・黒鷲旗3冠で,Vリーグカレンダー2017/18シーズンの幕が下りた。
今これを書くにあたって,昨年の決勝戦の記録を掘り返した。きょねん「いまいち」と書いていたパナの清水は,今リーグ,今までにないくらい充実して好調だったが,リーグ最終盤に大怪我。3冠達成は,けして簡単なことではなかっただろう。
OPには主たる活動の場を海外に置く(という条件で入団したんだったような)大竹が加わった。昨秋のグラチャンで代表OPとして出場し,これからの活躍が期待される選手である。
ゆえについ厳しい目で見てしまうものだが,こう言っては大変失礼だが,思っていたよりは咄嗟の状況判断をして機転の利いたプレーできる選手なんだな,というのが決勝戦を見て抱いた感想。一体もともとどんな色眼鏡で見ていたんだ,という話で。スマンカッタ。
スパイクアウト(とくにライトからのストレートがサイドを割りがちかな)も被ブロックもそこそこあったが,途中から無理に強打してブロックされないようにフェイントを織り交ぜていたし,サーブもフロータとスパイクサーブを使い分けていた。
途中さっぱりスパイクが決まらないことがあって,(身長差だけで言えば20cm以上ある)浅野に立て続けにブロックされていたときには気の毒にさえ思ったものだが,あの辺りはトスがよろしくなかった,と思う。
そのときはまだ福澤はあ(わせ)ていたので福澤に頼る我慢の時間帯が続き,第4セット,その福澤でもあわせられなくなってきたところで,セッターを関田にかえた。
もう少し早く交替しても良かったように感じたが,結果的には勝てたので問題なし。前日も思ったが,関田は山内の高さを出せる。深津にも関田にも持ち味があるので比較するのは好かないしナンセンスだが,今日の交替は,苦しい流れを断ち切る良いベンチワークだった。
第1セットが終わったところでは,ストレート決着の予感がしたが次第に接戦となり,最終セットもデュースになってのセットカウント3-1。面白い試合だった。
ジェイテクトは応援したくなるチーム。第3セットの終盤P23-24J,福澤のスパイクを(サーブのあとバックレフトに入っていた)福山が上げて,バックライトにいた西田がアンダーハンドで前衛レフトへ。そこにいたセッター中根がスパイクに行って山内にキルブロックされる,という珍しい場面があった。
場内の「え,15番……セッター?」みたいなざわざわ一体感が楽しかった。
なぜ中根が前衛レフトにいたのか不思議だったのだが,あとで映像を見たところ,浅野と中根がブロックチェンジしていて,浅野がライト中根がレフトにいた。福澤の強打をなんとか上げたその先が西田で,西田が二打目。こういった場面でのセオリー通りの前衛レフト。ではあった。
前衛レフトがセオリーでも,そこがセッターとなると話は別で,セッターに三打目を託すのはそうそうあることではない。カジスキのバックセンター一択だっただろうか。西田が,分かっていて(ほかに選択肢がなくて)中根に上げたのか,それともブロックチェンジしなければそこに居たはずの浅野(背格好も背番号も似ている)と間違えたのか,なんとなく後者と思っている。そうだったら面白い,というだけで。
パスで返さずスパイクに入った中根の度胸もものすごく面白い。被ブロックでデュースにはなったが最終的にセットは取れた。
しかし,エンタメとしては面白いけれどプレーとしては詰めが甘い。相手のスパイクがレフトだけと見込んでブロックチェンジをしたまでは良いが,その後のラリーの役割確認はできていなかったんだろうか。
西田や中根のプレーヤとしての若さと,ジェイテクトのチームとしての若さを感じたシーンだった。若さとなんちゃらは紙一重。それが楽しくて応援したくなるチームになるならそれも魅力。
でも,優勝まであとひとつ届かないのはそういうところだぞ,とも。
もう一つ象徴的に見えたのは,第4セットの終盤。P24-23Jでパナソニックが優勝に王手をかけ,サーバは大竹。野球で言えば同点の9回裏2死2塁で打順が回ってくるやつ。思い出されるのはJTがリーグ優勝したときの,最後の1点をサービスエースで決めた越川の姿(去年の黒鷲はどうだったっけ。SPだった気がするけど気のせいか)。
ここで決めたら若鷲賞は大竹だよ,とわたしは思っていた。結果から見れば,仮に大竹が決めていても西田だったっぽいが,それはそれ。
大竹のサーブは,きれいにカジスキの定位置に落ちるフローターだった。フローターのフォームを見た瞬間「つまらん」と思い,カジスキがほとんど動かなかったのを見て「あほか」と思い,カジがあっさりレセプションアタックを決めたのを見て「なんだったんや」となった。
狙いはわかる。ボールはミカサで,なおさらフロータが良い。この試合を通しても,山内や深津のフロータサーブが効いていた。試合中も,大竹や福澤が(おそらくは状況によって)フロータを打つこともあった(スパイクサーブのこともあった)。
揺さぶろうとしたサーブが思いのほか「地球に優しい*1」になっただけで,要は(すぐの失点ではないものの)ミスショットというか,バックホーム体制の浅めの守備位置の裏を狙ったけど思ったほど飛ばなかった,みたいな,野球の喩えは意味が分からんが,ミスじゃないんけど得点はできなかったね,というやつ。
ええねん。だから優勝できるねん。でも,つまらんねん。けして大竹個人が日和ったのではなくて,たぶん作戦なの。戦術なの。ベンチの判断なの。でも,この場面なら,ネットにかけても宇宙開発特大ホームラン(ポールの外)でも,思い切り打って欲しかったなあ,ていう,ただのエンタメ思考。
比べることではないけれど,大竹の前にサーブを打った西田はP23-21Jとビハインド(ミスったら相手がマッチポイント)の場面で強打サーブをぶっこんで,返ってきたチャンスボール(たしか)を自分で決めて1ブレイク,相手にタイムを取らせ,タイムアウト明け(しばしば人はタイムアウトあけのサーブをミスする)のサーブも強打,これもチャンスボールになりカジスキが決めて23-23。もひとつサーブで殴ろうとして,それがサーブミスとなって24-23。
という場面で回って来た大竹サーブだったからこそ,比べてしまう。目標達成のための戦術として何が正しいかはわからん。この場合は,ブレイクできなかったところを見るか,そのセットを取って優勝したところを見るかでも違ってくる。
が,娯楽として見ている者としては,次世代代表OP候補同士の初めての直接対決というおいしい試合の佳境に相手方がサーブぶん殴ってきたなら,殴り返してほしいじゃん。
そういうことです。試合の様子はさっぱりわからん感想やな。
個人賞
- 黒鷲賞:ミハウ・クビアク(パナ)|金杉由香(JT)
- 敢闘賞:西田有志(ジェイテクト)|今村優香(久光)
- 若鷲賞:西田有志(ジェイテクト)|林琴奈(JT)
- ベスト6(男子):深津英臣(パナ),大竹壱青(パナ),ミハウ・クビアク(パナ),山内晶大(パナ),西田有志(ジェイテクト),浅野博亮(ジェイテクト)
- ベスト6(女子):金杉由香(JT),田中美咲(JT),林琴奈(JT),小川杏奈(JT),今村優香(久光),浮島杏加子(久光)
- ベストリベロ賞:永野健(パナ)|小幡真子(JT)
2000年生まれ18歳ミレニアムニシダ号の3冠。毎年恒例の「あなたが選ぶNEXT6」でも1位だったので,言ってみれば4冠制覇。
ベストリベロは永野。帰りの御堂筋線車中の反省会(?)で,パナは攻撃面ではうまくいかないことも多かったけれど,ブロックとディフェンスでジェイテクトを圧倒していたね,という話をしていた。
金丸の速攻を白澤がシャットするベテラン組対決(たしか逆もあった)も,なかなか萌ゆるポイントだった。
が,それ系のセンター速攻へのコミットはおまけみたいなもので,基本的なブロックのつきかた,2枚の手の揃い方といったところで差がみられたし,何よりそのあと。どこにでも永野がいる。まじでいる。なぜかいる。そして,ちゃんとトスを上げられるパスを返す。
パナtsueee,永野sugeee,と唸りっぱなしだった。若人たちが束になってかかっても,結局は永野の手の平の上。
そんなこんなで,表彰式が16時5分開始,全部終わってだらだらして,会場をあとにしたのが17時前。朝潮橋のホームから1週間眺めたプールと橋と西日を見ると,ほっとするような寂しいような。
見所,語りどころの多い,見ていて楽しい試合だった。話が尽きない。でも,そろそろおやすみなさい。
有難いことに今年はあと1日休みがあるので,明日は大型連休らしく,友人宅に遊びに行きます。
今年もお世話になりました。
*1:友人の某チームファンが某選手のサーブを評してそう言う。