下書きのお焚き上げ:2018全日本インカレを終えて

インカレと天皇杯ファイナルの間に、スマートフォンのメモに書いていたもの。これをもとにパソコンで仕上げてアップしようと考えていたものの、なかなか心の余裕がなく、数晩経つころにはあまりのエモさに恥ずかしくなって、そのまま寝かせていた。
新しい年度になり新しいチームになった。いつまでも捨てられずに置いておいても仕方ないので、書きかけだけれど公開しておく。
主に3位決定戦の明治大対東海大をうけて書いた。他にも(優勝した早稲田や準優勝の平大や、それ以外にも)書きたいことはあったなかで、手を付けていたのがこの3つ、と考えると、去年の自分は明治大のことをけっこう好きだったんだねえ……。
以下、文中の時間はすべて2018年12月時点。

こまつせんぱい

以前も書いたことがあるかもしれない、あると思う。去年国体東北ブロック予選を観に行ったときに秋田代表で出ていたのがプレーの初見だったと記憶している。それまで顔と名前をうっすら把握している程度だった。
高校時代も知らないから、リベロだと思いこんでいた。打つんだ、という驚きが、インプレッションのほぼすべてだった。それも、けっこう、打つ。躍動する姿に目を奪われた。
その年の秋リーグは覚えていないが、おそらくセカンドリベロに戻っていたと思う。そして今年の春の開幕、そこに紫紺のユニフォームの13番がいた。
いろいろなメンバーが出た春リーグを経て、リーグ後半ないし東日本インカレで今のスタメンに固定した。サイドの一画にその姿があった。179センチメートルのウィングスパイカー
明治大と東海大の対戦はいつもすこしもぞもぞする。その時々によるがたいてい東海大に勝ってほしいと思っているのに明治大にキャッキャしながらはしゃいで見て、明治大が勝って自分で自分に気まずい思いをすることが少なくない。少なくともこの一二年。ということは明治大は東海大に相性が良いのだと思う。その理由はなんとなくわかる。
今年の秋リーグは初日に対戦し、フルセットで東海大が勝った。前期6位と7位の対戦だったが、明治は勝てた試合を落とした、という印象を受けた。細かい得点経過は忘れた。過去の記録を確認したところ、春リーグは新井無双でやはり東海大が勝っていた。印象や記憶なんてやっぱりアテにならない。
話が逸れた。秋リーグの明治大は対東海大のほかにもう一つ星を落とすも前半2敗で折り返し、後半も混戦の中で勝ち星を拾って最終日に4位に滑り込み、インカレの第4シードに入った。
強いチームという感じがしないのに結果を出す。いろいろもやもやすることはある。4年生が小川一人しかベンチに入っていないとか、AとBの温度差とか。
でも、残念ながら、強かった。
そこで小松である。かえろとかさげろとか思ったことは不思議と一度もなかったが、小松前衛しんどいな、と感じることはちょこちょこあった。

かんばやし

アタッカーがセッターを育てる
という言葉がある。
わたしはあまりセッターを意識して見ないのだが、意識して見るといらいらするからかもしれない。低すぎるネットに近すぎる遠すぎるアンテナまで伸びていない長過ぎる。
自分はプレイヤーではないので何が打ちやすいのかわからないし、どんぴしゃならどんぴしゃで止められることもある。3枚揃ったオープンとかコミットで飛ばれたクイックとかね。セッターのせいじゃないけど。
難しそうなトスだなと思っても、決まれば良い。
セッターがアタッカーの器用さを育てる話になってしまった。そうじゃない。
3位決定戦の上林は良かった。準決勝がそんなに酷かったわけではないが、3位決定戦になって余計な力が抜けるたのかもしれない。ボールに余裕というか優しさが感じられた。小松がおもしろいように決まっていたのも相手のブロック力(しょんぼり)や本人の脳震盪効果(あかん)もあったと思うが、トスも良かった、たぶん。
これはことあるごとに言ったり書いたりしているが、春リーグのまだはじめのほうで、上林と三輪が移動中にセットのボールの高さについてあーだこーだ話していた。1年生のアタッカーに希望を聞いている上林はちっとも俺様じゃないし、全くこれっぽっちも萎縮していない風の三輪も面白いと思った。
その時は微妙に噛み合ってなくて苦笑混じりに耳をふさいだけれど、それから数か月経った今はどうなんだろう。試合中の上林は三輪に無茶振りするし、どんな無茶振りでもそれなりに応えて得点にする(少なくとも失点にはしない)器用さが三輪にある。
だけど無茶振りは絶対の信頼だろうしその信頼に応えるのは、アタック技術を磨くだけでもなかろう。
あと2年。もっと要求していい。

センターエース

上林が三輪を信頼している(であろう)流れで思い出した。
東海大こそ、今でこそ新井を獲得し新井中心に組みたてているが、久しく絶対的なエースらしいエースのいないチームだった。と言うといろんな方面に失礼か、でもそうだった。その間、93生の栗山と95生の小野寺、二人のミドルブロッカーの役割は大きかった。センターエースとまで言うと盛り過ぎになるが。
この先しばらくは新井を中心に組み立てていくのだろうしそれで良い。あれは才能で強力な武器だ。新井までどう持っていくか、どう新井をいかすか。そこがポイントになるだろう。それだけじゃだめだけど。
なんでもかんでも新井じゃつまらないし幅が狭まりマークもされる。新井のスパイクコースに入って、上がらないまでも触りはする。それが続き、じわじわと追い込まれて最後は続けて上げられたのが、準決勝の第4セットだった。3連続新井で、3本目が上がる頃、ここで佐藤で切れたらいいのにと思った。平大のミドルは高いし、コミットでシャットされる危険はあった。ゆえに一番確実な選択が、新井のレフト。ネットにかかってい軌道がかわり、サイドラインを割った。
3位決定戦でも、上がらないまでもの場面があったし、上がったこともあったかな。第1セット、先に24点に乗せてから5度のセットポイントをかわされ、最後に落としたのもS1レセプションローテの新井レフトからのスパイクを拾われて、松田に決められた。
得点王は本人の決定率の良さのなせる技で名誉だが、なんでもすべて一人で打つわけにもいかぬ。決定率を上げるのも全体での仕事だべ。
単純に、自分が中央突破が好きなだけかもしれない。
安倍の打数が増えていたのは心強かった。一方で、3位決定戦の最後に佐藤が外れたのは、寂しかった。所詮と言ってはならぬし、黒鷲旗出場権もかかっていると思われる3位決定戦、3位になりたい、だったのか他に理由があったのか。永露と佐藤のホットラインが好きだった。その左手から繰り出される高いスパイクが頼もしかった。だから最後はコートにいてほしいと思ってしまう。最後に交代で入り2点取った明治の飯田が「報われた」と明スポに語ったように。
来年はセッターが変わるのでそこもまた楽しみである。